サッカー日本代表の森保一監督(57)が13日、都内でスポーツ報知の単独インタビューに応じ、32強(決勝トーナメント1回戦)で敗れた北中米W杯を振り返った。1―2で逆転負けを喫したブラジル戦の采配や反省、主将のMF遠藤航(34)=リバプール=を直前で外した経緯など包み隠さず明かした。

来年1月のアジア杯(サウジアラビア)までの続投が決まっている指揮官が9月24日のウルグアイ戦(宮城)での再スタートを前に、激闘の記憶をひもといた。(後編 取材・構成=金川 誉)

―(前編で話したように)ブラジル戦は勝つための采配には、どんな可能性があったか。

「 先発の起用の仕方、交代の部分。(途中交代させた堂安)律か(伊東)純也を残す、(シャドー)純也をサイド(WB)にして(WB)律を前(シャドー)にしてポジションを変える、純也をサイドの起点に残しておいて、シャドーだけ変える。これは本当にタラレバで、何通りもある。トップのところも、 ワントップ2シャドーだったので、そこを2トップにして、CBとアンカーをより止めることができれば。他は1対1の局面になるんですけど、それは普段からやってきました。今回、ダブルチームで(守っている)と言われていますけど、それよりも1対1で勝てるでしょって、勝つ力をつけていこうよ、という考えからの組織力っていうことでやってきたので、ドイツ戦とかスペイン戦とか、親善試合のブラジル戦のような形により持っていければよかった。その3試合で言うと、 前半失点して、後半はもう(リスクを負って)いかなくちゃいけない状況だった。この試合でも、 最初から、途中からでももっとギアを上げられるように、(先発や交代策を)組み込んでいくことはあってよかったかなと」

―選手たちは「一体感は世界一だ」と言った。それでも勝てず、個の力が足りなかった、と受け止めた。森保監督はどう捉えているか。

「両方、求めています。「和を以て尊しと為す」、チーム一丸になり組織⼒をもって戦うっていうのは⽇本のいいところ。これはもう絶対的にベースに持っていないといけない。 ただ、世界で勝つためには組織⼒ありきのチームじゃなくて、個がより強く⼤きく、⼀対⼀で局⾯を勝っていける選手たちが、連携、連動して機能することが⽇本の良さ。そこは世界を上回ることができると思っている。個にフォーカスはずっとしています。ただ、でも戦い⽅としては、連携、連動を常に、選⼿たちには要求はしている。過去の戦いの中でいうと、オランダでやった2021年のカメルーン戦は、個を強調し、マッチアップで戦った。でも選⼿たちとも、リスクは取らないといけないけど、もっと合理的にというか、うまく戦えるんじゃないのか、 組織として戦うっていうこともしっかり⼊れていかなければいけないっていうことは、その試合でまた共有しました。それはカタールW杯前です。ただ組織でやっていても、実は責任を決めている、誰と誰がマッチアップして、相⼿を抑えていく部分であったり、相⼿を崩していく部分は考えてきた。だから、どちらかに振れるとかはないですが、極論は個ですよね。

全員が個で勝てると、やられることはないので」

―ブラジル戦も含め、もっとこうしておけばよかった、と思うことはあるのか。

 「それは常に思うんじゃないですか。思いますけど、反省はあるけど、後悔は全くない。その時ベストだと思ったことを考えて、考えて、考え抜いて決めてやるわけなので。そういう意味での自分が凝り固まるもの、違うアイデアを出せなかったことは、考えます。ブラジル戦に限って言うと、イングランドに(親善試合で)あの形で勝っていますし、実際(後半ATまで)守れていたので、それは世界が嫌がっていたのもわかっていた。そこには成功体験が結構入っています。本当は、チュニジア戦(のサッカーが)が一番やりたいことです。でも相手との力関係でやりたいことが変わってきて、やりたいことと、やらなければいけないことが変わってくる。それは、サッカーの中で当たり前に起こる。我々が優勝したスペインだったら、より自分たちのやろうとすることを表現できるかもしれない。本当にやりたかったことは、4試合でいうとチュニジア戦です。

