荒廃した未来でサバイバル生活を送る乗客たちの運命を描く、山田裕貴主演の金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』(TBS系/毎週金曜22時)。物語もいよいよ佳境を迎え、ネットでの考察や反響も過熱する本作で、未来へ“ペンディング”された医者志望の高校生、江口和真を演じるのが、注目の若手俳優・日向亘だ。

1月期放送の日曜劇場『Get Ready!』(TBS系)に続いての連ドラ出演と、飛躍の時を迎える19歳が明かす、撮影の裏話や共演者の意外な素顔とは?

【写真】身長183cm! スタイル抜群な日向亘

◆和真の“とがり”を思春期特有なものに思われたくない

 はじめはバラバラだった見ず知らずの乗客たちがサバイバルを通して絆を育む姿や、次々と襲いかかる衝撃の展開から目が離せない本作。先週放送の第8話では、苦労を重ねた結果、なんとか元いた世界に戻れたと思いきや、そこは世界の滅亡が目前に迫った2026年5月だった――という衝撃的な結末を迎えた。日向が演じる和真は、妊娠が発覚した恋人・小春(片岡凜)と共に無事現代に戻ってきたが、乗客たちの前には思いもよらない現実が立ちはだかる。

――はじめに出演のお話を聞かれた時はいかがでしたか?

日向:僕自身、制服をがっつり着る高校生役は初めてだったので、すごく楽しみだなと思いました。どういうお話になるんだろうと楽しみでしたし、この『ペンディングトレイン』の世界で、高校生役ということでどういう場面で出番があるんだろう?とも思ったのですが、和真のキャラを立ててくださって、活躍できる場もたくさんあり、すごくうれしいです。

――日向さんから見た和真という少年はどんな人物ですか?

日向:和真は、ペンディングされた世界で大人たちと一緒にサバイバル生活を送っていかなければいけない中で、やっぱり最初はどうしてもとがっているんです。それが徐々に「大人ってこういう側面もあったんだな」「実は自分がまだしっかり見れていなかっただけで、大人は大人で苦労しているのかな」と感じて、大人への一歩を踏み出していく。全話を通して、そうした和真の成長や心の変化を表現したいと思いながら臨みました。

和真も大人と馴染んできて、“一緒にみんなで帰ろう”“帰るためにこうやってみよう、ああやってみよう”と提案し出して、僕も演じてる身として、和真がみんなと馴染めてうれしいなって思いますし、すてきな役に出会えたなって感じます。

――和真というキャラクターを演じられるうえで、特にこだわった部分はどこでしょうか?

日向:和真の“とがり”を反抗期の高校生特有のものに見せたくありませんでした。和真には、大人に対して嫌悪感を抱く出来事がこれまでにいっぱいあって、積もりに積もった何かがあるはずなので、大人に対する不信感というものが、思春期がゆえというか、“こんな時期もあったよね”で終わらせたくないというか。しっかり、大人のことを嫌っているし、“絶対こいつらの力なんて借りねえ!”みたいな強い意志を出さないと、和真が弱くなってしまうので、そこは意識して演じていました。


自分との共通点はあまりないと思うんですけど、和真の気持ちは分かります。僕自身はありがたいことに恵まれた環境にいさせてもらっているので、自分は経験していないけども、すごく共感はできますね。

◆いろいろなタイプのお兄ちゃんがそろった撮影現場 意外性があったNo.1は?

――ハードな撮影が続いたと思いますが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

日向:すべてひっくるめて、めっちゃ楽しいですね!(笑) 割とみなさん、波長が合うというか、テンションが似ているような気がします。ドラマの雰囲気とは裏腹に、すごく和気あいあいと楽しくやらせていただいております。

――特に印象に残っているエピソードはありますか?

日向:泊まりのロケが何度かあったんですけど、すごく楽しかったです! 銭湯みたいなのに共演者の皆さんと行って、裸の付き合いじゃないですけど、服を脱いだからこそ語れることなんかもあって、新しい一面を見れたというか。腹を割った話みたいなのをたくさんさせてもらいました。

――ドラマのSNSを拝見していると、男子チームの中学生男子のような“わちゃわちゃ感”からも、仲の良さが伝わってきます。日向さんにとっては、いろいろなタイプのお兄ちゃんがいるような感じでしょうか。

日向:ほんと、そうです!(笑)

――共演してみて、一番印象が違った人はどなたでしょう。

日向:赤楚衛二さんですかね(笑)。ダントツですね。もっと寡黙というか、“お兄ちゃん”“先輩”“アニキ”みたいな感じの方なのかと思っていたんですけど、全然そんなことなかった!(笑) 10歳違うんですけど、同い年みたいな感覚です(笑)。


