英検®(以下、英検)5級、4級と順調にステップアップしてきた我が子。「次は3級を受けたい!」と目を輝かせる姿を見れば、その意欲を応援してあげたくなるものです。


しかし、受験塾の4科目が本格化する5年生の現実は甘くありません。算数の宿題に追われ、理科の暗記にも苦戦する毎日。ここに英検の対策まで加えたら、受験勉強の土台が崩れてしまうのでは……と不安がよぎることもあるでしょう。

「英検利用入試が増えている」と聞けばやめる決断はしづらく、「準2級以上でなければ加点されない」と聞けば3級の意味もわからなくなる。我が子の頑張りを見てきたからこそ、簡単には決められない問題です。

今回は、早稲田アカデミ―・駿台などで25年以上受験指導に携わる西村創先生に、中学受験における英検の位置づけと、5年生からの優先順位の考え方を伺いました。

■塾の4科目が忙しくなる中で、英検3級に挑戦すべき?
小5で英検3級は意味がない? 中学受験のプロが語る「英検利用」のリアルと優先順位
5年生で英検®3級、実は意味がない? 中学受験のプロが本音で回答

【CASE】
小学5年生・女子
好奇心旺盛で、新しいことを学ぶのは好きなタイプです。英会話スクールにも楽しんで通っていますが、少し飽きっぽい一面もあります。算数では計算ミスが多く、宿題に時間がかかると集中力が切れてしまうことがあり、気持ちの切り替えに時間がかかることがあります。

【今回のお悩み】
ペンネーム:どんぐりママさん(小学5年生 保護者)
中学受験を見据え、英検をこのまま続けるべきか悩んでいます。娘はこれまでに英検5級・4級を取得しており、英語学習自体には前向きです。本人も「次は3級を受けたい」と意欲を見せています。


現在は早稲田アカデミーに通っており、4年生になってから塾の4科目(国算理社)の宿題量が一気に増えました。特に算数の平面図形や理科の暗記に苦戦しており、平日は塾の復習だけで手一杯な状況です。

一番迷っているのは、5年生の今、英検3級を取ることに中学受験でどれほどの価値があるのかという点です。準2級以上でなければ加点されない学校も多いと聞く中で、3級のために時間を割くべきなのか、それとも4科目に専念すべきなのか、優先順位を決めきれずにいます。

■中学受験の英検利用入試、実際どれくらい有利になる?
2026年現在、首都圏の私立中学約300校のうち、英検取得による加点や優遇措置、英語選択入試を採用しているのはおよそ150校。該当するのは四谷大塚・日能研の偏差値50以下の学校で、英語教育など独自のカリキュラムに力を入れている学校が中心です。

英検受験の低年齢化も進んでおり、今や準1級、最低でも準2級を取得していなければ中学受験でアドバンテージを得るのは難しいといわれています。

実際に英検を武器にしているご家庭では、小学校低学年のうちに2級~準1級を取得済みというケースが多く、2科目受験や英語1科目入試といった受験スタイルを選ぶのが一般的です。

ただし、これはかなり早い段階から英語に力を入れてきた家庭の話。すべての受験生に当てはまるわけではありません。

■4科目受験なら、英検より基礎固めが優先
今回のケースでは、塾で4科目を受講していることから、4科目受験を想定していらっしゃるのだと思います。その場合、合否の軸はあくまで国算理社。
英検は「ないよりあったほうがいい」程度の補足材料と考えるのが現実的でしょう。

もし英検に取り組むなら、通塾日数が少なく宿題量も多くない3年生までに済ませておくのがベターな選択。5年生の今、3級の取得を迷っているのであれば、4科目の勉強に専念するほうが得策です。その判断の背景を、もう少し詳しくお伝えします。

▼4科目受験で最優先にすべきは、受験科目の土台づくり「小5の壁」という言葉があるように、5年生は学習内容が一段と難しくなり、成績が下がりやすい時期です。「割合」や「比」、「速さ」といった抽象度の高い概念が登場し、算数でつまずく子は少なくありません。

算数に限らず、応用力を問われる問題も増えてきます。理解が追いつかないと感じたら、基礎に立ち返って繰り返し復習する時間の確保が欠かせません。英検の対策に割く時間があるなら、まずはその時間を苦手科目の補強に充てたいところです。

▼英検は成績が安定していて、余力があるときに4科目受験で英検にも取り組むなら、塾の成績が安定していて勉強時間にゆとりがあることが前提になります。

相談者のお子さんは、早稲田アカデミーに通われているとのこと。宿題が多いことで知られる大手進学塾ですね。
これから受験本番に向けて学習量はさらに増えていきます。

5年生以降は塾以外の習い事のペースを落としたり、一時的にお休みさせたりするご家庭も珍しくありません。英検の準備を並行して進める時間を確保するのは、今以上に難しくなってくるでしょう。

▼英語が好きなら短時間で英会話を学ぶ時間をつくるのはOKお子さんにとって英語の時間が気分転換になっているのであれば、無理に取り上げる必要はありません。「時間がないから」と受験勉強以外のすべてを削ると、かえってモチベーションが下がってしまうこともあるからです。

例えば、オンライン英会話を活用して週に数回、1回10~20分程度ネイティブの先生と楽しく話す時間を設けるのもよい方法です。英語を話す感覚を保ちながら、受験勉強への影響を最小限に抑えられます。

■本人と会話しながら無理のない選択を
特殊なケースを除き、中学受験に英検取得は必須条件ではありません。勉強時間の捻出に苦労するご家庭が多い時期ですから、必要以上の負担をかけて頑張ることはないと思います。何より、せっかく英語が「楽しい学び」だったのに、「義務で楽しくないもの」になってしまったら、もったいないですよね。

中学受験に向けた学習計画や時間の使い方を決めるには、まだ親のサポートが欠かせません。お子さんとしっかり話し合いながら、体力面でも気持ちの面でも無理のない進め方を一緒に見つけてあげてください。


■成功へ導く賢者からの金言!
英検®は余力で挑むもの。
合否を決める4科目の土台を確実に固めよう。
小5で英検3級は意味がない? 中学受験のプロが語る「英検利用」のリアルと優先順位
成功へ導く賢者からの金言!
※塾選調べ
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2026年1月9日~13日実施
学年表記:取材時点(2026年4月)に合わせています(回答時は小学4年生/新小学5年生)

この記事の執筆者:塾選ジャーナル編集部
『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

この記事の監修者:受験指導専門家・西村 創 先生
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
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