「夫婦別姓とかどうでもいい」前のめりな小泉進次郎らに対し、ネットには冷ややかな声も… “選択制”なのに反対派が多い理由とは
「夫婦別姓とかどうでもいい」前のめりな小泉進次郎らに対し、ネットには冷ややかな声も… “選択制”なのに反対派が多い理由とは

3月9日、自民党の小泉進次郎衆議院議員が選択的夫婦別姓制度の導入について、「国会で法案を審議して、国民の皆さんの理解を深めるべきだと思う」と言及した。議員たちがこの問題について熱を入れる一方で、国民からは冷ややかな声もあがっている。

「こんな大したことない議論で何年も時間を」国民と議員の温度感の差

小泉氏は昨年9月、自民党総裁選出馬会見でも「選択的夫婦別姓制度」の導入を掲げ、対立する候補者との争点の一つにしていた。

なぜこの導入を推し進めたいのか、通称使用の拡大だけでは不十分なのかと聞かれると、「やはり別姓を求めている方がいるわけで、その方が新たな選択肢を持てるようにしたい。この議論はもう30年していますから、決着をつけるべきだと思っています」とコメント。

さらに反対派に対しては、同姓にする選択を続けられることを指摘しつつ、この問題は党単位ではなく、議員一人ひとりが考えていくべき案件だとしていた。

確かに今回話題になっている夫婦別姓制度は、あくまで選択性であるため、多くの国民にとっては強制されるものではない。

それゆえ、なぜこの問題を議員たちが対立の争点にして、国会で長々と討論しようとしているのか不思議だと、疑問の声も多くあがっている。

〈夫婦別姓とかどうでもいい問題よりも、まずは日本国民の生活を安定させてほしいわ〉

〈夫婦別姓は消費税の減税以上に議論している段階はとっくの昔に終わっているので、チャチャっと成立させてこれ以上時間の空費を避けて欲しい〉

〈正直こんな大したことない議論で何年も時間を費やしているのがスゴい。アメリカ大統領のスピード感と比べると日本は時間がゆっくりだ〉

〈そもそも結婚の予定も相手もいないので選択的夫婦別姓なんてさっさとやればいいじゃんくらいのスタンスなんだけど〉

実際に「Yahoo!JAPAN」で“夫婦別姓”と検索してみると、サジェストに「どうでもいい」という言葉が上がってきている。

「選択的夫婦別姓は、結婚により姓を変更しなくてはいけない当事者(多くは女性)にとっては大きな問題ですが、それほど大きな問題ではないと考える有権者も少なくありません」

そう前置きしたうえで、保守層からの反発が理由で、長期間にわたって成立が阻まれてきたと指摘するのは、『25歳からの国会 武器としての議会政治入門』の著者、遠藤結万氏だ。

夫婦別姓でスパイがはびこる? 反対派の意見

「夫婦が別姓になれば“伝統的家族観”が崩壊し、戸籍制度が破壊され、それによって海外のスパイが日本ではびこるのでは…との説が、SNSなどで散見されます。

近年はこれに加え『子どもの姓の問題がある』という主張があり、親と子どもの姓が異なることによって疎外感が生じたり、親子の絆が失われたり、学校現場に大変な混乱が生じる、とされています。

また、『旧姓利用で十分である』『そのようなことに時間を割いている時間はない』『慎重な議論が必要』といった主張もあります」(遠藤結万氏、以下同)

SNSで散見される“どうでもいいからほかの議論を……”という主張の中には、本当にどうでもいいと思っている層と、そう主張することで選択的夫婦別姓の議論を先送りにしようとしている層がいるのかもしれない。

それがまさしく、30年以上もこの議論が続いてきた理由なのかもしれない。

また、反対派の中には「夫婦別姓だと子どもがかわいそうだ」という声もあるが、夫婦別姓が実現しないために事実婚などを選択する人が生じている問題もある。

「そもそも姓によって家族の絆が強まったり弱まったりする、という主張はやや理解しづらいところがあります。

ただ、自民党内には、真っ向から反対と言いづらくても『夫婦別姓は優先順位が低いのでは』『子どもの姓の問題があるため慎重な議論が必要』と発言し、保守層からの反発を回避している議員も少なくありません。なかなか採決に至らないのは、こう言った主張も背景にあるでしょう」

今回もまた、国会の貴重な時間をいたずらに費やすだけの結果になってしまうのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部

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