清掃工場の「名物エントツ」の行く末
(上)世田谷清掃工場のエントツ(下)近くの電柱には説明書きも。
まずは写真をご覧頂きたい。

シンプルな形のエントツ、でもなんだか不思議な模様がついている。
白地に、薄墨色と薄みどり色とでもいうような優しい色でもやもやとした形が描かれていて、周囲の景色と穏やかに溶け合っている。実はこれ「世田谷清掃工場」のエントツなのだが、「清掃工場のエントツ」らしからぬそのたたずまいはまるでオブジェのよう。

今までは遠くからしか見たことのなかったあのエントツを間近に眺めてみたいと思い立ち、田園都市線「用賀駅」へやってきた私。駅前から、「砧公園」や「世田谷美術館」への案内に従って歩いていくとエントツの姿が現われてきた。見えているのになかなか近づけないジレンマにしばらく悩まされ、ようやくエントツのある「世田谷清掃工場」へたどり着いた!と思ったら、エントツの周り一帯が白いフェンスで囲まれ、何やら工事中の様子。

なかなか世田谷に足を運ぶことのない私はまったく知らなかったのだが、世田谷清掃工場は平成14年9月に焼却炉を停止し、現在大規模な建替え工事が行われているそうだ。
あのエントツはどうなるんだろう…。なくなってしまうんだろうか。気になったので、フェンスに貼り出されていた「監督員事務所」の電話番号に問い合わせてみると、エントツの内側部分は建替えられるものの、外側は同じデザインで塗装をし直して再利用されるとのこと。つまり、エントツの外観は現在のまま(むしろ綺麗になって)、平成19年に予定されている工事終了の時から現役復帰するわけだ。これで安心!

工事現場のフェンスの周りを歩いていると、電信柱にエントツについての説明書きが貼られていた。

「この雲のような煙突は1988年みなさんのデザイン公募によって選ばれました。
どんな天気の時でも、きれいです。」

なるほど、公募! それでこんなにオリジナルなデザインになっているのか。それまでは赤と白の縞々のデザインだったというから、新デザインはさぞかし斬新に映ったことだろう。工事が終わったら今度は足元からじっくり見上げてみたいものである。(スズキナオ)