俳優の井之脇海が主演を務め、山崎育三郎、松本穂香と初共演する音楽映画『ミュジコフィリア』が、今秋全国公開されることが決まった。井之脇は長編映画初主演となる。



【写真】『ミュジコフィリア』で長編映画初主演を務める井之脇海

 本作は、クラシックへの深い愛情と造詣に裏打ちされたさそうあきらの漫画を映画化した『神童』『マエストロ!』に続く、音楽をテーマとした3部作の最終作。京都の芸術大学に音楽へのコンプレックスを持って入学した主人公・朔が、ひょんなことから現代音楽の世界に身を投じ、さまざまな出会いを経て自分の音楽を創りあげていく姿を描く。

 自然の中の「音」を理解し、モノの形や色が「音」として聴こえる特殊な才能を持ちながら、著名な作曲家の父と若手天才作曲家として期待される異母兄へのコンプレックスから音楽を遠ざけてきた主人公・漆原朔役を井之脇が演じる。また、朔と同じように自然にある音や物を理解し声で表現する能力を持ち、朔に思いを寄せる芸大ピアノ科生のヒロイン・浪花凪役に松本穂香。朔の異母兄で天才作曲家としての将来を期待される一方、父親の呪縛から逃れられないでいる貴志野大成役に山崎育三郎がふんする。

 ピアノ経験がある井之脇と山崎は撮影のために練習を重ね、特に物語のクライマックスでは兄弟が葛藤を乗り越えて心を通わせる見事なピアノアンサンブルを披露している。
松本は、その透明感あふれるみずみずしい歌声によって、朔と凪のピュアなラブストーリーに観客を引き寄せる。

 監督は、2010年『時をかける少女』で長編映画監督デビューし、『マザーズ』『人質の朗読会』などドラマでも国内外多数の受賞歴を持つ谷口正晃。

 主演の井之脇は「僕の人生のターニングポイントに、12歳の時に出演した映画『トウキョウソナタ』があります。ピアノの才能を持つ少年の役を演じて、役者の楽しみを知り、役者を続けることを決心しました。そして今回、初主演映画がピアノにまつわる作品ということに、とても深い縁を感じています。初主演という不安やプレッシャーもありましたが、ピアノと一緒ならきっと乗り越えられると思って撮影に臨みました」と語っている。


 ヒロインを演じる松本は「私は今回、ギターやダンスなど初挑戦が多かったのですが、凪という役を通して、表現することの楽しさを改めて感じました」としている。

 山崎は「今回、日本の美しい文化の宝庫である京都での撮影は感動の連続でした。国宝のお寺の境内で指揮をさせて頂いたオーケストラ演奏シーンでは、驚くほど美しい絶景に息を呑みました。この作品で音楽の持つ力を改めて感じ、音楽が言葉を超える瞬間に立ち会うことが出来ました」と撮影を振り返る。

 原作者のさそうは「京都は伝統と革新が矛盾なく共存する場です。そこで僕が聴いてきた様々な音たちが『ミュジコフィリア』の源泉になりました。
音楽が生まれ出づる瞬間の喜びを描きたい。そんな思いがこの映画から皆さんに伝わりますように!」とのコメントを寄せている。

 映画『ミュジコフィリア』は、今秋、全国公開(京都先行公開)。