「漫才を勉強しようか、って話をしてたんですよ」

 破壊力に満ちた今野のキャラとボケによって、見る者の腰を砕いていくキングオブコメディ。2010年の「キングオブコント」で優勝を果たす前から、その折り紙つきの実力でコントの道を驀進していた......と思いきや、高橋の口から意外な言葉が漏れた。


高橋 「漫才に揺れてた時期もありました。ちょっと前にはやったショートネタをやる番組にもあんまり出られなかったし、かといって長いコントを競う大会もないので、自分らのネタを見せる場がなくて。コントだけじゃ難しいかもって考えてたら、『キングオブコント』が始まったんです」

今野 「今思えば、いいタイミングでしたね」

高橋 「これでようやく目指すものができたから、コントを全力でやろうと」

 結果、三回目の挑戦にして初の決勝に進出。「誘拐されても平然としている子ども」「教官の言うことを聞かない自動車教習所生徒」という今野の勝手さが際立つキングオブコメディの揺るがない世界観で、審査員席の芸人たちを圧倒。ジャルジャル、しずる、ピースなど、実力と人気の揃った難敵を退け、堂々キングを戴冠したのだった。それから1年......。

高橋 「いや~。僕ら自身何も変わってないですよ」

今野 「ただ環境はちょっと変わりましたね。ネタ見せをしないでテレビ番組に出ることもあったり、ライブでトリになることも多くなったり」

高橋 「いい意味で、芸人としてのハードルは上がったかもしれませんね。あと今までは今野が騒ぐだけのコントだと思われていたのが、『ちゃんとしたネタをやってる』と思ってくれる方が増えたのはありがたいなと」

 2人のコントの面白さが認知された最近は、ツッコミの高橋に注目が集まり、芸人として新たな展開を見せている。バナナマン・設楽がテレビやラジオで、高橋の人間性のおかしさに言及し、トークバラエティ『ニコニコキングオブコメディ』のDVDでも、始発が出るまで代々木上原駅の路上で横たわっていたエピソードや、天井がペナントで埋め尽くされた自室の映像など、高橋の奇人ぶりが伝わる事実が数々紹介されている。

 「食に対する意地汚さとかすごい。

打ち上げの居酒屋でひとり残って、みんなが食べ残したエビの尻尾を吸ってますからね」と今野が指摘すると、「エビも尻尾のミソを一吸いすれば成仏するでしょ?俺は、もったいないという日本人の美徳を啓蒙していきたいんだよ!」と高橋はうなずけない自説を延々と熱弁。コントにおける"まともじゃない人=今野・まともな人=高橋"の構図は完全に逆転している。

今野 「まあ、凄みが出てきましたよね。昔から凄みはあったんですけど、俺だけが知ってたこいつの凄みが、最近になって周りにも伝わってきた」

高橋 「なんだよ凄み凄みって。その言葉、使ったことないだろ」

今野 「昔からいじりたかったんですけど、俺の見た目がいかにもボケなんで、それはヘンじゃないですか。でも最近はこいつのほうが凄みがあるから、いじっても自然に見える」

高橋 「というか、今野がいじられるのを嫌がるんですよね。

だから俺がビジネス的な必要性を感じていじられてるだけで」

今野 「えっ!? 駅前で寝てたのもビジネス?」

高橋  「そうだよ、お前が寝ないから寝たんだよ。そういうもんだろ、コンビって!」
(文=鈴木工)

本日29日22時よりニコ生&USTREAM2元生中継!
「ニコキン生!」キングオブコメディDVD『冗談にもほどがある! 』発売直前生放送スペシャル!!
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ニコ生→http://live.nicovideo.jp/gate/lv64713213
Ustream→http://www.ustream.tv/user/cyzo_tv


●キングオブコメディ
高橋健一(1971年、東京都出身/ツッコミ/写真左)、今野浩喜(1978年、埼玉県出身/ボケ/写真右)からなるお笑いコンビ。プロダクション人力舎が運営する、スクールJCAの同期生。2000年にコンビ結成。05年に第3回お笑いホープ大賞を受賞、10年にキングオブコント2010で優勝。名実共にキングオブコメディに。

現在、テレビのバラエティ番組などで活躍中。単独ライブはチケットの入手が困難なほど人気を集める。


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