朝ドラ「あさが来た」(NHK 月〜土 朝8時〜)10月9日(金)放送。第2週「ふたつの花びら」第11話より。
原作:古川智映子 脚本:大森美香 演出:西谷真一
原作ではもっと可哀想な姉はつ「あさが来た」11話
NHKドラマガイド「連続テレビ小説 あさが来た」Part1 NHK出版

11話は、こんな話


婚礼3日前、あさ(波瑠)ははつ(宮崎あおい/崎の大は立)に駆け落ちしようと誘ってみるが、そんなことできるわけもなく、ふたりは手をつなぎ姉妹の絆を確かめあう。
その翌朝、突然、新次郎(玉木宏)が父・正吉(近藤正臣)と一緒に訪ねてきた。長男が亡くなったので、嫁入りの話を見送らせてほしいと言う。

忍耐忍耐


婚礼を前にして、忠興(升毅)は、娘ふたりに、「ふたりとも、しっかりお家を守れ。帰ってくるなよ」と言葉をかける。うわー。
ナレーションでも、“この頃、遠方に嫁にいった娘はよほどのことがないかぎり実家に帰ってくることができなかった”と説明。
うわー。
そういえば、新次郎も、本家を長男が継ぐからこそ、気楽に三味線や茶道など芸事に熱中していられたわけで。長男亡き後、状況が変わりそうな気配・・・。
とりあえず、結婚が延期になってしまい、あさとしては、すっかり、新次郎にラブモードで、久々に会うとき、髪をなでつけたり色気付いているくらいだから、がっかりぽん(びっくりぽんを勝手に応用してみました)だろう。
あさは、無邪気にほのかな恋心を抱いていたり、こっそり読んだ本に描いてあった「駆け落ち」を姉としようとしたり、勉学以外はかなり精神的に未熟に描かれている。

一方、はつは、妹と2歳しか違わないのに、ずいぶんと精神的に早熟に描かれていて、何もかも飲み込んでしまう苦労人。
滅多に頼み事をしたことのない彼女の婚礼を前にしての頼み事は、妹のためを思ったもので。うめ(友近)をあさにつけてあげてほしいなんて。そんなに我慢ばっかりして体に悪いと心配になる。
おじいちゃん(林与一)が、あさばっかりかわいがっているのも、なんだかちょっと憎らしくなってきた。
なんでこんなに不平等なのか。
原作だと、はつのモデルであろう春というお姉さんは、異母姉でその母は女中とあるので、待遇が違っても無理ないような気もする。
お父さんが「春よりも賢い浅子(あさのモデル)をかわいがり」なんて記述もある。原作だと堂々と主人公が恵まれまくっている。

「あさが来た」では同じお母さんの子供で、父母もふたりに平等に愛情を注いでいるような感じではある。ここを原作どおりにしてしまうとかなりドロドロした感じになるからあえて取り入れなかったのだろうが、逆に釈然としない気分。
宮崎あおいが、必死に感情を殺して穏やかであろうとしながら、かすかに皮膚から心の揺れが滲む演技をさりげなくやっている。まだ若いのに、ベテランのような雰囲気。
やっぱり大河ドラマの主役などを乗り越えてきたひとは違う。
(木俣冬)