「おれは剣術を使えねェんだコノヤロー! 航海術も持ってねぇし! 料理も作れねェし! ウソもつけねェ! おれは助けて貰わねェと生きていけねェ自信がある」
「そんなプライドもクソもねェ、てめェが一船の船長の器か!? てめェに一体何ができる!」
「お前に勝てる」

どん!!

ひとつなぎの大秘宝ワンピースを見つけ出し、海賊王を目指す麦わら海賊団船長ルフィと、魚人海賊団アーロンの戦闘の一シーンの生セリフ。演じているのは田中真弓と小杉十郎太だ。


8月25日(土)夜9時、土曜プレミアム「ワンピース エピソード・オブ・ナミ〜航海士の涙と仲間の絆〜」の放送が決定。放送にさきがけて、8月10日、東京お台場で開催中の「お台場合衆国2012」で公開記者発表が開催された。

現オープニング、「ウィーゴー」のイントロが流れ、きただにひろし登場。ライブからイベントスタート!

ライブが終わり、ルフィ役の田中真弓、ゾロ役の中井和哉、ナミ役の岡村明美、アーロン役の小杉十郎太、AAAの西島隆弘、日高光啓、宇野実彩子、プロデューサーの柴田宏明が登壇。

トークコーナーでは田中真弓がいきなり、「今回、『ワンピース エピソード・オブ・アラバスタ』……じゃなかった!」と、別シリーズのタイトルを口走ってしまい、中井和哉、柴田宏明プロデューサーにいじられていた。

「ワンピース エピソード・オブ・ナミ」は、麦わら海賊団の航海士ナミが、ルフィたちと出会ったころの物語。
現在アニメで繰り広げられている魚人島編でも話に出てきたアーロンが活躍(?)している。

当時、ナミはルフィたちと行動を共にしていたけど、戦闘になれば姿を消し、金目のものを見つければ奪い、麦わら海賊団の大切な船、ゴーイングメリー号さえも盗んで、逃亡してしまうようなキャラクター。「ルパン三世」の峰不二子と仲がよさそうだ。
なぜナミが、宝に執着するようになったのか。それは、ナミの故郷、ココヤシ村に突如やってきた、賞金首の魚人アーロンが大きく関係している。
原作では、第8巻(現在は63巻まで出ている!)、アニメでは2000年に放映開始、12年も前のエピソード。


なぜいま、ナミとアーロンの物語なのか。プロデューサーの柴田宏明が説明する。
「2011年8月に土曜プレミアムで放送された『ワンピース エピソード・オブ・アラバスタ 砂漠と王女の海賊たち』内で、15分だけの新作映像を追加しました。それがとても好評で、『来年は新作で2時間つくりたい』という話になったのがきっかけです。原作でも一、二を争う人気エピソードなので、ナミとアーロンの話をやりたいなと」
おれはてっきり、過去の映像を多く使いまわした作品になるのかと思っていたら、どうやら違うようだ。絵はすべて描き起こし、アフレコも一からやり直したそうだ。


「いまのナミはもうなにかあっても、助けにきてね! って言えます。でも、このときのナミは、まだルフィたちのことは『いいやつらだったな』と思うくらいの仲。ルフィたちを傷つけたくないけど、助けにきてとはまだ言えない。あのころのナミに戻れるか心配でした」
「ゾロもこの当時、世界最強の剣士ミホークに負けて、はじめての挫折から立ち上がったころ。汚れを知らないゾロに、汚れちまったいまの俺がどこまで戻れるのかと思ってました(笑)。」
12年前のキャラクターをもう一度演じるにあたって、岡村明美、中井和哉もそれぞれ苦労したよう。

当時はアフレコのときはナミだけ別録りだったりといろいろ工夫していたそうだ。
声優さんたちの仲の良さが物語に影響しないようにしたという。「リアリティの追求ですよね」と田中真弓。

あ、そうそう。その収録現場に潜入取材した様子が、「ワンピース エピソード・オブ・ナミ」前番組「リアルスコープZ」で放送されるらしい。
田中真弓の身長(たぶん、150センチ前後くらいかな?)に合わせた高さの、通称「ちびっこマイク」とやらをおれは見てみたい。
「(ちびっこマイクをつかうときは)いつもこうやってアフレコしてます」と、中井はリンボーダンスかってくらい腰を低くして再現していた。


「『ワンピース』をまだ観たことがないという話を聞くと、すごくもったいないと思う。今回、チャンスですよ。ぜひ観てください」
「エピソード・オブ・アラバスタ」という言い間違いを指摘され、何度も会場を盛り上げてきた田中真弓が真剣に語る。

おれも、12年経ったルフィやナミたちがいったい、どう変わっているのか、確かめてみたい。いっそ、DVDで当時の映像と観比べていってもいいかもしれない! それほど楽しみにしているよ。
(加藤レイズナ)