もしあなたが「ビールの栓抜き」業者さんで、日本の栓抜きを韓国に輸出したいと考えているのなら、作戦を練り直した方がいい。なぜなら、韓国人男児はかなりの確率で、栓抜きがなくともビール瓶を開けられるからである。


ビールを注文したのに栓抜きがやってこなかった時、それは韓国の男たちにとって、ちょっとした腕の見せどころだ。
待ってましたとばかりに取り出すのは、日本で言うところの100円ライター。片手でビンを握り、ライターをあてがい、素早い動きで鮮やかにふたを飛ばす。シュポッと小気味良い音が鳴れば、ギャラリーからはおおーっと感嘆の声が。韓国のお酒の場で良く見られる風景である。

その様子がなかなかかっこいいので、バーで出会った韓国人にやり方を教えてもらった。

写真のように、ビール瓶のふたに近いところを握り、人差し指や親指にあてがうように、ライターのおしりを差し込む。勢いをつけてテコのようにライターを振り下ろせば、ふたが開くという寸法だ。
ところがこれがなかなか難しい。何度やってもふたは開かず、ライターが削れるばかり。テコになる指も痛くなってきた。
師匠の言によれば、ライターの動きで開けようとするのではなく、力点に瞬間的な力を集めるのがポイントなのだそう。
私はといえば、ビールがぬるくなってきたのでギブアップ。ふがいない。

具体的な統計があるわけではないが、私が周囲の韓国人に聞いてまわった限りだと、成人男性の8~9割がこのテクニックを有しているような感じを受けた。彼らは大学の飲み会で、先輩や友達がやっているのに触れ、何となく覚えるのだそう。
この宴会芸、ライターではなく、スプーンや箸でも対応可能だ。ただ、ライターが一番やりやすいという人が多いよう。

またこれは見たことがないのだが、片手で1本のビール瓶を握り、片手でもう1本のビール瓶を逆さに握り、お互いのふたをひっかけ、やはりテコの原理で2本を同時に開けるという大技もあるらしい。ぜひお目にかかりたいものだ。

その鮮やかなライター使いを間近で見れば、あなたもきっと覚えたくなるはず。韓国人男性とビールを飲む機会があるなら、気さくにリクエストしてみよう。
(清水2000)