【写真】“笑顔で卒業”アンジュルム・中西香菜 インタビューカット
■アンジュルムへの改名に感じていた“罪悪感”
前身のスマイレージから、2014年にみずからが名付け親となってアンジュルムへ改名して以降、グループが成長したのは、次々に加入した後輩メンバーたちのおかげだと話す中西。
「スマイレージの当時はお客さんを集めることができず、とにかくライブができなかったのを覚えています。今となっては楽しい思い出ではあるものの、性格がネガティブなので負の感情が湧いてきてしまい、ブログで弱音を吐いてファンの皆さんを心配させてしまったこともたくさんありました。
だからこそ、自分たちで初めて立った日本武道館での公演(2014年7月開催「スマイレージ LIVE 2014夏 FULL CHARGE ~715 日本武道館~」)は一番印象に残っています。47都道府県ツアーを達成したご褒美として実現したものでしたが、ライブもろくにできなかった自分たちのためにファンの皆さんが集まってくれるかが当日まですごく不安でした。でも、当日客席はいっぱいで、舞台袖の緊張感や終演後の寂しさだったり、今でもライブの一瞬一瞬が鮮明に思い出せるほどです」。
その年の終わり、アンジュルムへ改名したことはグループにとって大きな分岐点だったと話す中西。「私がフランス語の『天使』と『涙』をかけ合わせた名前がそのまま使われることになりましたが、初めは正直なところ不安もありました。スマイレージが浸透していたので『何でアンジュルムなんだ』という声があったし、グループ名を言うたびに『スマイレージの方がよかったのかな…』と思っていたんです。
覚えづらい名前にしてしまった罪悪感もあり、新グループ名が広まっていくことへの怖さも正直ありました。ただ、だんだんと『アンジュルムが好き』という声を聞くようになってからは自然と薄れ、うれしくなっていきました」。
■後輩メンバーの加入のおかげで成長できた
「アンジュルムになってからは今のところ毎年、新メンバーが加入しているんですけど、初めのうちは『歌もダンスも苦手なのに、先輩として教える立場にならなければいけない』という焦りもありました。でも、後輩のみんなが入ってきてくれたことで、自分自身の引っ込み思案だった性格を変えられたり、成長を味わうことができました」と語る中西。
なかでも、改名と同時期に三期メンバーとして、室田瑞希、佐々木莉佳子と同時に加入し、約3年グループに在籍した相川茉穂は「昔の自分を見ているようでした」と回想する。
「三期のみんなはハロプロ研修生の出身ではあったけど、あいあい(相川)は(佐々木)莉佳子やむろ(室田)と比べて、歌やダンスに苦手意識があったみたいなんです。当時はどこか『私なんて』と一歩引いてしまう子で、接していくうちに何だか自分と似ているなと思うようになりました。
血のつながった妹のようでもあり、双子のようでもあり、ひょっとすると昔の自分を見ていて、あいあいとの時間は過去の自分を育てているような感覚だったのかもしれません」。
さらに中西はこう語る。「後輩のみんなの勢いがなければ、改名してからの定期的なツアーや日本武道館公演を実現することはできなかったと思います。いろいろな経験をしてきたけど、スマイレージ時代からの苦労も支えにしながら、アンジュルムを通してたくさんの景色を見ることができたのでアイドルとしての人生に悔いはありません」。
■つんく♂には「何で卒業するの?」と聞かれた
20日には中西が最後に参加するグループ27枚目シングル『私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY』がリリースされる。収録曲のうち、2曲目の『全然起き上がれないSUNDAY』はアイドルとしての“育ての親”でもあるつんく♂が作詞・作曲を手がけているが、卒業にあたるメッセージのやり取りもあったという。
「卒業を決めてから、つんく♂さんにはメールで『卒業することになりました。