複数点を取って、チャンスをたくさん作って。自分たちは弱いなんて言うつもりはないです。優勝という目標も掲げ、ダークホースとして優勝する、という狙いはチームでは共有できていました。理想通りにいかなくても、粘り強く戦うということは、できていた。戦い方としては賛否両論、色々な見方があるので、批評してもらえればいいと思います。自分の中では、あの時のベストなメンバーで、選手たちは最高のプレーをしてくれたと思っています」

―これもたられば、だが(W杯最後の親善試合だった)アイスランド戦で遠藤航を外す、という決断をできなかったことは、後悔していないか?

「あの試合は実はジャッジする試合でした。航だけじゃなくて、トミ(冨安)、滉(板倉)が、シーズン通して終盤、プレーできてなかった。あそこでどれだけできるかっていうことを確認して、スタートから長い時間プレーをしてOKであれば、そこでジャッジして(キャンプ地の)モンテレイに行く、で、W杯に向かう予定だった。航はそこで怪我して…実際、次の日の状況もかなり、靴も履けない、普通に歩けない状態だったので。ただメディカルと話して、まだ回復できると報告で受けて、ディスカッションして、そこでジャッジをモンテレイに引き延ばした。ジャッジを遅らせてしまって、かつ航を外すジャッジになってしまったっていうことについては、本人も苦しませ、悲しませ、家族や彼を応援してくれている人たちのことも、苦しませたり悲しませたりとかしたところはある。アイスランド戦でジャッジしておけば、それでも痛みはあるとは思いますけど、もっと彼にとって、彼の周囲の人たちにとっても、少しでも(痛みを)軽減させることができたかもしれない。

かつ、代わりに町野を入れましたけど、モンテレイのスタートからいたら、もっとチームにフィットさせられたかなというところは、彼のコンディションも、チームとしてもあったかなとは思います。ただ、航の存在の大きさも間違いなくあった。キャプテンとして、試合に出られなくてもチームに貢献する、影響力も考えた。そこのジャッジが甘くなったかどうかはわからないですけど、どうだったのかなっていうのはあります」

―8年間やって後悔はなく、チームは一体感を持った戦いだった。それでも勝てなかったことをどう解釈しているのか。

「ブラジル戦だけではないですけど、自分が本当に戦い方に工夫、選手起用であったり、選手に働きかけることであったりっていうことを変えていければ、勝ててたんじゃないのかなって思えるところはあるので、自分自身の力はまだまだつけないといけない、対応力、選択肢を持って、適切な判断、決断につなげられるようにしないといけないなとは思います。勝った負けたでいうと、負けは自分の責任です。だけど選手たちは、チームのスタッフは、もう本当に最高のことやってくれたと思います。勝負の世界なので、プロセスを見てもらえないは理解しています。ただプロセスを見たら、(4年前よりレベルが)上がったか下がったかっていうと、間違いなく上がってます。オランダ戦、ポット1のチームが最初から引いてくるなんて、これまでW杯ではない。2度リードされて追いつくメンタリティーと、実際の力で言うと、過去にはなかったものを見せれたと思います。

チュニジア戦も相手の状態がどうであれ、監督が代わって逆に死に物狂いでやってきた相手に、あれだけの内容と結果を得られた。力は間違いなくついてると思います。

―残りの半年間について。アジア杯優勝は目標になる

「今よりも少しでも成長することであり、それは攻撃も守備も全部です。選手たちに高みを目指すことを提示し続けることかなと思います。アジア杯を取りに行くことはもちろんですが、アジアのトップだけ考えていたら世界に勝てない。(アジアと世界では)戦い方が違うっていうことはあまり言いたくないと思っているんですけど、そこはしっかり先を見据えて、世界で勝っていくために、アジアの戦い、こういうタイプの相手に対しても勝てることを示して、力、自信をつけられるようにしないといけないかなとは思ってます」

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