6月上旬の東証REIT指数の急落から1カ月。日銀の追加利上げ報道がありながらも、市場は想定外の底堅さを見せ、東証REIT指数が2カ月ぶりに高値へ反発しました。
6~7月の東証REIT指数は、底打ちから反発 2カ月ぶり高値水準へ
東証REIT指数のチャートを見ると、4月中旬から続いた下落トレンドは6月上旬に一服した様子がうかがえます。東証REIT指数は6月8日に1,740.5ポイントと直近の最安値を記録した後、緩やかな回復基調に転じています。
6月16日には日本銀行が政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げることを決定しました。1995年以来、約31年ぶりの高水準です。金利上昇は不動産投資信託(REIT)にとって借り入れコスト増加につながるため、一見ネガティブなニュースに見えます。
しかし市場の反応は落ち着いており、利上げ前後も東証REIT指数は底堅い動きを続けました。すでに市場が利上げを織り込む動きを見せていたことが背景にあります。
7月に入ると、東証REIT指数は1,855ポイント台まで回復し、5月上旬以来約2カ月ぶりの高値水準をつけました。各投資法人が賃料引き上げや財務基盤の強化に取り組んでおり、「金利上昇に弱い」というREITのイメージが変わりつつあることも追い風となっています。分配金利回りは依然5%前後の高水準を維持しており、長期投資家にとって引き続き魅力的な水準です。
また、個人的に注目している動きがあります。
今後は金利上昇をどう乗り越えるか、各投資法人の対応力を見極めることが銘柄選択のカギになりそうです。
「地元」で選ぶ!地域特化型REITという選択肢!今月の注目J-REIT2銘柄!
第4回は「REITの意外な選び方」として、あまり知られていない二つの視点をご紹介します。これまでの連載でREITの基本、投資する不動産の用途、タイプの違いを解説してきました。今回は、利回りや用途以外の切り口で銘柄を選ぶ方法として「地域特化型REIT」を取り上げます。
国内の不動産投資信託(J-REIT)の多くは東京圏の不動産を中心に運用しています。しかし、特定の地域に投資対象を絞った「地域特化型REIT」も存在します。
地域特化型は、用途ではなく「投資エリア」を絞るという点で、特化型の中でも独自の特徴を持ちます。東京圏以外の地域経済の成長に投資したい方や、ゆかりのある地域を応援したい方に注目される銘柄です。
地域特化型REITの主な銘柄
地域特化型REITには、関西圏に重点投資する阪急阪神リート投資法人(8977)、九州・福岡圏に特化した福岡リート投資法人(8968)、東海道地域に投資する東海道リート投資法人(2989)などがあります。今回はこの中から2銘柄を詳しく解説します。
地域特化型REITのメリット・デメリット
▼メリット
東京圏以外の不動産へ分散投資ができます。投資対象を一地域に絞ることで運営効率が上がり、コスト削減にもつながります。また、その地域の経済成長や再開発の恩恵を直接受けやすいのも特徴です。
▼デメリット
投資エリアが集中しているため、地震などの自然災害や地域経済の悪化による影響を受けやすい面があります。東京圏と比べると不動産の流動性が低く、物件の入れ替えが難しいケースもあります。
▼こんな人に向いている
東京圏中心のポートフォリオに地域分散を加えて投資バリエーションを増やしたい人、地元や縁のある地域の経済を応援したい人。
「地域特化型」REITの特徴が分かる!今月の注目J-REIT2銘柄!
