マツコ・デラックス「敬語が不要な時代が来る」の予想に街の声は?「職場での敬語を義務化したら離職率8割から3%に」という驚きの効果も…
マツコ・デラックス「敬語が不要な時代が来る」の予想に街の声は?「職場での敬語を義務化したら離職率8割から3%に」という驚きの効果も…

1月27日放送の『5時に夢中!』(TOKYO MX)で、MCの大島由香里が7歳の娘が敬語を使えないというエピソードを披露した。これに対し、マツコ・デラックスは「将来的に敬語が不要な時代が来る」と予想し、番組内で議論が展開された。

では、実際に現代社会で働く人々は、敬語についてどう考えているのか? 敬語を“義務化”することで急成長を遂げた企業にも話を聞いてみた。

将来的に敬語は不要になる? マツコ・デラックスが予想 

1月27日放送の『5時に夢中!』で、「敬語がうまく使えない高校生が増えている」というネット記事が紹介された。

この話題を受け、番組MCの大島由香里が自身の娘にまつわるエピソードを披露。

大島によると、この日共演した月曜コメンテーターのマツコ・デラックスから、娘がサインをもらう機会があったという。しかし、娘がサインをお願いする際、ノートには 「マツコ サインプリーズ」 と書かれていた。

これに対し、大島は「『おい!』って思って。『マツコ“さん”だろ! “ください”だろ!』って」と当時の心境を振り返る。

さらに「もらったあとに『ありがとう』って言っていて、『“ありがとうございました”だろ!』って」と続け、ネット記事同様、自身の娘も敬語を使えていないと嘆いた。

しかし、これに対してマツコ は、「でもさ、アタシ、変わってくと思うよ」「もう『ありがとう』でよくなるのよ」と、大島の娘に理解を示した。

その理由について、「だって今、先生に威厳もへったくれもないからさ。学校で先生に敬語を使う習慣がないから、こうなるわけじゃん?」と語り、さらに、「あと20年もしたら大丈夫になるのよ」と、将来的には敬語を使わないことがスタンダードになると予想した。

この意見に対し、大島は「7歳だから許されるけど、17歳で同じことをしたら……」と心配するも、マツコ は「いや、あなたの娘が17歳になるころには、荒廃した国になっているから大丈夫」「敬語なんて使わなくても、コミュニケーションを取るしかない国になっているのよ」と続けた。

さらに、「言っても仕方ないことで、変わるのよ」「アタシらの時代の言葉遣いだって、昔の言葉遣いに比べたら変わっているわけじゃない?」 「アメリカとかなんて、丁寧な言い方はあるけど『敬語』ってないじゃない。

だからたぶん、日本もそういう感じになるんじゃない?」と指摘。

大島が「古文みたいな?」と聞くと、「古文だって、あの言葉遣いしてたわけだからさ、昔は」「言葉はずっと変わってるからね。テレビとか、昭和30~40年代のとか超違和感ない? 言葉遣いが。それくらい、この何十年で変わったんだから」と、時代とともに言葉のあり方は変化していくものだと語った。

ビジネスパーソンは“敬語の未来”をどう考える? 

我が国の社会においては、親しい間柄以外、 大人同士の会話は敬語でやりとりされることがほとんどだ。特にビジネスシーンでは、それが当たり前の光景となっている。

では、実際にビジネスパーソンたちは、“敬語”についてどのように感じているのだろうか? 東京・新橋と有楽町で彼らの声を聞いてみることにした。

「敬語はなくならないと思いますね。この国って、上の世代は頭の固い人ばっかりじゃないですか? 無条件に“これまでの習慣”を正しいと思い込んでいる人だらけだから、この層が消えない限り、敬語も消えないと思います」(20代男性)

「今はフレックスやリモートワークが普及し、私服勤務や髪色・髪型の自由も広がっていますよね。ちょっと前までは考えられなかったことが当たり前になっている。そう考えると、マツコさんの言うとおり、いつか敬語もなくなるのかもしれませんね」(50代男性)

