●26年の成長戦略は4つの柱を推進
EcoFlow Technology Japan(以下、EcoFlow)の日本地域統括責任者であるポール・リウ(Paul Liu)氏(以下、ポール氏)は「EcoFlowは毎年成長を続けており、日本のお客様にも弊社の認知度は高まっています」と述べ、今後の成長戦略について言及した。
「欧米ではスマートホームエネルギー事業を急速に拡大し、グローバルでのEcoFlowの収益は2000億円を超えています。これらの市場で大容量ポータブル電源やバルコニーのソーラーシステムは従来の製品よりも成長速度が速く、非常用から日常の省エネへシフトしています。
日本では自然災害の頻発や光熱費の高騰で、家庭用のエネルギーソリューション需要が高まっています。弊社は日本への投資を拡大し、役立つソリューションをできるだけ早くお届けするために、ブランディングと製品、サービス、販売チャネルの4つの分野に注力していきます」とポール氏は語る。
それぞれの分野について解説しよう。まずは『ブランディング』だ。基本方針として、防災とアウトドア、日本市場に向けた製品、利用シーンの拡大という3つに注力し、最初に選ばれるブランドを目指す。
アメリカのフロスト&サリバン社の25年調査レポートによると、EcoFlowはグローバルのスマートホームエネルギーソリューション分野で販売台数が世界No.1と評価されている。日本でもDELTA Pro Ultraなどの大容量蓄電池システムの販売実績は200件以上あるという。
27年頃には日本でもスマートホームエネルギーソリューションを本格展開する計画で、日本市場向けにローカライズした製品開発を進め、日本市場でもNo.1を目指す考えである。
●26年中にポータブル電源の第4世代製品を投入
『製品』のロードマップでは、26年3月3日に容量が2000Whの軽量ポータブル電源「DELTA 3 2000 Air」と220Wの軽量ソーラーパネルを発売した。この後、26年の第2四半期には「DELTA 3 MAX」にキャスターを付けたモデルの展開を予定しているという。
さらに第3四半期にはDELTAシリーズの第4世代モデルの発売を予定しており、第4四半期はRIVERシリーズの第4世代も検討している。
DELTAシリーズの第4世代については、これまでの大容量モデルの製品と比べて大幅にダウンサイジングし、RIVERシリーズの第4世代もコンパクト設計の方向で検討しているとのことである。
●対応拠点を拡大し、取扱店舗も現在の倍増を目指す
『サービス』では、26年中に修理拠点とサポートスタッフを1.5倍にする。これにより、サポートのスピードも50%アップし、サポート対応の待ち時間を大幅に短縮する考えだ。
取り付けサービスの拠点も現在の21カ所から34カ所に拡大し、長く安心して使ってもらえる体制を整え、サービスのアップグレードを図る。
最後に『販売チャネル』だ。同社製品の取扱店舗は25年で約2000~3000店だったが、同社はこの店舗数の倍増を目指す。さらに全国で150店を選定して、展示スペースの拡大に努めていく方針だ。
一方、法人に対しては利用シーンの拡大を強化するという。具体的には医療系や教育系の展示会への単独出展を計画しており、ポータブル電源の用途を訴求していく。また、車載分野ではキャンピングカーだけでなく、水上などへの進出も検討し、ユーザーのニーズに応じた利用シーンを提供していく考えである。
同社の成長戦略は日本市場に対して、これまで以上にコミットし、家庭用蓄電池によるスマートホームエネルギーソリューションの展開では、製品を日本市場向けにカスタマイズして推進していくという。
ポータブル電源と家庭用蓄電池では、電力を蓄えて機器に給電するのは同じだが、販売チャネルは全く異なる。しかも競合となるのは、家庭用蓄電池市場で先行し、同社よりも企業規模で勝る大手メーカーたちだ。
一方、政府では2050年にカーボンニュートラルの実現という目標を掲げ、新築住宅や建築物への太陽光パネルの設置を推進。一部の自治体では設置義務化も始まっている。新築住宅への太陽光パネル設置推進という流れを考えると、家庭用蓄電池市場は今後拡大していくことが予想され、同社の方向性は正しいといえるだろう。
だが、前述の販売チャネルや競合など、ハードルは決して低くない。製品の投入も含めて、同社がどのような戦術で成長を加速させていくかを注視していきたい。●充電スピードとエコシステムが他社との差別化ポイント
