2019年もあとわずか。そこで2回に分け、芸能界の出来事をランキング形式で振り返ってみたい。
まずは、4~10位プラス次点を一挙に発表。こんな具合になった。
④堀ちえみ、生存率50%のガンを乗り越える⑤氷川きよしのフェミ化で、世間ざわつく
⑥アンタッチャブル復活、お笑い界唯一の明るい話題に
⑦3年A組、あな番、俺の話。日テレの攻めるドラマがヒット
⑧パプリカでJポップ界の米津(だけ)時代続く
⑨ラグビーW杯、それなりに盛り上がる
⑩バス旅の太川蛭子コンビが解散
次点 水嶋ヒロ、ユーチューバーになる
このうち、次点と5位はいまどきっぽい自分探し系の話題だ。かつてのイケメン俳優・水嶋は9年前に小説「KAGEROU」で一発当てたあと、なりをひそめていたが、突然、料理動画を始めた。歓迎する声もあがったものの、長年メディア露出をしていない状態で容姿をキープするのは難しい。その変化について、逃亡のためわざとブサイクに整形した市橋達也に似ているとたとえたネットコメントを見て、なるほどと感じたものだ。
その点、美しくなりすぎてしまった(?)のが、氷川である。ヴィジュアル系のパフォーマンスがウケたのを機に、彼のなかで眠っていたものが目覚めたのだろう。年末には週刊誌で、事実上のカミングアウト。
「男らしく生きて欲しいって言われると、 自殺したくなっちゃうから」
とまで語ったが、九州男児らしさにときめいてきたおばあちゃんたちが自殺したくなるのも心配だ。
10位のバス旅はテレビ東京の人気企画。しかし、72歳になった蛭子能収が過酷ロケについていけなくなってしまった。それにしても、この人が「体力の限界」というかつての千代の富士みたいな理由でリタイアして、惜しまれることになるのだから人生はわからない。
芸能全体としては、やや低調な年だった。それが反映されたのが、6~9位のトピックだ。お笑い界は「笑えない」ニュースが多く、新語・流行語の年間大賞も、ラグビーW杯絡みの「ONE TEAM(ワンチーム)」に奪われた。お笑い絡みでトップ10に入ったのが、ギャグではなく「闇営業」というのがいかにも皮肉だ。
そんななか「全力!脱力タイムズ」でのサプライズ的なアンタッチャブル復活は新鮮だったが、このコンビがピンでの活動しかできなくなったのも、柴田英嗣の不祥事がきっかけだった。今年の笑えない不祥事群は、何年か先にこうした笑える展開につながるだろうか。
ヒット曲らしいヒット曲も「パプリカ」(Foorin)くらいしか出ず「Lemon」だけだった去年と似た状況だ。前者は米津玄師のプロデュースで、後者は彼のソロ作品。ちなみに来年の目玉として嵐のNHK用五輪ソングも手がけており、ただただ米津頼みのJポップ界である。
一方、ドラマ界も地味だったが「3年A組-今から皆さんは、人質です-」のように、今後の業界を背負って立つ若手が大挙出演した作品もあったことは、評価しておこう。
4位の堀は、治療が厳しい状況に思われただけに、回復に向かったのは何よりだ。史上空前のアイドルブームで世に出た世代も、こうした闘病が注目される年齢になったのかという、時の流れを感じさせるニュースでもあった。
そして、いよいよベスト3。おくやみの話題が、3位だ。
3位 骨になった昭和の証人たち
今年亡くなった有名人のうち、その大半は昭和に絶頂を迎えた人だった。内田裕也と萩原健一、モンキーパンチと小池一夫、八千草薫と梅宮辰夫が相次いで他界するなど、平成から令和へという節目の年に、その前の時代の雰囲気を伝える存在になっていた人たちが続々と旅立ったのである。
なかでも、個人的にしみじみしたのは、金田正一と松本ちえこの死だ。松本がヌードになったとき、金田が週刊誌に連載していたスケベな対談に登場、こんなやりとりをしていたのを拙著「アイドルが脱いだ理由」に使ったのを思い出したからだ。
「ワシが想像するに、ちえこチャンは土手が高いね(笑い)」「確かめたことないから」「いま触ってごらん」「嫌だァ(といいながらモゾモゾ)」
そんな生々しい猥談を楽しんでいたふたりも、それぞれ生きる武器にしていた肉体を失い、ただの骨になった。骨拾いのつもりで、会話を再録した次第だ。
2位 令和の結婚ラッシュ
続いて、2位はおめでたいネタ。
滝川は入籍時点で妊娠しており、年明けに出産予定。それ自体はおめでたいこととはいえ、42歳での初産となる。医学が進んだ現代にあっても、リスクをともなう高齢出産だ。また、少子化問題を考えるうえで、これははたして「セクシー」なことなのか、小泉大臣の意見をぜひ聞いてみたいところではある。
そうはいっても、ひとりも産まないよりはいいし、これ以上とやかく言うのも野暮だ。そんなわけで、1位の発表といこう。
1位 嵐とジャニーズ、終わりの始まり
結局、ジャニーズかよ、という声も聞こえてきそうだが、今年はやはり、選ばずにいられない。何がすごいって、おめでたとおくやみがごっちゃになって、この一大帝国の「終わりの始まり」が進行しつつあるのではという、そんな印象をかもしだしたことだ。
嵐の活動休止宣言と二宮和也の結婚、ジャニー喜多川の死と滝沢秀明引退にともなう新体制への移行。
幸い、日本人の多くはこの帝国について、かなりの知識と感情を持っている。大激震が起きれば、また世間も盛り上がるから、来年以降も重大ニュースのトップになる有力候補だろう。