安くて旨いご当地B級グルメ。ブームというより、すでにグルメの1ジャンルを確立した感がある。
全国各地で新たなB級グルメが生まれているが、最近じわじわ知名度を高めているのが、山梨県韮崎市(にらさきし)の新名物「にらまん」だ。

にらまんとは大判焼サイズの小さなお好み焼きで、なかにはニラがたっぷり入っている。ニラの香りがいいアクセントになって、ビール片手に食べたい感じ。価格は2個300円。手頃なサイズで、見た目にもかわいらしく、子どものおやつにもちょうどいい。

にらまんを考案したのは、韮崎市商工会青年部。
2007年からニラをテーマにした街おこしをはじめ、ニラを素材とした商品やニラメニューを開発に着手。2009年からは、イベントなどでにらまんの販売をスタート。今年5月には青年部のメンバーなどを中心とした「韮崎にらの会」も発足させた。会長の木内さんは、
「韮崎といえばニラ、という言葉が定着するよう、活動を続けていきたいです」
と意欲満々。地域活性化や新たな地域資源の創出を目指し、より積極的にPRしていくという。

お好み焼きにニラ、というありそうでなかった組み合わせ。

「おもしろいと思ったものの、最初は怪しまれて見向きもされませんでした」
と木内さん。それが実際に食べた人から、おいしいという口コミが広がり、いまでは高評価を得ているそう。

韮崎にらの会が開発したニラグルメとしては、にらまん以外にも、ニラ入りやきそば「韮やきそば」がある。ニラと野菜がふんだんに入ったやきそばはヘルシーでスタミナ満点。新開発のメニューにしては目新しさが足りないと感じる人もいるかもしれないが、素材や具のバランス、ソースなど細部へのこだわりはかなりのもの。単なるニラ入りやきそばと思って食べるとちょっと驚かされるはずだ。


ところでなぜ、ニラなのか。
「もともと韮崎は、長く伸びる七里岩(しちりいわ)がニラの葉に見えたこと、そしてその先端(崎)に宿場があったことからその名が付きました」
七里岩とは火砕流で形成された独特の細長い地形のこと。ほかに、ニラの群生地であったという説もあるが、詳細は不明。ただ、今年から農家と提携してニラの栽培にも取り組んでいくというから、名実ともにニラの街となりそうだ。

にらまんと韮やきそば。現在のところ、販売はいずれも祭りなどのイベント会場のみ。
今なら韮崎市商工会隣にある本町ふれあい公園で毎月第4日曜日に開催されている朝市「NIRAマルシェ」(次回は7月22日。朝市は10月までを予定)で食べられるほか、7月22日の「第3回南アルプスの清流 釜無川アユ釣り&アユのつかみ取り大会」、7月30日の「若宮八幡宮例祭 みこしまつりinにらさき」、8月16日の「夏の武田の里まつり 武田陣没将士供養会・花火大会」にも出店予定とのこと。また、今後は市内飲食店で提供できるようなニラを使ったメニュー開発にも取り組んでいくという。

料理そのものの味に加えて、ブースに応援にやってくるカエルのキャラクター「ニーラ」もにらまん人気の立役者だ。チラシなどに書かれた「ニラっしゃいませ~」というゆるい呼び声にもなごむ。まるで、にらまんの公式キャラクターのように活動しているが、実は韮崎市のイメージキャラクター。
先日岐阜でおこなわれた「全国ゆるキャラ大集合」というイベントにも参加するなど活躍の場が増えている。

ゆるキャラ、ニーラもおすすめの「にらまん」。出会ったらぜひ試してみては。
(古屋江美子)