元祖鉄人メジャーリーガー、ピート・ローズに思いを馳せる
(上)ファンと一緒のピート・ローズ。<br>(中)「TIME」の表紙を飾る若き日のピート。<br>(下)ピートの「ごめんなさいボール」
ニューヨーク・タイムズの隅っこの方に、野球ファンなら懐かしの、ピート・ローズに関する記事が出ていた。

ピート・ローズは、1963年から86年までメジャーリーグで活躍した、オハイオ州シンシナティ・レッズの顔ともいえる、元祖鉄人野球選手だ。


左右両打ちから生み出される強烈なヒット、オールマイティーな守備能力、全力でプレイするハッスルぶり。どれをとっても超一流のプレイヤーだった。
選手生涯を通じ、メジャー記録を塗り替える通算4256本の安打をたたき出し、通算出場試合、通算打数、通算出塁数、通算シングル安打数等で次々史上最多記録を打ち立てた。未だにそれらの記録は破られていない。

彼の性格をよく表しているのは、「チャーリー・ハッスル」というあだ名だろう。あるファンは、「クロスプレーで相手にケガさせているか、何かといえば真っ先にグラウンドに飛び出して、場内乱闘していたような気がする」と語っていた。


そのハッスルぶりは日本にも轟き渡り、81年「マルちゃん」ブランドでおなじみ東洋水産株式会社の、本格肉入りワンタンとメンマが美味いカップ麺「激めん」のテレビCMに出演している。

当時メジャーリーガーのCM起用は珍しかったが、東洋水産(株)の広報部のお話によると、「ブランドネーム“激”と、ローズ氏の果敢なヘッドスライディングによるプレースタイルがマッチしたからと聞いております」とのこと。狙い通り若い男性層に受け、ピートともども大人気。誕生30年のロングヒット商品になった。

しかし輝かしいメジャーリーグ界の頂点を極めた彼だったが、アメリカ野球殿堂資料には、彼の名前は刻まれていない。89年ピートが野球賭博に関わっていたことが発覚。
野球界を永久追放されてしまった。 

そして彼は今どうしているかというと、冗談のようだが、ギャンブルの都ラスベガスにいる。

ラスベガス屈指の大型カジノホテル「シーザーパレスホテル」内にある、有名スポーツグッズ店で、週3日、野球ボールに彼自身のサインをし、ファンと一緒に写真撮影をする日々を送る。

人前に出るようになるまでに、いかばかりの思いをしたのか、本人でしか分かり得ないだろうが、2004年に出版された自伝の中で、彼はあっさり自分の罪を認め、謝罪している。
そんなところも彼の愛嬌だろう。椅子に座った彼の前には、遠方からわざわざ会いに来た熱烈なファンも含めて長蛇の列ができる。


実は私も、そんな事情はとんと知らず、その店でピートにボールにサインをしてもらってたのだ。日本から来たと言うと、日米野球で訪れた時の思い出や、「激めん」のCM撮影のことを、懐かしそうに話してくれた。いいおっちゃんだったよ。

野球ファンの方も、そうでない方も、ラスベガスにお出かけの際には、マルちゃんの「激めん」をお土産に、いいおっちゃんになったピート・ローズに会いに行こう。激!
(チン・ぺーぺー)

東洋水産HP