時は奇しくも敬老の日を含む3連休。
さあて今日もプロデューサー業(アイドルマスター)と提督業(艦隊これくしょん)に勤しむかー。
みんな今朝の建造は長門は出来たかね! ぼくはまだだ!
あーでも『モンハン4』出たし狩人も多そうだなー、なんてネットを見たところ、何やら同僚プロデューサーまたは提督または狩人達の様子がおかしい。
「ババが秒速一億枚クッキー焼いてる」
「反物質クッキーババア」」
お、おいどうしたんだ、提督諸君! 敬老の日にクッキーとかババアってなんだよ!

ネット上で突如流行りだしたのが、「Cookie Clicker(クッキークリッカー)
実はこのゲーム、2013年8月8日に公開されたもの。作ったのはOrteilさんという方。
それが今になって急に話題になったのは、一部では日本の某掲示板の住人と海外の掲示板の住人の間の交流で、時間泥棒ゲームを教えあったから、という噂がありますが、定かではありません。

ゲーム(?)の内容はいたって簡単。

クッキーをクリックします。増えます。増やします。そんだけ。
増えたクッキーで、施設を整えます。
そのうち、毎秒数億枚のクッキーが焼けるようになります。

……天文学的だね! 意味がわからないですが、まあ何が面白いのか見てみます。

最初に整える設備は、自動的にクリックするカーソル。わかります。
その次が話題の「クッキーババア(Grandma)」。詳しくは後述。すごい勢いでクッキーを焼きます。

ここから先はクレイジー。その次が「農場」。クッキーを栽培して作ります。実に頭おかしい。
その次は「工場」。これは正しい。
でもアップグレードに「児童労働者」「ラジウム反応炉」などがあり、それはダメだと思います。
さらに「鉱山」。ドリルで穴をほって鉱山からクッキーを取り出します。どんなだよ。
そして「宇宙船」。宇宙船です。
クッキー星からクッキーを持ち帰ります。技術の無駄遣いにもほどがあります。
「錬金術ラボ」。金からクッキーを作ります。何にとりつかれたんでしょうか。逆だろ。

「ポータル」。やばくなってきました。クッキーの世界への新たな扉を開きます。「狂気のオーツ麦人間労働者」「魂の呪縛」などを使ってでもクッキーを手に入れます。魂と等価交換するクッキーになってきました。
「タイムマシン」。クッキーを過去から持ってきます……は? 何かが狂いそうですが「因果律制御機能」もあります。
そして、最終兵器「反物質コンデンサ」。宇宙の反物質をクッキーにします。エントロピーがうんちゃらかんちゃら。クッキーがキュゥべえに勝ちました。
この世界はクッキーによって出来ており、クッキーのためにあるのです。

この突き抜けた世紀末的な、世界の幸福とか不幸とか、後先全く考えず、頭に「クッキー」しかない感覚、ゲーム『Fallout3』とかに近くてゾクリと面白い。
人の死よりも、道徳よりも、クッキー。
人生よりも、生きる喜びよりも、クッキー。

加えて詳しく調べるとわかりますが、SFネタちょいちょい仕込んであるのです。ポータルなんかはクトゥルフ的なものも。結構凝ってます。
もう食えるのかなんなのかわからないクッキーをひたすら、毎秒天文学的数字で作り続けると、楽しいんじゃなくてハイになります。
麻薬すぎませんか。

ここに、日本人のノリのよさが発揮され、人気が増幅されます。
クッキーババアのファンアート(?)やMADが大量に創りだしはじめました。
まあ、仮に某掲示板が発祥なら、うん。わかるわ。
それに気づいた作者のOrtailさんは、「クッキーを焼くかわいい女の子にしなかったのが残念だ」と言っています。
おっしゃることはごもっともなのですが、違うだろう。
これババアだからいいんだろう!
あ、クッキー焼き美少女絵は見たいのでどんどん描いて欲しいですはい。それはそれとして。
この世紀末的クッキー世界でババアだけが増殖して(その他の人間はいない! クッキー工場で強制労働させられている子供だけだ!)いくという壊れた感覚がたまらない。
美少女だったらもしかしたらここまで流行らなかったかもしれな……そんなこたないか。でもババアがいいです。『オバタリアン』で「ゴキブリとオバサンが生き残る」と言っていたのをふと思い出しました。

なにがすごいって、このばあちゃん、ミニスカートだからね。変なところがセクシーです。
さすがヒロイン(?)だけあって、施設によって農耕服、宇宙飛行士服に衣装チェンジもします。クリーチャー化していきます。
くわえて、全施設を揃え、ババア達を何種類か集めるとババアが……!?
その目で見て確かめろ!

かくして、パズドラ、シンデレラガールズ、艦これ、モンハンなどを制して、一気にクッキーババアがTwitter上の話題の覇者にまでのしあがりました。
……あながち言い過ぎでも無いのが怖い。ほんとに。
正直ぼくも朝目覚めて、はじめてTwitter開いた時の、みんなクッキー焼いてる様子には目を丸くしました。
もっとも、さすがに永続的に流行るものではないでしょう。ないよね?
ただ、一時的とはいえ何が流行るかわからないというのを実証したなあ、という感はあります。
ゲーム性なし、キャラ萌えなし、ただクッキーが増えるだけ。それでも流行る。

エキレビライターの青柳さんは「こんだけ数字がバカスカのびるの、スゴイ多幸感がありました………」といって、反物質コンデンサを買いあさっていました。それ、わかる。
無理やりこじつけで言うなら、「このぶっ壊れた世界観が面白い」というのと「やったらやっただけの数字が溜まる快感」は、大きな要因としてあると思います。
でもそんなの後付け的な理由なんです。多分一番驚いてるのは、作ったOrtailさんでしょう。
むしろ、「どこまでこの人気が続くか・広がるか」を予想すると、面白いんじゃないでしょうか。
ゲームで大事なのは「どれだけ流行るか」だけじゃなくて「どれだけ長く愛されるか」。
この記事が載る時、まだ流行っているでしょうか。あるいはクッキーが兆を超えてさらにハイになってるでしょうか。
もしかして、派生ゲームができちゃったりするでしょうか。

はいはーい、クッキー焼いたらみんな提督業とプロデューサー業と狩りと副業(※リアルの仕事のこと)に戻りましょうねー。
「ヘーイ提督ゥ? こっそり机の後ろで、何やってるデスカー?」
な、何もしてないぞ! クッキー焼いたりしてないからな!

(たまごまご)