2022年は、北京冬季オリンピックやサッカーW杯カタール大会など、スポーツの明るい話題が豊富だった一方で、国内外では重大事件がひん発。混迷を極めたこの1年、テレビドラマはどんな物語を紡いできたのか。

ここでは話題になった2022年のテレビドラマをトピックに分けて紹介していきたい。

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■ 依然続く「考察ブーム」にネット沸く

 ドラマの楽しみ方としてブームを超えてすっかり定着したのが“考察”というスタイル。その先駆けとなった2019年放送の『あなたの番です』(日本テレビ系)の制作陣が再結集し、2021年10月から半年にかけて放送されたのが『真犯人フラグ』(日本テレビ系)だ。妻子が行方不明になる中、疑惑の目を向けられる主人公・凌介(西島秀俊)。彼が家族を取り戻そうとする戦いを、サスペンスフルかつコミカルに描いていく。香里奈生駒里奈の怪演や上島竜兵さんの好演も話題となった。


 2021年の『最愛』が数々の賞に輝く大成功を収めたTBSは、4月期に二宮和也を主演に迎えて『マイファミリー』を放送。二宮ふんする主人公・温人が、連続誘拐事件に巻き込まれる物語をスリリングに活写。視聴者は、事件の真犯人や黒幕の予想で大いに盛り上がった。

 また2022年は1月期と4月期にフジテレビ系の月9枠では、菅田将暉主演の『ミステリと言う勿れ』と綾瀬はるか主演の『元彼の遺言状』の考察系2作品が続けて放送。7月期には坂元裕二脚本の『初恋の悪魔』(日本テレビ系)も話題になる中、10月期には実際の事件に想を得た『エルピス —希望、あるいは災い—』(カンテレ・フジテレビ系)が、社会派系考察ドラマとして新機軸を打ち出した。

■ 人気韓国ドラマや90年代の傑作などリメイク作が話題に

 近年急増しているのが日韓リメイクドラマ。
これまでも2010年の『Mother』(日本テレビ系)や2014年の『昼顔~平日午後3時の恋人たち』(フジテレビ系)などの作品が韓国でリメイク。逆に日本では2019年に『ボイス 110緊急司令室』(日本テレビ系)、2021年には『知ってるワイフ』(フジテレビ系)などの作品が、韓国ドラマの日本版リメイクとして製作・放送されている。

 そんな中、7月期に大きな注目を集めたのが竹内涼真主演の『六本木クラス』(テレビ朝日系)だ。原作はNetflixで2020年3月に全世界配信され大ヒットしたパク・ソジュン主演の『梨泰院クラス』。日本版は脚本を『おっさんずラブ』シリーズ(テレビ朝日系)や『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)で知られる徳尾浩司が担当。原作のエモーショナルなストーリー展開や主人公の織りなす恋模様を見事にほん訳してみせた。


 4月期には、1992年に石田ひかり主演で放送され人気を集めた『悪女(わる)』(読売テレビ/日本テレビ系)のリメイク作『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系)も放送。意外にも本作でドラマ初主演となった今田美桜が型破りな新入社員・田中麻理鈴役で新境地を開拓した。

■ “多様性”と向き合った注目作も続々

 “多様性の尊重”“多様性のある社会”といったキーワードがさかんに謳(うた)われる現代。テレビドラマもそんな世相を反映するように、近年は障害やセクシャリティをモチーフにした物語が数多く産み出されている。

 中でも、健常者のヒロインが中途失聴者となった元恋人の青年と改めて絆を紡いでいく姿を描いた10月期ドラマ『silent』(フジテレビ系)は2022年屈指の話題作。主人公・紬を等身大の演技で体現する川口春奈の存在感もさる事ながら、本作で脚本家デビューとなった新人・生方美久が生み出すみずみずしいセリフや切ないストーリー展開、さらにそれらを美しい映像で描出する新鋭・風間太樹監督の演出手腕も光った。


 6月から2ヵ月にわたって放送されたドラマ『僕の大好きな妻!』(東海テレビ・フジテレビ系)がテーマにしたのは“発達障害”。検査を受け、自分の特性と向き合おうと懸命に生きるヒロイン・知花(百田夏菜子)と、彼女を支える夫・悟(落合モトキ)の日常を温かな筆致で描いた。

 さらに2022年は、他者に恋愛感情を抱かない“アロマンティック”や性的欲求を抱かない“アセクシュアル”を正面から描いた『恋せぬふたり』(NHK総合)や、11月から12月に放送された女性同士の連帯と恋愛をつづった『作りたい女と食べたい女』(NHK総合)も注目を集めた。

ジャニーズ新世代が躍動

 長い歴史の中で数々のスターを輩出してきたジャニーズ事務所。2022年は新世代の活躍が顕著に。King & Prince平野紫耀は『クロサギ』(TBS系)で堂々の主演を務め、三浦友和佐々木蔵之介といった実力派に負けない存在感を放った。


 同じくKing & Princeの永瀬廉は、2022年『わげもん~長崎通訳異聞~』(NHK総合)と『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)の2作品で主演を務める大活躍。高橋海人(高は正式には「はしごだか」)も『未来への10カウント』(テレビ朝日系)で大先輩の木村拓哉と共演し、『ボーイフレンド降臨!』(テレビ朝日系)では主人公を演じた。

 また前述の『silent』で川口の相手役を務めたほか、放送中の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)でもヒロイン・舞(福原遥)の恋人役を演じているSnow Man目黒蓮は、映画単独初主演となる『わたしの幸せな結婚』の公開が2023年3月に控えている。

 さらにSixTONESのジェシーは、秋元康が原作・企画・脚本を務めた10月期ドラマ『最初はパー』(テレビ朝日系)で主演を務めた。