中国では、「どうして通信速度がこんなに遅いのか」と感じるインターネット・ユーザーが多い。そんな不満を裏付ける“痛い数字”も発表された。
コンテンツ配信の世界的大手の米アカマイ社によると、中国におけるインターネット接続の平均速度は1.4Mbpsで、世界第90位だった。「遅さの理由」には通信会社の“インチキ”も関係しているという。中国新聞社が報じた。

 別組織の発表だが、中国におけるブロードバンド利用のダウンロードの早さは、2010年上半期(1-6月)時点で世界第79位とされた。その時点でも「嘆きと不満の声」が上がったが、2011年末には「世界90位」という、さらにショッキングな数字がでた。

 中国政府系のCNNIC(中国互聯網信息中心=中国インターネット情報センター」は1月、中国のインターネット・ユーザーは2011年12月末時点で、前年比5580万人増の5億1300万人に達したと発表した。
諸数字を総合すれば、「規模が大きくなるだけで、使い勝手は悪くなった」現実を突きつけられた格好だ。

 重慶市の通信会社の技術責任者は匿名を条件に、接続速度を低下させている「通信会社のインチキの手口」を暴露した。中国では、世帯に直接光ケーブルを通すことは一部の高級住宅でみられるだけで、マンションなどでは、棟まで非対称デジタル加入者線(ADSL)の回線を通し、各世帯に構内情報通信網(LAN)で分配することが多い。

 ADSLの通信速度が100Mbpsである場合、たとえば「10世帯に分配し、各世帯で10Mbps通信速度を確保する」ことになっていても、実際には15世帯に分配することが普遍的現象だ。同技術責任者によると「水増しが5世帯どころでない」場合もあるという。

 各世帯が同時にインターネットを使おうとすれば、通信速度が目に見えて落ちるのは「当然の結果」であり、通信会社は「設備の拡充を行わないなどで、消費者をだましている」のが現状という。


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◆解説◆
 中国人のインターネット技術者によると、北京や上海などの大都市では、「通信速度が遅い」との不満はかなり解消された。しかし、それ以外の地方では、「遅さ」に苦しむことも多いという。(編集担当:如月隼人)