7月に30歳を迎え、さらなる活躍が期待される俳優の賀来賢人。ディズニー・アニメーションの金字塔を25年ぶりに蘇らせた“超”実写版『ライオン・キング』の日本語吹替版では、王となる運命を背負った主人公・シンバの声を担当し、初となる吹替にチャレンジしている。
もともとアニメーション版のファンだったという賀来が、アフレコ挑戦を述懐。『アラジン』実写版で一足先にディズニー作品の吹替デビューを果たした、俳優仲間の中村倫也とのエピソードも飛び出した。

【写真】30代になった賀来賢人、凛とした大人の佇まい

 「自分ひとりじゃまだ未熟だったシンバが、さまざまなことに影響を受けて、どんどん成長していく。シンプルな物語ですけど、生きていくなかで大事なことが、強いメッセージとして響いてくる。そこは時代が変わっても同じだし、ステキだなと思います」と『ライオン・キング』の魅力を語る賀来。

 シンバ役をつかんだオーディションについては「声優の経験はなかったので、正直、受かると思っていませんでした」と明かすが、「自分に決まったときは、とてもうれしかったです。ちゃんと自信を持ってシンバをやろうと思いました」と振り返る。

 「本当に光栄なこと」という大役をやりきった賀来だが、ディズニー作品の吹替には、身近なところに先輩がいた。ミュージカル『RENT』でも共演している中村倫也だ。『アラジン』から『ライオン・キング』へと、主人公のバトンを受け取る形となった。

 「『ライオン・キング』のオーディションの結果を待っているときに、倫也が『アラジン』の吹替をやると知ったんです。当然、『自分もやりたい!』と思いましたが、そのときはまだ決まっていなくて(苦笑)。
決定したときもすぐには伝えられませんでしたけど、この前、倫也が舞台(『恋のヴェネチア狂騒曲』)を観に来てくれたんです。僕がシンバをやると知っていてくれてましたし、話もしました。ふたりで『吹替って難しいよね。でもディズニー作品って、いいよね』って(笑)」。 そして改めて新たなチャレンジへの感想を口にした。

 「収録はすべてが驚きでした。声優さんの力のすごさを改めて知りましたが、今から僕が声優さんのテクニックを真似ようとしても無理。その技術は、やっぱり普通のお芝居とは違うので。でも、表現という意味では同じだとも思うんです。最初は戸惑いもありましたが、途中からは、どんどんシンバとして、『ライオン・キング』の世界に入っていきました」。

 初の吹替で活きたのは、俳優として培ってきた自分の力だった。「歌にしても、ミュージカルのときもそうですが、芝居の一環として言葉に音を乗せていったので、気持ちよくやらせていただきました。
俳優の僕だからこそ伝えられるシンバをできたと思っていますし、日本語吹替版ならではの魅力も出ていると思います。怖さもありますが、みなさんの反応が楽しみです」と語る笑顔に自信が覗いた。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)

 映画『ライオン・キング』は全国公開中。
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