自分を変えたい思いから卒業を決めたはずなのに、その言葉で一瞬『あれ、何でなんだろう?』と考えさせられたんですけど、あえて尋ねてくるのがつんく♂さんっぽいなとも思いましたね。そのあと『自分なりにもっと頑張りたいからです』と送ったら、つんく♂さんからは『そっか。頑張れよ』と返信をいただきました」。
実は、これまでつんく♂にはメールで相談することが多かったと話す。「振り返ると“メル友”みたいな関係性だったなとも思うんですけど、数年前に『歌もダンスもぜんぜんできないんですよ』と送ったら『当たり前じゃん。みんなと経歴も違うんだから、そのぶん頑張らないと』と返してくれたり。
つんく♂さんの言葉って思わぬことにハッと気付かされることも多かったんですけど、本当に、私たちのお父さんみたいだなと思います」。■「心配はない!」残るメンバーへのメッセージ
12月10日に豊洲PITで行われる自身の卒業公演まで残りわずか。
「私自身が劣等生だったので反面教師ではあるんですけど、パフォーマンスは練習あるのみなので自分が納得するまでとことん追求していってほしいです。
でも実は、活動中はかみこ(上國料萌衣)にダンスを教えてもらっていたりもしたんですよ。私がケガで離脱していた時期に加入したはーちゃん(太田遙香)も、追いつくので精一杯だったはずなのに復帰後に『中西さんこの場所に変わりました』とダンスの位置を教えてくれてだいぶ助けられたりもして、頼もしい後輩たちばかりなので心配することは何もないです。
あえてもう一つ伝えるとすれば、ファンの皆さんの温かさを噛み締めながら活動してほしいなと思います。スマイレージ時代にお客さんを集められなかった経験があるので、ファンの方がいる大切さを感じています。だからファンの方一人ひとりにきちんと『ありがとう』という気持ちを届けながら活動をしてほしいと思います」。
そして、同期でリーダーの竹内朱莉に特別な思いが。「タケ(竹内)はいつも頑張り屋さんだけど、時々、無理しているなと感じるときもあります。だから、リーダーとしての責任はあるけど、自分を大切にしながら頑張りすぎないことを頑張りながら活動してほしいですね。これからの活躍も楽しみだし、悩んだら私やめいめい(田村芽実)、りなぷー(勝田)はいつでも味方なので、相談してきてほしいなとも思います。
二期メンバーの絆って、何だか不思議なんです。
自然と“ヨンコイチ”になっていったし、戦友でもあり家族のような存在だなと思っているんですけど、みんなの活躍している姿を見ると何かあれば自分のことのようにうれしくもなるので、卒業後も見守っていきたいと思います」。
約8年間のアイドル活動に終止符を打つ中西。スマイレージとアンジュルムでの経験を通して、芯の強さを得た彼女は迷いを見せながらも自らのセカンドキャリアへと進む。仲間との思い出や絆を胸に進んだ先の未来図はきっと、よりいっそうの輝きを放つはずだ。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:松林満美)
【新曲】「私を創るのは私/全然起き上がれないSUNDAY」 11月20日リリース
グループ通算27枚目。新メンバー橋迫鈴が初参加、中西香菜にとっては最後となる現11人体制では最初で最後のシングル。アンジュルム第2章のスタートにふさわしい、切なくもエッジの効いたナンバー。
【ライブ】
□アンジュルム ライブツアー 2019夏秋「Next Page」
11月23日(土・祝)鹿児島・CAPARVO HALL 14時30分開演/18時00分開演
11月24日(日)大分・DRUM Be-0 12時30分開演/16時00分開演
11月30日(土)福岡・LIVE SPOT WOW! 14時30分開演/18時00分開演
12月1日(日)広島・広島CLUB QUATTRO 13時30分開演/17時00分開演
12月7日(土)新潟・NEXS NIIGATA 13時30分開演/17時00分開演
12月8日(日)山梨・甲府KAZOO HALL 14時開演/17時30分開演
□アンジュルム ライブツアー 2019夏秋「Next Page」
~中西香菜卒業スペシャル~
12月10日(火)東京・豊洲PIT 18時30分開演