衝撃の放送から10年、懐かしの昼ドラ『牡丹と薔薇』が、現在、全国無料のBSテレビ局Dlife(ディーライフ/BS258)で放送中だ。「役立たずのブタ!」「パパ嫌、パパイヤよ」など、数々の名ゼリフを生み、「ボタバラ旋風」も巻き起こした “ドロドロ愛憎劇”『牡丹と薔薇』に夢中になった人は多いはず。
なかでも最もキョーレツな役・香世を演じた小沢真珠に、当時の思い出や現在の心境などを聞いた。

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 『牡丹と薔薇』は、実の姉妹ながら互いの存在を知らずに育った二人・真世(大河内奈々子)と香世(小沢真珠)の30年にも及ぶ壮大な愛の物語。なかでも、波乱万丈のジェットコースター物語を大いに盛り上げたのが、「ぼたん」(真世)を猛烈に虐め抜く「薔薇」(香世)を演じた小沢。彼女が演じる迫真の演技は凄絶だし、浮気する夫への嫉妬に狂い、牛革財布にグレービーソースをかけた珍料理「財布ステーキ」を出すなど、そのエキセントリック(?)な言動からは目が離せなかった。

 あまりに衝撃的なセリフ・場面の数々を、演じていた小沢は当時どうとらえていたのか。台本を初めて読んだときの印象について、小沢は「香世という役の強烈なキャラクターに衝撃を受けましたが、それと同時に『演じてみたい!』という強い思いと興奮を覚えました」と振り返る。
なかでも、小沢の一番のお気に入りのセリフは、「役立たずのブタ!」だそう。

 こんな現実にはあり得ないようなセリフを、女優の小沢が連発するところが、一番の見所でありもっとも印象的なシーンだったが、観る者を魅了した香世の役作りはどのようにしていたのだろうか。

 「現場で監督から、『もっとテンションを上げて!!』という指示が常にあったので、とにかくテンションを上げることが役作りだった気がします。小劇場などの個性的な舞台を観るのが好きで、そこに出演されている個性的な役者さんの演技を観て勉強させてもらいました」と、当時はただがむしゃらにやっていたと話す小沢。

 また、「ボタバラ旋風」とも言われた大ブームは、プライベートにも影響を与えたと言う。「街を歩いていると、『薔薇だ!』とよく言われました。
基本的に当時は恐がられていましたね。家族や友人はそれを見て苦笑いしていました(笑)」。 それにしても、『牡丹と薔薇』ブームとは何だったのか。その魅力について、10年経ったいま、改めて分析してもらうと、「とにかく中島丈博さんの脚本が面白い! 特に独特のセリフまわしですね」。確かに、あの常軌を逸したハイテンション・非リアリティ感は、視聴者を釘づけにした理由の1つなのかもしれない。

 さらに今回、海外ドラマを多く放送しているチャンネルでの放送に小沢は「Dlife視聴者のような海外ドラマファンの方々は、外国のオーバーリアクションのお芝居を観慣れていらっしゃるかと思うので、『ボタバラ』のお芝居にも馴染めると思います」と太鼓判。
また、自身も海外ドラマが好きなようで『セックス・アンド・ザ・シティ』や『デスパレートな妻たち』なども大好きなので、今後は2作品のようなテイストの作品に関われたら嬉しいです」と展望も明かしてくれた。

 今後、もし『牡丹と薔薇』の続編があるとしたら?という問いには、「おそらく香世は、今後も一生変わらないと思います。『ブレない。変わって欲しくない』という願望もあるのかもしれませんね」と言い、愛情たっぷりにこんなメッセージをくれた。「『牡丹と薔薇』は、まさに究極のエンターテインメント作品です! 私にとっては自分の持っている新しい引き出しを開けていただいたとても大切な作品です」。

 まだ観たことのない人も、超濃厚なボタバラの世界を覗いてみては?(取材・文:田幸和歌子

 『牡丹と薔薇』は、全国無料のBSテレビ局Dlife(ディーライフ/BS258)にて月曜~金曜11時から放送中。