米軍キャンプ内だけにある「PX」ってナニ?
これがPXだ。
先日、神奈川県にある座間キャンプが日米親善盆踊りで一般開放されたので家族で遊びに行ってみた。普段は入れない場所かつ日本にいながらにしてアメリカ観光気分を楽しめるということで、毎年開放日は大変な人手となる。
65歳になる母も連れていったのだが、ピザやメキシコ料理、サングラス、Tシャツの露店が並ぶアメリカンな雰囲気に飲まれてしまったようでいつもより口数が少ない。

花火や盆踊り、アメリカ軍人の浴衣姿などをさんざん楽しんだ後、われわれ一行はキャンプの地図に表示されていたバーガーキングに向かった。日本から撤退したはずのバーキンも、ここプチアメリカでは立派に営業中である。

地図にあった場所を訪れてみるとそこにはバーガーキングよりもでかい「PX」というネオン。
「なんだろう、これ…」。中を覗いてみるとどうやらスーパーのよう。セーフウェーやウォルマートなら知っているがPXというスーパーは全く聞いたことがなく、姉と二人で首をかしげていると、それまでアメリカネタに全くついてこれてなかった母が、突如「何よこれPXじゃない。知らないの?」と言い放った。急に母が偉大に見える瞬間。

「子どもの頃はあちこちにPXがあってねぇ。日本人は中に入れなかったんだけど、豪華なアメリカ製品が陳列されていて本当にうらやましかった。日本人はみんな貧しかったからねぇ……」としみじみと回想する母。


後で調べてみるとPXとはPost Exchangeの略で米軍基地内だけにある購買部のこと。日本橋銀座のサイトを見ると敗戦後は白木屋、銀座の服部時計店や松屋など錚々たる名店がPXとして接収され、米軍兵向けの商売を余儀なくされたらしい。

この日、キャンプ開放日とはいえ、やはり一般の人はPXの中には入れなかった。気になる内部をアメリカのサイトを見てみると、電化製品から日用品までさまざまな商品が並んでおり、まぁ普通のスーパーとさして変わらない。

お目当てのバーガーキングは中に入れたものの大変な行列だったので、久しぶりのワッパーは諦めてPX前で売っていたタコスとタコスソースをお土産に買って帰途につく。帰りのバスも長蛇の列で、仕方なく徒歩で最寄の相武台前駅に向かう道すがら、母は意味ありげにつぶやいた。「覚えておきなさい。この人手を。これがアメリカ人気というものなのよ」。
(エキサイトニュース編集部 みと)
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