10月になって、ワインショップやスーパーマーケット、そしてコンビニエンスストアでも「ボージョレ・ヌーヴォー予約受付中」の看板やフライヤーを見かけるようになりました。2014年の解禁日は、11月20日(木)。
毎年、一部のワインバーやイベント会場ではお祭り騒ぎになる様子がニュースになったりしますよね。

実は筆者、昨年まではボジョレー・ヌーヴォーの美味しさをイマイチ実感できず……。何だか味が薄くて甘い印象が拭えず、うーん……という感じ。しかし昨年、某ビストロで頂いたボジョレーがびっくりするくらいとっても美味しかったのです。ブドウが凝縮されている味ながら飲み口スッキリ、エレガントな味わいに感動。

ひょっとしてこれまでボジョレー・ヌーヴォーのセレクトや飲み方に問題があったのかも?
という訳で今回は、代々木や逗子、仲町台にワインショップを構える「a.day」のオーナー松尾明美さんにお話をお伺いしました。


―――まず、基本の基本なのですが、ボジョレー・ヌーヴォーは、フランス・パリの東南に位置するブルゴーニュ地方の南部、「ボジョレー地区」で夏の終わりに収穫したぶどうを、その年のうちに仕上げた新酒、で良かったでしょうか?

松尾さん(以下:M)「はい。ボジョレー地方で栽培されているぶどうのほとんどは、ガメイ種と言われる少し大粒で病気に強い品種です。ストロベリーのようなな香りが印象的で、フレッシュでフルーティなワインになります」

―――ワインラバーの間では、よく「今年の出来は~」という話が出ますが、ずばり“今年の出来”はいかがでしょうか?

M「生産者からの情報によると、8月下旬から9月下旬まで雨もほとんど降らず晴天が続いたので、健康で良質なぶどうが育ったとのこと。ラズベリーやストロベリーの果実味が例年以上に引き立つようなヴィンテージになりそうだとのことです。ガメイ種の魅力を楽しんで頂けるヴィンテージになりそうですね」

―――そうなんですね! ますます楽しみです。とはいえ、一言でボジョレーといっても、さまざまなメーカーから販売されています。
お値段もまちまちですが、これらを選ぶ時の判断はどうしたらいいのでしょうか?

M:「ボジョレーのワインを飲まれる機会は、新酒のこのシーズンしかないという方も多いかと思います。でも、ブルゴーニュの南、ローヌの北に位置するボジョレーは標高200~400メートルの南や南東向きに広がりガメイ種の産地として世界的に有名な場所なので、ぜひいろいろと試して頂きたいです。なかでも自然派のワインは日本の食卓にとても合うのでオススメですね。また、同じボジョレーといっても、収穫の地区や生産者のこだわりによって味わいが違うので、お店の方に合わせたいお料理や味の好み、希望金額を伝えて相談してみるのが安心だと思います」

―――なるほど。ちなみに松尾さんのオススメはなんでしょう?

M「『a day.』OPENからずっと人気なのは、『ジェローム ラコンダミン』 。 日本では、あまり有名ではないかも知れません。
So2無添加。ノンフィルター、自然農法。ガメイ種の魅力がとても、チャーミングに表現されているハッピーワインです。歴史ある自然農法で育つ樹齢85年の古木からなる『ドメーヌ デュ ヴィスー』も、毎年素晴らしいワインを造ります。この二つの造り手は、ぜひ飲んで頂きたいですね。飲み比べることでいっそう、ボジョレーの魅力に触れることが出来ると思います」

―――次に、飲み方ですが、赤ワインと言うとあまり冷やし過ぎない方がいいような気がしますが、ボジョレーも同じように扱って良いのでしょうか?

M「意外に、飲まれる温度に左右されるワインかもしれません。
冷えすぎても大丈夫とは言えない。10~12度くらいという微妙な温度あたりをおススメします」

―――では、通常の赤ワインよりは冷やし目の方が良さそうですね。こんな話を聞くと、早く飲みたくなってきてしまいました(笑)。ワインだけで頂くのもいいですが、やはりお料理と一緒に飲みたいところ。 ボジョレーに合うお料理はなんでしょう?

M「冷やし目に飲むワインなので、豚や鶏、魚介にも合います。季節の食材もバッチリ。
秋の日本の味覚にぜひ合わせて欲しいです。そろそろ、出てきた生牡蠣もキノコも秋刀魚もウナギもおススメですよ。たとえば、生牡蠣(少し胡椒とレモン。フランスでは良くある合わせ方のようです)、キノコのソテー(ワインを一振りで香りづけ、あまり酸味の残らないように仕上げて)、秋刀魚の塩焼き(大根おろしとカボス、肝のあたりもいい具合に合います)、ウナギ(手に入りにくくなったうなぎですが、脂分を流してくれます)ヌーヴォーパーティでシェフに作ってもらったのは、赤ワインで煮たお米の上に赤ワインで煮たうなぎの箱寿司。締めの1品バッチリでした」

―――秋刀魚やウナギとボジョレー……日本ならではのマリアージュですね。これまで、無難に生ハムやパテと合わせていましたが、ぜひ今年はいろんなお料理と合わせてみたいと思います!

以上、松尾さんにお話を伺って、ボジョレーは単にお祭りというよりも、秋の味覚にもピッタリな新酒の味わいを楽しめる素敵なワインだという事が改めてわかりました。
ぜひ皆さんも、食欲の秋をボジョレーと美味しいお料理で満たしてくださいね。
(ミカマイコ)