――座長の山田さんともインスタなどで仲良くされている様子が印象的です。

日向:山田さんはとてもお話しやすい方なんです。お芝居のことは真面目にお話してくれて、いろいろ相談にも乗ってくださいますし。それなのに、ふざけるときは一緒にめっちゃふざけてくださったりと、本当に助けられています。

――男子チームはほかに井之脇海さん、藤原丈一郎さんもいらっしゃいます。

日向:海君はほんとにお兄ちゃんみたいですね。包容力があって、優しいし、物知りだし。つらいことがあったら、なんでも海君に話してしまうんじゃないかというくらい、“お兄ちゃん”っていう感じです。

丈君は、一番話やすいというか、コミュニケーションを一番活発にとれる方ですね。(この現場で)お話するようになったのが早かったというのもあると思うんですけど、気を遣わずになんでも話せるんです。友達のような、先輩のような、お兄さんのような不思議な感覚ですね。

――女性チームの上白石萌歌さんはいかがですか? 以前、上白石さんにお話を聞いたときに、日向さんが読書家で、いろいろ面白い本をオススメしてくれるとおっしゃってました。


日向:はい。僕の好きな本をオススメしました。でも忙しそうでまだ読めていないみたいです(笑)。「読みましたか?」「読みましたか?」って100回くらい聞いたんですけど、「今ちょっと…」「最近忙しくて…」って(笑)。「絶対読まないやつじゃないですか!」って突っ込んだりしています。

萌歌さんはすごく素直な人というか、思ったことがあったら、“このシーン良かったよね”“終わっちゃうの、さみしいよね”とか照れずにストレートになんでも言う方なんです。すごくすてきな方で、撮影現場でも助けられてます。

◆早く20代になりたい

――『Get Ready!』に続いての連続ドラマへのご出演ですが、『Get Ready!』での経験は本作にも活きていますか?

日向:『Get Ready!』では、お芝居のことや現場でのあり方とか、妻夫木聡さんや藤原竜也さんからたくさん学ばせていただきました。作品の世界観は違いますが、『Get Ready!』で培った表現は『ペンディングトレイン』でも活かせているなと随所で感じます。

――デビューのきっかけとなったオーディションから4年。これまでを振り返るとどんな4年だったでしょう?

日向:あっという間ですね。改めて考えても、デビュー作(『太陽は動かない』)、『仮面ライダーリバイス』、その後の作品も全部すてきな思い出で、本当にいい経験をさせてもらっているなって思います。


――ターニングポイントを挙げるとするとどの出会いになるでしょうか。

日向:全部がターニングポイントですけど、1つ挙げるなら、『仮面ライダーリバイス』ですかね。1年半くらいやっていたのですが、やってよかったなってすごく思います。自分が大きく成長できた作品でした。

――俳優の仕事をやっていこうと思ったのも『リバイス』ですか?

日向:いえ、デビュー作ですね。ほんとにスタッフさんたち皆さんいい人だし、いろんな経験をさせてもらったんです。羽住英一郎監督は物腰が柔らかく、すごくにこやかな方なんですけど、絶対に妥協しない厳しさもあって。監督がしっかり納得いくまではOK出ないですし、そういう厳しさは感じました。

その現場で、お芝居はやればやるほど難しく感じてくるものだし、いつまで経っても満足はできないんだろうなって思ったことがすごく楽しくて。この仕事をずっと続けたいなって思いました。

――今年3月で19歳を迎えられました。10代のうちにやっておきたいことや、20代の目標などはありますか?

日向:10代のうちに…というのは特にないんですけど、逆に早く20代になりたいです(笑)。


20代は、今20代で活躍されている俳優さんのようにたくさん作品に出て、たくさんの経験をして、たくさんの人に出会って、いろいろな表現の仕方を学んでいきたいです。勉強して作品に出て、勉強して作品に出てと続けていって、気づいたら30代、40代となれたらいいなと思っています。

――『ペンディングトレイン』もいよいよ残り2話。2026年に戻ってきた和真たちの運命から目が離せませんが、今後の注目ポイントを教えてください。

日向: 帰ってきたら2026年で、これから乗客たちがどうなるのか。ただでさえ話題になっていた事件なので、いざ“僕たち、未来にいました”って言ったときに、世の中の人たちがどう受け止めるのかという世間の声や反応などを楽しみにしていただきたいです。

なにより、僕たちは“地球が滅亡するかもしれないという未来”を変えることができるのか、しっかり見届けていただけるとうれしいです。

(取材・文:編集部 写真:高野広美)

 金曜ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』は、TBS系にて毎週金曜22時放送。

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