「たしかに、敬語は消えていくのかも。昔は長時間働けない社員は淘汰されていたけど、今は長時間働かせるほうが不適切ですよね。働き方が変わるように、昔の慣習に囚われるほうがおかしい時代なのかもしれません」(30代女性)

「効率化の観点から言えば、過剰な敬語は今後消えると思います。

時候の挨拶なんて正直無駄なだけで、さっさと本題に入ったほうが業務はスムーズに進む。ルールって、本来はよりよい仕事をするためにあるものだから、今後は要件だけをシンプルに伝える方向になっていくのかなと」(30代男性)

敬語のあり方についてさまざまな意見がある一方で、社内で敬語の使用をルールとして義務化している企業も存在する。

そのひとつが、システム開発やマーケティング、ヘアサロン運営など幅広い事業を展開するLaboratous株式会社だ。

2021年に代表の北原孝彦氏が前身となる会社を設立し、昨年Laboratous株式会社へ社名変更した同社。敬語を義務づけたことが、事業の成長に大きな影響を与えたという。

「私はもともと美容師だったのですが、この業界は離職率が非常に高いんです。以前勤めていた職場でも、8割のスタッフが辞めていってしまい……。しかし、2015年5月に自分の美容室を立ち上げた際、上司・部下関係なく“全員敬語”をルール化したところ、離職率が3%まで下がったんです」(北原代表、以下同)

敬語義務化の原点は「客前で胸ぐらのつかみ合いが起きて……」 

これまで北原氏が直接出資した店舗は11店舗あるそうだが、そこでもこの10年間で「3~4人しか辞めていません」とのこと。

北原氏の会社は徐々に事業を拡大し、美容室だけでなく、整体やピアノ教室など幅広い分野にも進出。

現在では全国に300店舗以上を展開し、コンサルティング事業も手がけるようになった。

この成長のベースにあるのが、社内での敬語の義務化だという。

その発想の原点は、北原氏がかつて勤めていた美容室でのある出来事にあるという。

「昔勤めていたお店では、生意気な子たちが育ってしまうこともあって。あるとき、後輩が先輩に『そういう態度だったら、俺たちももういいわ!』と怒り、営業中にお客様の前で胸ぐらをつかみ合ってケンカになることもあったんです(笑)。

そうした経験を通して、『どういうときにケンカが起きるのか』と考えたのですが、入社当時から衝突するわけではなく、距離が近くなりすぎることでトラブルが起こるんですね。そこで、『適切な距離感を保つには、言葉遣いを見直そう』と思い、敬語の義務化を発案しました。

やっぱり組織というのは、ルールとして明確な基準を設けないとうまく機能しないものなんです。私たちの会社では、その基準を“敬語”にしました。

目に見えた効果もありました。たとえば、みんな言い訳をしなくなり、ネガティブな発言も減ったと思います。自然と、ちゃんと仕事をしに来る人たちが集まる会社になりましたね」

北原氏に、『5時に夢中!』内で議論されていたテーマについても尋ねてみた。

「もし自分の子どもが大人にタメ口を利いたら、怒りはしないですけど、注意はしますね。その子が大きくなったとき、きっと苦労するでしょうし。

今の時代って、炎上系インフルエンサーとか、大人になっても異常な行動をする人が増えているじゃないですか。

自分の子どもには、そうはなってほしくないので。

なぜそう考えるかというと、僕自身の生い立ちも関係しているんです。実は、両親が警察官なんですよ。だからすごく厳しく育てられましたし、敬語の義務化を取り入れたのにも、そうした部分が影響していると思います」

最後に、マツコ が指摘するような「敬語が不要な時代」が本当に来ると思うかを尋ねると、「コンピューター同士が会話するような世界が来たら、たしかになくなるかもしれません。

でも、たとえばホテルの接客スタッフが『いらっしゃい! よく来たね。ここに記入してくれる?』なんて話しかける時代は、ちょっと想像できませんね」と答えた。

言葉は時代とともに変化していくものだが、果たして、数十年後の日本語はどのようになっているのだろうか――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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