声優といえば、"声"(CV.=キャラクター・ボイス)で作品を支える縁の下の力持ちというイメージを持っている人も多いだろう。だが最近の声優は、キャラクターを影で支えているだけではないようだ。

人気声優"本人"が主演を務める映画が公開され、大ヒットを記録していることをご存じだろうか。

文化放送、ラジオ大阪にて放送中のラジオ番組「神谷浩史・小野大輔のDear Girl~Stories~」(※以下『DGS』と表記)の劇場版第2弾『Dear Girl~Stories~THE MOVIE2 ACE OF ASIA』が、2014年2月15日より全国公開された。

"ヒロC"の愛称で親しまれる神谷浩史さんは、声優アワードで3年連続最多得票賞を獲得するなど受賞歴も華々しく、今やアニメに欠かせない人気声優として声優業界を牽引している人物。また、アニメ『黒執事』の主演でも話題となった小野大輔さんも、神谷さんと同様、過去に声優アワード主演男優賞を受賞した実力派だ。

公開初日はあいにくの大雪だったが、熱心なファンは劇場に殺到したようだ。筆者も公開初日に劇場へ赴いたが、芸人顔負けのトークが炸裂する本編をみたファン(※通称「Dear Girl」と「Dear Boy」)が、声を上げて爆笑するという異例のおもしろさだった。


この映画は、香港でのドタバタ珍道中の様子を撮影したものだが、真の目的は『DGS』メンバーのPV撮影だという。PVってことはもしや……。そう、"声優"である彼らは、2013年2月に武道館でバンドデビューを果たした"ミュージシャン"でもあるのだ……!

じつはこの香港ロケ、おもしろネタが大好きな『DGS』メンバーがラジオの中で結成した6ピース"エアーバンド"「MASOCHISTIC ONO BAND(マゾヒスティック・オノ・バンド)」(※通称「MOB」)の新曲『Ace of Asia』のPV撮影のために敢行されたものだそう。

バンド名の由来は、ボーカルの「ONO-D」がときおり変態ドM発言を繰り出すためであり、決して某「サディスティック」なアーティストをパクっているわけではない。言うなればオマージュである。

さて、ツインボーカルを務めるHIRO-C(神谷)・ONO-D(小野)の脇を抱えるのは"ドS放送作家"と名高いベースのDO-S(ドエス)氏や、推定身長3メートルのギター、3M(スリーエム)氏、オシャレをこじらせた女好きのYAGI84(ヤギハシ)氏など、かなりの個性派揃い。
ちなみに普段は人気ラジオ番組を支えるスタッフさんだ。

異例の武道館デビューの後、CDデビューと世界進出を同時に果たすなど、ドタバタで話題が尽きない彼ら。声優ファンでなくとも押さえておきたいトレンドだ。2012年から13年はゴールデンボンバーがエアーバンド界を牽引したが、2014年は「MOB」が来るのかも!?

最後に、この略称の「MOB」という言葉、じつはラッパーたちが使うスラングで「成功は女よりも金を掴むこと」「女より金」という意味があるとか。「女より金」というメンバーの足並みを、YAGI84の女好きが乱している……のかは知る由もないが、今後も「アジアのエース」、「MOB」の展開に期待したい。
(はなふさ ゆう)