森友学園元理事長・籠池泰典氏の別件逮捕事件の刑事裁判は、10月30日に結審を迎え、来年2月に判決が出される。籠池夫妻は国有地の不当な払い下げ、いわゆる森友問題の本丸ではなく、先進的な木造建築物に支給される国土交通省のサスティナブル補助金を詐取した容疑で逮捕された。300日も勾留された一方で、森友問題の本丸(背任・改ざん・公文書廃棄)ではひとりも逮捕されていない。
その籠池氏は初公判後に国策捜査だと主張していたが、結審を前にして、調査取材の結果、補助金申請を主導的に行い金額が過大な契約書をつくったのは、森友と請負契約した設計業者のキアラ設計(以下キアラ)と建設業者の藤原工業株式会社だということがわかった。検察の起訴状では、両業者は共謀者と位置付けられていたが、検察の捜査・逮捕は、施主である森友の籠池夫妻に絞られていた。その結果、起訴事実は補助金詐欺による損害額根拠に欠け、籠池夫妻逮捕ありきでありきの逮捕・勾留・裁判であることがわかった。籠池夫妻の無罪の可能性と、新たにわかった事実を追った。
(1)籠池刑事裁判とは森友問題とは、豊中市にある国有地がただ同然で森友学園に払い下げられた事件である。国は約9億円の土地を埋設ごみを理由に約8億円を値引き、約1億円で払い下げたが、民間人である籠池夫妻に、国有財産の払い下げをさせる権限があるはずはない。その権限を持っていた財務省や当該土地の所有者であった国交省の官僚がどのように協力・関与したのか、そして省庁を超えて払い下げを行わせたのは誰かが問題となる。