OpenAIと米Microsoftは4月27日(現地時間)、両社間の戦略的パートナーシップ契約を改定したと発表した。MicrosoftがOpenAIのモデルおよび製品に関して保有してきた独占的なライセンスは、2032年までの非独占ライセンスに切り替わる。
これによりOpenAIは、Amazon Web Services(AWS)など、Azure以外のクラウドプロバイダーを通じても自社製品を顧客に提供できるようになった。

両社の発表によれば、改定後もMicrosoftはOpenAIの主要クラウドパートナーの立場を維持し、OpenAIの新製品は原則としてAzure上で先行展開される。ただしMicrosoftが必要な機能をサポートできない、もしくはサポートしないと判断した場合はその限りではないとされる。

収益分配の枠組みも見直された。MicrosoftからOpenAIへの収益分配は廃止される一方、OpenAIからMicrosoftへの支払いは2030年まで継続する。ただし、支払い総額には上限が設けられ、OpenAIの技術的進展とは切り離される。これにより、汎用人工知能(AGI)の達成などをめぐる契約上の不確実性は後退する。Microsoftは引き続きOpenAIの主要株主としての立場を維持する。

今回の契約改定は、OpenAIとAmazonの大型提携をめぐってくすぶっていた法的リスクを解消する意味も持つ。

OpenAIは2月、Amazonとの戦略的パートナーシップを発表した。AmazonはOpenAIに最大500億ドルを投資し、まず150億ドルを初期投資として拠出したうえで、一定の条件が満たされた場合には350億ドルを追加投資する。この提携では、OpenAIのモデルを活用した状態保持型ランタイム環境をAWSと共同開発し、Amazon Bedrock上で提供することも盛り込まれていた。
さらにAWSは、OpenAIの企業向けエージェント基盤「Frontier」の独占的なサードパーティークラウド配信プロバイダーになるとされていた。

しかし、当時の契約上、MicrosoftはOpenAIのAPI経由製品をAzureで独占的に扱う権利を保持していた。これを背景に、英Financial Timesは3月、MicrosoftがOpenAIおよびAmazonに対して法的措置を検討していると報じていた。今回の契約改定でMicrosoftの独占的なライセンスが非独占に改められたことで、Amazonとの提携に伴う訴訟リスクは事実上後退したとみられる。

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは今回の発表を受け、 自身のXに投稿し、OpenAIのモデルを今後数週間でAmazon Bedrockの顧客が直接利用できるようにする方針を示した。AWSは4月28日にイベント「What’s Next with AWS」を開催する予定で、AWSとOpenAIの幹部がエージェントAIの現状と今後について議論するとしている。

OpenAIにとって今回の改定は、Microsoftとの関係を維持しつつ、AWSをはじめとする他クラウドへの展開余地を広げるものとなる。Microsoftにとっては、OpenAI製品の独占販売による優位性は弱まるが、OpenAIの主要株主として同社の成長の恩恵を受け続ける構図は変わらない。企業ユーザーにとっては、OpenAIのモデルや製品を既存のクラウド環境に合わせて選択しやすくなる可能性がある。
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