シリーズ完全新作『機動警察パトレイバー EZY』が、ついに動き出す。かつて“近未来”として描かれた世界は、時を経て2030年へ――。

変わりゆく時代の中で、イングラムと特車二課はどのような姿を見せるのか。本作で久我十和役を務める上坂すみれにインタビュー。長年のファンとして抱いた率直な思いから、新作ならではの魅力、そして“変わらない『パトレイバー』らしさ”まで、作品への愛情とともに語ってもらった。

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■新しさと“らしさ”が共存する『パトレイバー EZY』の魅力

――シリーズ完全新作となる『機動警察パトレイバー EZY』ですが、参加が決まった際のお気持ちは?

上坂:新作のオーディションのお知らせを見たときは、まず驚きが大きかったです。もともと大好きな作品だったので、リメイクではなく完全新作として動き出すと知り、本当に嬉しくて。いちファンとしても、純粋に心が躍る瞬間でした。

そのうえで、オーディションを経て久我十和役をいただけたときは、大きな喜びがありました。『パトレイバー』ファンとして、イングラムに、しかも1号機のパイロットとして関われるというのは、なかなか叶うことのない夢だと思うので、その喜びは一際大きかったですね。

――本作の中で『パトレイバー』らしさを感じた瞬間や、「これは新しい」と感じたポイントを教えてください。

上坂:『パトレイバー』シリーズは、もともと“1990年代末の近未来”というイメージがあったと思うのですが、本作ではそれが時を経て、2030年代の日本として描かれているんです。スマートフォンが不可欠な存在になっていたり、OSが新しくなっていたりと、時代の変化がしっかり反映されていて、まずそこに新しさを感じました。

一方で、『パトレイバー』らしさも非常に色濃く残っていて。
イングラムやレイバーの魅力はもちろんですが、やはり会話の軽妙さや、緊迫した状況の中でもどこかユーモラスで、少し緩さのある空気感。その絶妙なバランスは、この作品ならではだと改めて感じました。脚本・シリーズ構成の伊藤和典さんや、出渕裕監督をはじめとしたHEADGEARの皆さんが関わっていらっしゃることもあり、そうした“おとぼけ感”がしっかりと描かれているのも大きな魅力だと思います。

さらに、映像面では最新技術による表現も印象的で、イングラムをはじめとしたメカの描き方や、街の描写の緻密さには驚きました。第1話では吉祥寺のモール内を歩くシーンがあるのですが、その空間も3Dで再現されているらしく、とてもリアルに感じられるんです。そうした技術的な新しさと、変わらない『パトレイバー』特有の軽妙なやり取りや特車二課の空気感、キャラクターへの愛着が同時に味わえるところが、本作の魅力だと思います。

――特車二課のテンポの良いやり取りには、どこか日常のリアリティがありますよね。

上坂:そうなんです。『パトレイバー』はロボット作品ではあるのですが、演じていると、そのことをふと忘れてしまうくらい“お仕事アニメ”としての側面が強い作品だと感じています。日常の業務の延長線上にイングラムがある、という感覚に近いというか。

イングラムに乗っている最中でも、ふと素の会話のようなやり取りが入ることがあって。その緩急や、“切羽詰まった状況でも少し雑談のような空気になる”という『パトレイバー』ならではの遊びの部分は、演じていてとても楽しかったですし、印象に残っています。


■「イングラムは今もそこにある」長年のファンへ贈る新たな一歩

――収録現場で特に印象に残っているエピソードは?

上坂:これまでのシリーズに出演されてきた林原めぐみさんや千葉繁さんとご一緒できたことは、とても印象に残っています。特に千葉さんは、シバシゲオとして長く特車二課の整備班に関わってこられた方なので、その存在が本作でもしっかり描かれていることが、ファンとしても嬉しかったです。

現場には、普段なかなかご一緒できないような先輩方、いわゆるレジェンドと呼ばれる方々が多くいらっしゃって。皆さんが作品づくりを楽しみながら、アドリブも交えて掛け合いを重ねていく姿がとても印象的でしたし、「『パトレイバー』はこうして作られていくんだ」と実感できた、貴重な経験でした。

初回の収録は、自分がキャリア的に一番下の立場ということもあって、とても緊張して臨んだのですが、出渕監督をはじめ皆さんが「『パトレイバー』は楽しい現場なんだ」という空気を自然に作ってくださっていて。おかげで、自然とその輪の中に入っていくことができたと感じています。

――本作で初めて『パトレイバー』に触れる方に向けて、おすすめの楽しみ方を教えてください。

上坂:『パトレイバー』を知らない方にとっては、ほかにあまり例えのない、新しいロボットアニメに出会える作品だと思います。“ロボットがとにかくかっこいい”という一点だけではなくて、日常ものやお仕事もの、警察もの、会話劇といった要素が重なり合っているのが特徴で。そういったジャンルが好きな方には、きっと刺さるポイントがあるはずです。

まずは気軽に楽しんでいただきたいですし、一方で、これまでの『パトレイバー』シリーズを知っていると、より深く味わえる要素もたくさん散りばめられています。もし予習されるのであれば、OVAの『アーリーデイズ』やテレビシリーズの序盤、そして劇場版第1作あたりを観ていただくと、本作の魅力がより伝わりやすいのかなと思います。


『機動警察パトレイバー EZY』は、この作品単体でも楽しめますし、そこから過去作へと広がっていく面白さもある、長く愛していただけるシリーズだと思うので、ぜひじっくり触れていただけたら嬉しいです。

――また、長年のファンの方にこそ注目してほしいポイントはどこにありますか?

上坂:本当に、あらゆる部分が長年のファンの方にとって“待っていた『パトレイバー』”だと感じていただける作品だと思います。時を経て再び触れるという体験そのものが感慨深いと思うのですが、その中で「やっぱり『パトレイバー』ってこうだよね」と思える魅力が、しっかりと描かれています。

単なる焼き直しやリメイクではなく、時間がきちんと進んだ“その先”の物語として描かれている点も大きなポイントで。キャラクターたちも年齢を重ねていて、作品の中の時間と、観ている側の時間が重なっていくような感覚があるのは、とても特別なことだと思います。

だからこそ、ご自身が過ごしてきた時間と重ねながら、「イングラムは今もそこにある」と感じていただける。そんな喜びを味わえる新シリーズになっていると思います。

そして、この先も作品が続いていくためには、やはりファンの皆さんの応援が大きな力になりますので……ぜひ、さまざまな形で楽しみながら支えていただけたら嬉しいです。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

 『機動警察パトレイバー EZY』【File 1】は、5月15日より全国公開。

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