◆テニス ▽全米オープン予選最終日(28日、米国・ニューヨーク)

 【ニューヨーク(米国)28日=吉松忠弘】今季限りで引退する元世界ランキング4位の36歳、錦織圭(ユニクロ)が敗れ、現役最後の4大大会に幕が下りた。予選決勝で、盛田正明テニス基金の後輩で、世界157位の20歳・坂本怜(IMG)に4―6、6―7で屈し、07年に全米予選に出場して20年目、50回目の4大大会に別れを告げた。

錦織に残された大会は、9月30日開幕の木下グループ・ジャパン・オープン(東京・有明)だけ。坂本は、今年の全豪以来、2度目の4大大会本戦出場となった。

 時速約220キロのサーブが、錦織の目の前を、風を切って通り過ぎた。世界一のリターナーと言われた錦織が1歩も動けなかった。現地時間午後1時55分。3度目のマッチポイントで力尽き、「ちょっともう無理だな」と、自身最後の4大大会を終えた。

 強烈なショットに、ドライブの利いたフォアやバックハンドで応戦したが最後は圧倒された。ネット越しに、コート上で大の字に転がる坂本を見る。「寝てるわ」と苦笑いしながら、ゆっくりと近づき、4大大会最後の握手を交わした。坂本に長身を折り曲げられ、抱きしめられた。自分のベンチに戻ると、タオルをかぶった。

 日本のエース候補として期待される坂本は同じ米フロリダ州のIMGアカデミー出身で、成長を見守ってきた16歳下の後輩だ。

心に複雑の思いが渦巻いていた。「やり切ったけど、やり切れていない」。それでも、「当たって砕けろで、砕けた感じ」と納得させた。ベンチに戻り、坂本の喜ぶ姿を見ながら「最後のろうそくの火が彼にすべて消された。怜が相手で良かった」。だから少し「すがすがしい気持ち」が湧いた。

 最後の4大大会とはいえ、敗退は勝負師の魂に火をつける。実は「未練は全然ある」と心は死んでいない。「今日の試合も、納得いく試合ではない」と、いつでも再戦を望んでいる。だが、それには、もう残り1大会しかない。

 5月1日に引退を発表してから、9月30日開幕の木下グループ・ジャパン・オープンでぶざまなプレーをしたくないという強い思いだけで、大会に出てレベルを上げてきた。全米前にはツアー4大会に出て、1勝するのが精いっぱい。

しかし、全米の予選では2勝し、準備さえすれば戦えることは証明した。

 錦織がこの日の試合後、スタッフと会ったときの第一声は「(また)練習ですね」だったという。「練習したい気持ちは全然あるので」。少し休んで、テニス人生最後の舞台、ジャパン・オープンのために始動する。

 【圭に聞く】

 ―試合をやってみて。

 「上のレベルになると球も速い。やっぱり、ついて行けない感じ。ちょっと体も反応してくれなかったんで、悔しいところもある。まだジャパン・オープンがあるが、1回、(ろうそくの)火が消えた」

 ―坂本と試合をして。

 「(坂本が)むちゃくちゃ成長した。僕は負けた身だけど、まだ足りないところはあっても、あれだけいい球、いい攻撃的なプレーは、2、3年前はまだ(なかった)」

 ―本戦のワイルドカード(主催者推薦枠)が与えられなかった。

 「特に気にしていない。

予選に出られただけでもうれしかった。ラッキーだった。グランドスラム(4大大会)に優勝していなくて、マスターズ(大会)のタイトルを持っていない選手がワイルドカードをもらうのは大変」

 ―最後、ジャパン・オープンが待っている。

 「今、ちょっと1回、火が消えたので(笑)。まだ3週間あるので、何日か休んで、体もリカバリーしないといけない。練習すれば、またやる気は自然と出てくるので、その心配はしてない。最高のテニスをしたい」

 ◆錦織圭の4大大会シングルス本戦勝敗

 ▽通算 104勝46敗

 【全豪】 28勝11敗

 【全仏】 27勝12敗

 【ウィンブルドン】 22勝12敗

 【全米】 27勝11敗

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