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映画「かぐや姫の物語」で解く『竹取物語』の謎。その1「身分の低さと結婚のルール」

2013年11月28日 11時00分

高畑勲監督作品『かぐや姫の物語』全国ロードショー中

『竹取物語』の面白さは、かぐや姫の頭脳明晰なキャラの爽快さと、グローバル性というか、さまざま世界の価値観が錯綜する面白さと謎解きの楽しさにあると思うのですが、そうした要素が映画にもありました。
映画「かぐや姫の物語」、原話に意外なまでに忠実であるというのが私の印象です。

もちろん、違うところはたくさんあります。以下、「ネタバレ」部分もありますが、映画を楽しむ分には問題ないと思われるので、書きますと……。

原話では影の薄い嫗(竹取の翁の妻)が大きな役割を果たしていること、かぐや姫が何を感じていたかを描くことに大きなウエイトが置かれていること、その気持ちを引き出すために原話にはない「捨丸(すてまる)」というキャラクターが設定されていること、などなど。
しかしそれによって別の『竹取物語』が生まれたというよりは、『竹取物語』の世界がより鮮明になった、といった印象です。
そのくらい、「かぐや姫の物語」の根にある感情や方法は、『竹取物語』的に見えました。

そもそも『竹取物語』は、千年前に書かれた『源氏物語』が“物語の出で来はじめの親”と称えた日本最古の物語とされるのですが、この原話自体が、実に現代性にあふれた物語なのです。
竹から生まれた女の子が絶世の美女に成長し、男たちの求婚を無理難題で拒み、月の世界に帰って行く……それが『竹取物語』のざっくりとした筋ですが、姫の要求した宝物の多くは中国の古典やインドの経典に出てくるし、姫が前世の罪を犯したために地上に落とされるという発想は、前世の行いが現世での運命を決めるという仏教思想に基づいています。
地上世界だけでなく月世界、現世だけでなく前世での定め、と、実にスケールの大きな世界を背後に控えて展開するのは、かぐや姫という強烈な個性を持った女の物語。
原話の描くかぐや姫の魅力は、親や世間の常識に真っ向から疑義を抱き、男たちをやり込める頭の良さ、気の強さにあります。

「この世の人は男は女と一つになり、女は男と一つになる」(“この世の人は、男は女にあふことをす。女は男にあふことをす”)
と、結婚を勧める翁に対し、
「なぜ、そんなことをするのでしょう」(“なんでふ、さることかしはべらむ”)
という素朴な疑問をぶつけ、

「あなたは神仏の化身、変化の人であるとはいえ、女の体をお持ちです」(“変化(へんぐゑ)の人といふとも、女の身持ちたまへり”)
と、生々しい現実を持ち出す翁に、
「どんなに優れた相手でも、その愛情の深さを知らないのでは結婚なんてできない」(“世のかしこき人なりとも、深き心ざしを知らでは、あひがたし”)

と、すこぶるまっとうな主張をするかぐや姫。
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