同社の成長戦略について、改めて前述のポール氏(以下、敬称略)と営業本部ディレクターのリ・クウシン(李坤信・以下、リ)氏に聞くことができたので、紹介しよう。
――スマートホームエネルギーソリューションの展開について教えてください。
ポール 当社のミッションは、創立当初から家庭のエネルギー問題を解決することです。蓄電池に代表される家庭用エネルギーは、緊急時のバックアップ電源と電気代の抑制という2つの側面があります。
欧米ではすでに製品を展開しており、アメリカではDELTA Pro Ultraが高いシェアを獲得していますし、ヨーロッパではベランダやバルコニーに設置するシステムを展開して、いずれも成功しています。
――欧米での成功を日本でも再現するということですね。
ポール 日本は当社にとって第3の市場で、日本の消費者のニーズを非常に重視しています。これまでは主に防災対策として製品を展開してきましたが、これからは電力コストの上昇に対応するニーズも非常に高くなっていくと考えています。
当社は大容量でも管理しやすい技術を持っていて、その技術力が他社との差別化ポイントです。政府機関や業界団体とも連携を取りながら、日本での本格展開の準備を進めていきます。
――技術力の具体的な差別化ポイントを教えてください。
ポール まずは充電スピードで、他社と比べて優位性を持っています。次に当社のエコシステムによるソリューション提供です。数多くの車載用製品や家庭用製品などがあることに加えて、他社との提携も進めてエコシステムをつくっていく戦略です。
また、当社は全社員の60%が研究・開発スタッフです。家庭用蓄電池の研究や技術開発では、400億円以上を投資してきましたので、当社の技術力や開発力には自信を持っています。
――家庭用の蓄電システムとなると、現行製品のソーラーパネルよりも大型化する必要があります。
ポール 欧米では、400~500Wのソーラーパネルを8~10枚組み合わせて提供しています。これをそのまま日本に持ち込むのではなく、日本の住宅事情や屋根の形状に合わせて、より薄く、より小さくカスタマイズしていこうと考えています。パネルだけでなく、電源やパワーコンディショナーも同様です。
●防災とアウトドア以外の新たな用途を提案
――27年までに取扱店舗を倍増させるということですが、店舗の業種や業態を拡大させるのですか?
リ これまでは非常用電源として展開してきましたが、これに加えて工業用やアウトドア・キャンピング用、工事専用などの利用シーンやシチュエーションを想定して展開していきます。その展開の中で家電量販店だけでなく、アウトドア専門店など、さまざまな業種、業態の店舗にも展開していく考えです。
――スマートホームエネルギーソリューションの展開では、新たな販売チャネルも考えているのですか?
ポール 2つの方向性を考えています。一つは家電量販店など現在のチャネルを生かして、より分かりやすい説明や体験の場を増やしていくこと。もう一つは、新しいチャネルの開拓で、ハウスメーカーや住宅関連業者など、建築関連の企業との連携です。
――EcoFlowのブランド認知向上でのプロモーションについては、どのように考えていますか?
ポール 今年は防災やアウトドアだけでなく、ペットや医療、教育関係などの分野でもポータブル電源を活用して生活の利便性が向上することを伝えていきます。
プロモーションでは、これまでのメディアやインフルエンサーを通じた情報発信に加え、テレビや交通広告なども視野に入れてEcoFlowの認知度を高めていきます。
●環境イベントのアースデイ東京 2026に初出展
同社は4月18~19日に東京・代々木公園で開催される市民参加型環境イベント「アースデイ東京 2026」に特別協賛として初出展する。
出展ブースでは同社の製品を通じて発電・蓄電・給電によるエネルギーの自給自足を紹介するとともに、大容量モデルによるEVへの充電やフードトラックとのコラボで車載機器への電力供給などの実演が行われる予定だ。
実物のポータブル電源を使用してソーラーパネルからの充電と蓄電、そして機器への給電を体感できる機会なので、EcoFlowが提唱するクリーンエネルギーの実例を体験してみよう。(BCN総研・風間理男)
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