現在、国内男子ツアーではオデッセイの最新モデル『ELEVEN』(イレブン)が人気となっている。すでに比嘉一貴と稲森佑貴が『ELEVEN』を手に優勝を飾っており、今季の1つのトレンドになりそうな勢いだ。

パターの「インサートの有無」で一番変わるのは“打感”ではなかった!【写真】
この『ELEVEN』最大の特徴は、大きなマレットパターであるにも関わらず“前重心”に仕上げられていることだ。これまでマレットというと、ヘッド後方にウェイトを積むなどして、“後重心”のモデルが一般的だったが、『ELEVEN』はフェース側にウェイトや比重の重い素材を用いて重心をコントロールしている。
では、この重心の前後で一体何が変わるのか?
当然ながらストロークしたときのフィーリングも変わるわけだが、それ以上に大きく変化するのはボールの“コロがり”だ。というのも、重心の前後によって“インパクトロフト”が変わるからだ。
実はパターでも3~4度ほどのロフトが付けられている。そのため、インパクト直後のボールはごく低く空中に打ち出され、無回転で前に進む“スリップ現象”というものが起き、その長さによってボールのコロがりも変化する。

たとえば、前重心の『ELEVEN』はインパクトロフトが立ちやすい傾向にあり、結果、ボールは低めに打ち出されるため、スリップ現象が短くなる。すると、早い段階でボールが順回転を始めるため、球足が伸びる“強いコロがり”になってくれる。
一方、後重心のパターの場合はロフトが寝て当たりやすく、ボールが高く打ち出される分、スリップ現象が長くなる。前重心とは対照的に、“ゆっくりコロがる”球質になるのだ。同じマレットパターであっても、重心の前後によってコロがりに大きな違いが出るわけだ。
注意しなければいけないのは、前重心と後重心のどちらが優位というわけではないことだ。
インパクトが緩みがちで、ショートするミスが多い人であれば前重心のパターが最適だが、一方で、パンチが入ってオーバーする傾向が強ければ後重心のパターを使うとタッチが合う可能性が高い。
現に、「アジアパシフィックオープンゴルフ ダイヤモンドカップ」では、今平周吾が、速いグリーンでゆっくりストロークするために、後重心のオデッセイ『2-BALL TEN』にパターを変更して、優勝を手にしている。
直進性が高くミスに強いマレットパターは、プロアマ問わず大きなメリットがある。そのメリットを最大限享受するためにも、自分に合った重心の選び方を知っておきたいところだ。(文・田辺直喜)

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