今回は、REITの「意外な選び方」として地域特化型REITを取り上げ、対照的な2銘柄をピックアップしました。
[1]阪急阪神リート投資法人(8977):関西圏に重点投資する地域特化型REIT
[2]東海道リート投資法人(2989):東海道地域に重点投資する地域特化型REIT
関西圏を地盤とする大型スポンサーが支える安定型と、東海道地域の産業集積に投資する高利回り型。同じ地域特化型REITでも、投資エリアや戦略によって特徴が大きく異なります。それぞれ、詳しく解説していきます。
[1]阪急阪神リート投資法人(8977)関西圏に重点投資する地域特化型REIT
▼どんなリート?阪急阪神リート投資法人は、関西圏の不動産に重点投資する地域特化型REITです。ポートフォリオ全体の50%以上を関西圏に集中させており、J-REITの中でも明確な地域戦略を持つ銘柄の一つです。
用途面では商業用途区画への投資を重視しており、店舗、飲食、ホテル、劇場など「人が訪れる施設」を中心に運用しています。ポートフォリオ全体の50%以上を商業用途区画とする方針を掲げており、都市の活気を収益に取り込む設計になっています。
旗艦物件は、兵庫県西宮市に位置する大型商業施設「阪急西宮ガーデンズ」です。2008年開業、延床面積約7万558平方メートルを誇る関西有数のショッピングセンターで、鑑定評価額は約183億円。ポートフォリオ全体の約10.2%を占める中核物件です。
スポンサーは100年超の歴史を持つ阪急阪神HD。都市交通、不動産、エンターテインメント、情報・通信など多岐にわたる事業を展開するグループの知名度とネットワークが、物件取得や賃貸経営を強力に支えています。関西圏における沿線まちづくりで長年培われたノウハウが、REITの運用にも生かされています。
信用力の高さも特徴の一つです。日本格付研究所(JCR)からAA-(安定的)、格付投資情報センター(R&I)からA+(安定的)の格付けを取得しており、財務の安定性が高く評価されています。
▼詳細データ
投資口価格:13万8,200円(7月17日)
単元株数:1口
年初来高値:17万1,200円(1月19日)
年初来安値:13万4,000円(6月23日)
時価総額:約961億円
分配金利回り:4.90%
決算回数:年2回(5月/11月)
▼メリット&デメリット
メリット:関西圏に特化することで運用効率が高く、地域の経済成長や再開発の恩恵を直接受けやすい構造です。阪急阪神HDグループという強力なスポンサーによる物件供給パイプラインと高い信用力が安定運用を支えています。東京圏中心のポートフォリオを持つ投資家にとって、地域分散の手段としても活用できます。
デメリット:投資エリアが関西圏に集中しているため、地震などの自然災害や関西経済の悪化が生じた場合の影響を直接受けやすい面があります。
[2]東海道リート投資法人(2989)東海道地域に重点投資する地域特化型REIT
▼どんなリート?東海道リート投資法人は、静岡県を核とする産業地域(静岡県、愛知県、三重県)への重点投資を基軸とした地域特化型REITです。東京と大阪をつなぐ東海道地域は、古来より日本の物流・産業の要衝として発展してきたエリアであり、その安定した経済基盤を収益の源泉としています。
投資対象は、物流施設やオフィスビルなど企業活動を支える「産業インフラアセット」と、住宅や商業施設の底地など生活に密着した「生活インフラアセット」の二つに区分されています。
旗艦物件は、静岡県浜松市に位置する「浜松プラザ(底地)」です。取得価格は約119億円で、ポートフォリオ全体の約16.1%を占める中核物件です。
スポンサーは静岡県を拠点とする不動産デベロッパーのヨシコンを筆頭に、東海道エリアを地盤とする複数社で構成されています。地域に精通したスポンサー群の知見とネットワークが、物件取得や運用を下支えしています。
信用力については、日本格付研究所(JCR)よりA-(安定的)の格付けを取得しています。
▼詳細データ
投資口価格:10万1,100円(7月17日)
単元株数:1口
年初来高値:11万9,400円(1月16日)
年初来安値:9万7,700円(5月18日)
時価総額:約390億円
分配金利回り:6.44%
決算回数:年2回(1月/7月)
▼メリット&デメリット
メリット:分配金利回り6.44%は地域特化型REITの中でも高水準であり、インカム重視の投資家にとって魅力的です。東京圏・関西圏以外の東海道地域に分散投資できるため、既存ポートフォリオへの地域分散効果が期待できます。地域に根差したスポンサー網による物件パイプラインの深化も強みです。
デメリット:時価総額が約390億円と小規模なため、大型REITと比べると流動性が低く、売買のしやすさでは劣ります。静岡、愛知、三重の3県への集中投資であるため、地震などの自然災害リスクや地域経済の悪化による影響を受けやすい面があります。
REIT投資家・かつさんどさんってどんな人?インタビューをチェック!
(かつさんど)

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