宅配便で金魚を送れるって、本当?
<a href="http://item.excite.co.jp/detail/ASIN_4569584411/">『社会科 はこばれてくるしくみシリーズ15 金魚もはこぶ宅配便 宅配便とそのしくみ』</a>。金魚が宅配便で送られていくさまだけが、淡々と、丁寧にかかれた、刺激的な本です。
先日、図書館で、子ども向けのこんな細かすぎる(?)本を見つけた。

『社会科 はこばれてくるしくみシリーズ15 金魚もはこぶ宅配便 宅配便とそのしくみ』(嶋口充輝監修・村田栄一文/PHP研究所)。

熊本の金魚店から、岡山の小学生の家まで、金魚が宅配便で送られてくる過程を丁寧に追った、超マニアックな本なのだが、金魚が宅配便で送れるというのは、初耳である。
金魚すくいをやった後、長時間持ち歩くのは心配だが、「そのまま宅配便で自宅へ」なんて手もアリなのだろうか。

我が家には「これ、鯉だよ」と周囲に断定されるほど、巨大化した金魚が2匹いるのだが、もし宅配便で移動できるなら、実家に帰るときにも、お供になりうるかもしれない(←バカ飼い主)。

この本によると、送り方は、
「(1)ビニール袋に水を入れる(2)そこに、よくえらんだ金魚をいれる(3)酸素を入れ、輪ゴムでしっかり止める(4)ダンボールのはこに、ガラスケース、ポンプ、エサ、フラワー、そうじ道具など計9点を加えガラスケースの中に、ビニール袋に入った金魚を入れる(5)ふたをして、ガムテープでしっかり止める」とある。
「ビニール袋に酸素を入れてやると、そのままであれば1週間、地方発送でも3日くらいはだいじょうぶだという」とも書いてあるけど……。

早速この本で扱われていたヤマト運輸株式会社の宅急便の、サービスセンターに問い合わせてみた。

「金魚? お魚の金魚ですか? (しばし保留)こちらは宅急便のサービスセンターになっておりまして、今の季節ですと、水温が上がったり、空気を水槽に入れなければいけない都合上、お断りしております」
やっぱりムリなの? それとも季節の問題? さらに、ヤマトホールディングス株式会社の広報課に同様の質問をしてみると、こんな回答があった。
「商品として『金魚の宅急便』というものはありません。一つの輸送手段として、『○日までにどうしても届けたい』といったように、時間がない場合など、必要に迫られて、宅急便でお預かりすることはありますが、通常は生きものですので、感情的な問題もありますし、万が一事故が発生した場合、代わりのものを……というわけにもいきませんので、極力お預かりしないことになっております」

ただし、これは個人→個人宅への宅急便の場合のこと。「例外」もあるらしい。
「たとえば、地方で、産業として、金魚を養殖している場合などは、『リンゴ宅急便』などと同じ扱いで、通常の宅急便の中に、金魚を運ぶ宅急便もあるかと思います」

本では、まさに熊本県長洲町という金魚養殖の産地が舞台となっており、「きんぎょ宅急便」は、配送の過程で「つねにいちばん上におかれている」と説明されていた。

ちなみに、ずいぶん簡素な宅配法なのに、本によると「いままで、北海道や沖縄にも送ったが、死んだ例はないそうだ」とあるから、スゴイ。


個人が利用するものではなく、あくまで「産業」としての「きんぎょ宅急便」。でも、その信頼度は大きいようです。
(田幸和歌子)