東京商工リサーチは4月15日、「退職代行」についての調査結果を発表した。調査は2026年3月31日~4月7日、企業答6,425社を対象にインターネットで行われた。

○「退職代行」8.7%の企業が経験

2024年1月以降、「退職代行」業者を利用した従業員の退職があったか質問したところ、全企業では、「正社員・非正規社員であった」1.5%(6,425社中、100社)、「正社員のみであった」6.4%(417社)、「非正規社員のみであった」0.7%(47社)で、「退職代行を活用した従業員の退職があった」企業は合計8.7%(564社)だった。

規模別では、大企業21.3%(445社中、95社)に対し、中小企業7.8%(5,980社中、469社)で、大企業は中小企業の2.7倍多かった。大企業で退職代行の利用が多いのは、退職手続きが整備され、退職代行でもしがらみなく退職しやすい心理が働いているとみられる。
○業種別では「宿泊業」が最多

退職代行を利用した従業員の退職があった企業の業種別(母数10社以上)は、最多が「宿泊業」の24.1%(29社中、7社)だった。

次いで、警備会社なども含まれる「その他の事業サービス業」の19.4%(154社中、30社)が続く。消費者と直接対面し、シフト制などの多い宿泊業で利用の割合が高かった。

○退職代行業者から連絡があった場合の対応

全企業で「退職代行」業者から連絡があった場合の対応は、「業者を間に挟んで、従業員との退職手続きを進める」が41.3%(4,105社中、1,696社)で最多だった。次いで、「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」が30.4%(1,248社)、「業者からの連絡内容に従う」が28.2%(1,161社)だった。

規模別では、大企業は「業者を間に挟んで、従業員との退職手続きを進める」が50.0%(278社中、139社)で、「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」が21.9%(61社)だった。中小企業は「業者を間に挟んで、従業員との退職手続きを進める」が40.6%(3,827社中、1,557社)で、「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」が31.0%(1,187社)だった。

「非弁行為が含まれる可能性があるため取り合わない」と回答した企業の産業別は、最多が不動産業の38.9%(131社中、51社)だった。次いで、運輸業の34.3%(166社中、57社)、建設業の34.2%(656社中、225社)と続く。


最も低かったのは製造業の27.8%(1,054社中、294社)だった。

○採用活動に退職代行の利用歴は影響するか

採用(選考)活動に、求職者の「退職代行」の利用歴の影響は、全企業で「利用歴が分かった場合、採用に慎重になる」が49.3%(5,256社中、2,595社)で最多だった。

次いで、「利用歴が分かった場合、採用しない」が26.0%(1,368社)、「利用歴は採用に影響しない」が23.7%(1,250社)、「利用歴が分かったら、採用に積極的になる」が0.8%(43社)だった。

○事件以降、退職代行業者の連絡に変化があったか

今年2月、大手「退職代行」業者の代表らが弁護士法違反の疑いで逮捕された。この事件以降、「退職代行」業者からの連絡に変化があったか質問した。

全企業で「『退職代行』業者からの連絡は多くなく、比較できない」が60.8%(319社)で最多だった。次いで、「特に変化はない」が37.7%(198社)、「法令を遵守している点を強調するようになった」が2.2%(12社)、「連絡があった際の説明が丁寧になった」が1.5%(8社)、「弁護士からの連絡が増えた」が0.5%(3社)と続く。

○退職代行業者からの通知内容

退職代行業者からの通知内容は全企業で、「退職意思の取次のみだった」が66.6%(274社)で最多だった。次いで、「未消化の有給休暇の取り扱い」が18.7%(77社)、「退職日の交渉」が17.2%(71社)、「未払い賃金や残業代の支払い」が9.9%(41社)、「退職金の取り扱い」が6.3%(26社)と続く。(複数回答あり)

なお、 「退職意思の取次のみだった」以外で、残業代請求や退職日に関する調整などの非弁行為に触れる可能性が含まれる通知を受けた企業は30.4%(411社中、125社)と、3割に達した。
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