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遺灰を打ち上げるオーストラリアの「花火葬」 愛する人の最後を花火で祝う

2018年7月13日 11時25分 ライター情報:青砥えれな

始まりがあれば最後は必ずある。出会いがあれば別れがあるのは、人間のさがだ。

筆者も数週間前に親友を事故で亡くし、葬儀に立ち合った。式典では、故人との思い出の写真がスクリーンで流され、思い出に浸るとともに嘆き悲しむ声や、すすり泣きと言った音が聞こえる中、故人とのエピソードでは、笑い声も聞こえてきた。それぞれに故人を思う思いは違うが、もう会えないのだ、彼女の笑い声や話を聞くことはできないのだと思うと胸が締め付けられた。彼女が旅行に行ったあの日に送った「近いうちに会おう」というメッセージはかなわないものとなってしまった。

オーストラリアでは通常の常識を打ち破るような変わった葬儀の仕方がある。愛する人の葬儀を、故人および家族の次なるステップと捉え、遺灰を花火の殻につめ、打ち上げるというものだ。花火の大きな音と、美しい光り輝く光で悲しみを吹き飛ばすかのようだ。

なぜ花火葬を始めたのか?


このユニークな事業「Ashes to Ashes(アシュズ・トゥ・アシュズ)」を立ち上げたのがオーストラリア・シドニー在住のクレーグ・フルさんだ。フルさんによると、この事業を立ち上げたのは6年前で、最初から簡単にスタートできたわけではないそうだ。少しずつ準備をし、その中でも花火を作るためのスキルには訓練を必要としたという。
Ashes to Ashesオーナーのクレーグ・フルさん

名前の由来は、遺灰は英語で「Ash」、そして花火の灰も「Ash」。flash (きらめく)も考えたそうだが、遺灰は、花火とともに燃えてさらに灰として空に散布されることから、Ashes to Ashes(遺灰から灰へ)となったそうだ。

最初の依頼はペットの葬儀だった。「長年一緒に生活してきたペットはベストフレンド。そのベストフレンドに何かしてあげたい」という依頼主の依頼で花火葬を手がけた。人の葬儀を行ったのは2014年。依頼主は1994年に亡くなった祖母と、2010年に亡くなった母親の遺灰を花火葬で送り出すことにした。依頼主は、故人は花火が好きだったというエピソードも含め、「彼女たちの霊を送り出すのにいい時期だ」と現地メディアでも語っている。

打ち上げまでには多数の許可と交渉が必要


花火葬を手がけるためには、山ほどの許可承諾と交渉がある。かかる日数は30日になるという。

まずは花火。人の遺灰は3キログラムになるのだが、それを10グラムずつ、一つの花火に詰める。一部を詰めるというイメージを持っていたのだが、全ての遺灰を花火に詰めることができるそうだ。花火の色はもちろん、選択することができる。

次に、花火をあげたい地区の市役所に許可をもらいに行く。はじめはあまりいい顔をしないそうだが、この花火がただのパーティーやイベントのためでなく、故人のための記念であることを説明すると承諾してくれるそうだ。承諾が取れないときは、希望の場所から近い場所であげられるよう依頼するという。承諾がとれない主な理由は、民家が近いといった正当な理由が多いというので、オーストラリア人の寛容さには驚かされる。選ばれる場所には、ビーチや公園、港といった場所が多いようだ。
遺灰が詰まる花火のサンプル

葬儀はオーストラリアの一般的な手順を踏む。例えばキリスト教の場合、葬儀では、教会といった崇拝の場所で資格のある人が講話をし、聖書の句が読まれる。故人のエピソードが語られたり、思い出の写真がスクリーンに映し出されたり、親しかった人のコメントが述べられたりすることもある。それから、賛美歌が歌われ、祈りがささげられる。

その後、埋葬所に向かう。埋葬所のオフィスでは、誰が何時に埋葬されるのかを確認できるスクリーンがおいてある。埋葬の仕方は、宗教や家族の意向で変わるが、火葬または土葬が主流である。また、宗教の宗派によって埋葬される土地が割り当てられており、信条上、どの宗派にも入っていない場合は、中立の立場の人のための埋葬地区がある。ひつぎが埋葬場所まで運ばれると、聖書の句が再び読まれ、祈りとともに、故人のひつぎが埋葬される。

花火葬の場合は、この部分を花火で行う。感動と花火の轟音とカラフルな色で愛する人の人生を祝うという形だ。

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ライター情報: 青砥えれな

Webジャーナリスト(取材、撮影、執筆)・市場調査員(取材、執筆、翻訳)・エッセイスト・医療課程専門士(元医薬品関連研究員)。デンマークでの生活を経て、オーストラリア在住。放浪した国は20カ国以上。

URL:PRESSEIGREK

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