日本は張本の金星で先手を取ったが、最後は中国の底力に屈した(C)Getty Images

 現地時間5月10日に幕を閉じた世界卓球ロンドン大会。日本女子は団体決勝で球史に残る大激戦の末に王者・中国に敗れた。

 日本女子は、2012年ロンドン五輪以来、2016年リオ五輪を除くすべての世界卓球と五輪で団体決勝に進んで中国に挑んできた。その数、実に8回。この間に決勝で戦った日本選手たちは、平野早矢香福原愛石川佳純、石垣優香、伊藤美誠平野美宇早田ひな、木原美悠、長崎美柚、張本美和の面々である。それぞれ一時代を築いた実力者たちが切れ目なく続く見事な世代交代だ。日本女子卓球界にとってなんと幸福な14年だったのだろう。

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 しかし常に世界ランキングトップ3以上を揃えている中国に対して、団体決勝で勝ち点を挙げるのは並大抵のことではなく、そのほとんどが0-3で敗れている。この14年間で勝ち点を挙げたのは、2018年世界卓球ハルムスタッド大会(スウェーデン)で劉詩雯に勝った伊藤美誠、2024年世界卓球釜山大会(中国)で陳夢に勝った早田ひなと王芸迪に勝った平野美宇の3人だけである。奇しくも黄金世代と言われたトリオだ。決勝で対戦しているのだから日本は中国の次に強いはずなのに、それでもこれなのだ。中国の壁がどれほどのものかがわかるだろう。同時に、わずかではあるが中国との差が縮まる傾向にあることもわかるだろう。

 そして今回のロンドン大会、その傾向がいよいよ鮮明となる結果となった。

前回の釜山大会に続いて2点をもぎ取ったのだ。

 圧巻は第1試合で17歳の張本美和が世界ランキング2位の王曼昱を初めて破った試合だった。それも、2ゲームを先取した後にほぼ一方的な内容で2ゲームを取り返され、完全に負けムードから最終ゲームで11-4と突き放しての勝利である。これは張本の勝利が勢いまかせのものではなく、再現性のある実力であることを示している。

 第3試合に出場した世界ランキング15位の橋本帆乃香は、WTTなどの大会で中国選手に対して抜群の勝率を誇るカットマン。格上である世界ランキング7位の蒯曼を3-1で破って見事に期待に応えた。勝つだけではなく、そのアクロバティックかつ芸術的な鉄壁のカットと、要所での強烈なスマッシュは『OVOアリーナ・ウェンブリー』の満場の観衆を魅了した。

 しかし、世界ランキング1位の絶対女王・孫穎莎だけは中国選手の中でもレベルが違い、張本、早田両者ともに0-3で敗れた。最後の第5試合は早田が王曼昱に敗れ、1971年世界卓球名古屋大会以来55年ぶりの優勝はならなかった。

 しかし中国を倒す日は確実に近づいている。次の世界卓球は2028年福岡大会が楽しみだ。

[文:伊藤条太(卓球コラムニスト)]

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