小学館は、2026年5月13日、小学校教師、保育者、保護者を対象に実施した「教育に関するアンケート調査」の結果を公開した。本調査は、小学校教師226名(『みんなの教育技術』、2026年3月3日~25日実施)、保育者132名(『ほいくる』、2026年3月23日~4月13日実施)、保護者567名(『HugKum』、2026年3月6日~31日実施)の計907名を対象に、それぞれのWebメディアを通じたインターネット調査にて行われた。
小学校入学前後という重要な接続期において、三者間に存在する認識のズレや「見えないすれ違い」の構造を明らかにしている。
○教師は「規律」を重視、保育者は「情緒」を優先
就学時点で子どもに身につけてほしい力について、教師と保育者の認識には明確な差が見られた。教師は「身辺自立」(88.1%)や「指示を聞いて行動する力」(67.3%)など、学校生活における基本的な行動や規律を重視している。
一方、保育者は「感情を言葉で表現する力」(70.5%)や「友だちと協力する力」(47.7%)など、情緒面や対人関係の基盤を優先していることが分かった。この優先順位の違いが、就学接続における認識のズレの出発点となっているとのことだ。
○教師が求めるのは学力よりも「集団行動」、保育者の不安と実際の期待に乖離
保育内容に対する評価について、保育者側の認識と教師側の期待の間に大きな乖離があることが明らかになった。保育者の50.8%は「小学校教師から遊び中心で指導がないと思われている」と感じており、27.3%は「学力軽視と思われている」と不安を抱いている。
しかし、実際に教師が園に対して「学力の基礎」を期待している割合は1.3%にとどまった。教師が求めているのは学力の前倒しではなく、「集団行動のルール理解」が45.6%にのぼり、実態との乖離が示されている。
○教師の57.5%が「学校のせい」にされると危惧も、保護者は家庭の役割を明確に認識
本調査で最も大きな認識ギャップが確認されたのが、学習のつまずきに関する点だ。教師の57.5%は、保護者がつまずきの原因を「学校のせいと考えているのではないか」と推測している。
一方で、実際に「学校任せでよい」と回答した保護者は0.7%にとどまった。
○保護者の半数が園を「生活の場」として高く評価、保育者の自己評価を上回る
園に対する評価についても、保育者と保護者の間に認識の差が見られた。保育者のうち、園が「生活の場」として評価されていると認識している割合は20.5%にとどまった。
一方で、保護者の50.6%は、園を単なる預かり先ではなく、家庭と並ぶ「生活の場」として評価している。自由記述においても保護者からは感謝の声が多く寄せられており、園の価値を高く見積もっている傾向が見られたとのことだ。
○小1プロブレムへの不安は三者三様、大人の連携不足や友人関係が焦点に
就学接続における課題について、三者は異なる層の問題を見ていることが分かった。教師は「発達理解のズレ」(27.4%)や「情報共有不足」(22.6%)など、大人同士の連携に課題を感じている。
保育者は「支援体制の引き継ぎ」(42.4%)を中心に、情緒面や対人関係の情報共有不足を懸念しているという。保護者は「友人関係」が51.9%で最も不安視されており、「学習についていけるか」の20.8%を大きく上回る結果となった。
○「対話不足」が生む認識のズレ、三者の視点を踏まえた対話設計が課題
本調査結果が示したのは、三者の間に存在するズレが対立によるものではなく、「対話不足」によって生じているという点だ。それぞれの認識や期待が共有される機会が十分でないため、実態とは異なる理解が生まれ、「見えないすれ違い」となって表出している。就学接続の課題を単一の問題として捉えるのではなく、三者の認識構造を踏まえた対話の設計が求められているのではないかと結論づけている。











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