中華丼などにうずら卵が入っていると、宝物のように最後まで残しておく! という人や、串揚げ屋などでもうずら串にテンションあがる!! という人は多いのでは? 普段は鶏卵の影に隠れてさほど目立たない存在だけれど、うずらの卵ってなんだかカワイイ。

そんなうずら卵の、日本唯一の専門店を紹介したい。

オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

ここが、埼玉県所沢市にあるその名も「うずら屋」だ。ドアの窓がうずらの形状になっていたり、卵のオブジェがあったりと、乙女心をくすぐる外観。実はこの店最大の特長は、フランス・ブルターニュ地方の血統を受け継ぐうずらが生んだ卵のメニューが味わえることなのだ。


10個のフランスうずら卵を使った贅沢なオムライスも


運営は埼玉・所沢で養鶉(ようじゅん)場を営む株式会社モトキ。もともとは現社長の祖父が東京で営んでいた乾物問屋「本木商店」がルーツだそうで、第二次世界大戦など紆余曲折を経て、昭和31年頃よりうずらに特化するようになったらしい。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

内観もフランスの片田舎にある、家庭的で洒落たビストロのよう。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

お店で一番人気という、とろとろ卵をのせたオムライス「フランスうずらの贅沢オムライス」(1000円)。

フランス原産のうずら卵はまったりとクリーミーで、熱を加えても白身の部分がふわふわなため、オムライスにはぴったりなのだとか。うずら肉入りのバターライスと、上品なお菓子を思わせるうずら卵オムレツが合わさって、まさに「うずらづくし」。1人前に10個のフランスうずら卵を使って、贅沢に仕上げている。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

「極上フランスうずらのまったり濃厚大人プディング」(1個380円)はネット通販で最も人気の商品。
フレッシュなミルク、うずら卵、カラメルという3層に分かれているプリンは、ひとくち食べると、ほとんど甘くないことに衝撃を受けた。新鮮なうずら卵のコクとまろやかさを、究極に生かした味なのだ。
プリン好き、うずら卵好きなら一度は味わってみたい逸品かもしれない……。

フランス産うずらはハト並みに大きい


そもそも、フランス原産のうずら卵と、日本のものはどう違うのだろう……? 代表の本木裕一朗さんにお話をうかがってみた。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

こちらがフランス原産のうずら。まず、両者のいちばんの違いは大きさだという。
「日本のうずらは大人のにぎりこぶし大の大きさですが、フランス原産のうずらはハトくらいの大きさがあります。肉もジビエ食材として、グルメなフランス人に卵と同じくらい愛されてるんですよ」
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

身体の大きさが違うということは、当然生む卵のサイズにも差がある。左がフランスうずらが生んだ卵、右が国産のもの。
殻のマーブル模様は変わらないが、フランスうずらが生んだものは国産の約1.5倍くらいの大きさがある。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

「うずら屋」で販売している、フランス原産うずら卵「エル・フランス」(12個入り・700円)。ビタミンB2が鶏卵の約1.5倍もり、パッケージも素敵なので、料理好きな友人知人への手みやげにも喜ばれそう。ネット通販では注文殺到のため、予約待ちの状態とか! ワインの搾りかすなどを与えているため、オムレツなど洋風の料理に使うのがおすすめだそうだ。


モーツァルトを聴かせて飼育


本木さんがフランス原産のうずらを現地まで視察に行ったのは2001年のことだったという。翌年に卵を国内に持ち込もうとしたところ、空港の検疫で足止め。

「そのため、検疫所に保温器を持ち込みまして、17日かけて卵を孵化させ生後14日の検疫を経てヒナを連れ帰りました。若かったということもありますが……」とのことでビックリ。
オムライスもプリンも! 日本唯一のうずら専門店

そんな離れ技(!?)で海を越え日本へ渡ったヒナたちも、いまではなんと3千羽に繁殖(ちなみに、日本種のうずらは17万羽飼っているとのこと)。

うずら達には『タンパク質の音楽』深川洋一・著(ちくまプリマーブックス)という本を参考に、モーツァルトを日々聴かせているそう。本木さんによると、卵の大きさに影響があるのだとか。そういえば、筆者がよく行くピロシキ屋さんでも、パンの生地にチャイコフスキーを聴かせたりしているのだが、音楽が人間だけでなく、生体や発酵にも影響を及ぼすというのはなんとも不思議……。

なお、フランス原産のうずらは「シャントゥ・カィユ」というブランド名がつけられているのだが、これは“歌ううずら”という意味だそうだ。

ちなみに、フランスでもうずらの卵は普通にスーパーなどで売られているらしい。
一般的な食べ方などもうかがってみたところ、
「茹でて殻をむいたものを野菜とともにピクルスにしたり……ということが多いですね。あちらには卵を生で食べる習慣がないので」とのことだった。

折しも、 もうすぐ日本でも少しずつ広まりつつあるイースターがやってくる(今年は4月16日)。 この日はキリストの復活を祝う日なので、 欧米では命の象徴である卵を食べる習慣があるって知ってました?
鶏卵もいいけど、今年はちょっと変わったうずら卵のデザートなどでハロウィンをお祝いしてみるのもオツです。

(まめこ)