22日に山口県・きらら博記念公園で開催されたKing & Princeの花火イベントで「帰宅難民」が大量発生した問題で、主催のユニバーサル・ミュージックが23日に公式サイトで謝罪した。イベントの運営方法を問題視する声がある一方、ファンの見通しが甘かったとする自己責任論も噴出し、ネット上で議論を呼んでいる。
同イベントは、King & Princeのデビューシングル「シンデレラガール」から14thシングル「愛し生きること/MAGIC WORD」までの歴代の代表曲とともに、打ち上げ花火を楽しめるという内容で、メンバーによるライブパフォーマンスもあった。
イベントには約3万人のファンが集結。開催時間は18時30分から20時30分までで、通常なら問題なく帰宅できるスケジュールだったが、多くの観客の親らが車で迎えに来たことなどが影響し、周辺の道路で大渋滞が発生。観客を新山口駅まで送るシャトルバスが遅れ、最終の新幹線に間に合わなかった1000人ほどのファンが駅で夜を明かすことになった。
駅から動けなくなった乗客たちに対し、JR西日本は約1000人分の備蓄用の飲料水やビスケットを配布。床に敷くブルーシートなども配り、対応に追われることになった。
イベントの公式サイトでは事前に「公演終了後のシャトルバス乗車には混雑により、最後のお客様が乗車されるまで3時間程度の時間を要することが予想されます」「新幹線等の希望される時間の交通機関に間に合わない可能性がありますので、予めご了承ください」と告知されていたが、最後まで観たいと思うのがファン心理。「帰りの新幹線に遅れそうだから早く帰る」という選択をした人はあまりいなかったようだ。
この事態を受けて、ユニバーサル・ミュージックは「ご迷惑をおかけしたお客様、関係各位に心よりお詫び申し上げます」「事前にホームページ等で現地の交通事情についてご案内しておりましたが、お客様の帰宅が困難となり、ご迷惑おかけいたしましたことを重ねて深くお詫び申し上げます」と謝罪。その上で「JR新山口駅に留まることになったお客様に毛布・飲み物を配布するなどの対応をして頂いたJR西日本様にお詫び申し上げるとともに、ご厚意に深く感謝致します」と、JR西日本の対応に感謝の意を示した。
この騒動について、ネット上では「1000人も帰宅難民になった時点で運営の時間設定ミス」「災害レベルの帰宅難民が出てるのに運営は何もせず、無関係のJR西日本が対応してるのおかしくない?」「運営が観客の帰りのことまでちゃんと頭に入れてなかったのでは。完全に準備不足」などと運営側を批判する声が相次いだ。
その一方で「公式サイトで事前に注意喚起があったなら自己責任では」「プロ野球の試合なんかだと足がなくなりそうだったら早めに帰るし、観客の見通しが甘すぎ」「ファンの年齢層が低いから仕方ない部分もあるけど、リスク管理は自分でしないと」といった自己責任論も噴出し、議論となっているようだ。
運営側の落ち度か自己責任かはさまざまな見方があるが、今回の騒動への共通した意見としては「JR西日本の対応が素晴らしかった」というものがある。急に約1000人の人々が駅で夜明かしすることになっても物資を提供して対応し、全員を無事に帰したことに称賛の声が上がっているようだ。一部では「主催者側がJR西日本の職員の残業代と支援物資の代金を支払うべき」という意見も上がっている。
ひとまず大事には至らなかったのは不幸中の幸いで、ユニバーサル・ミュージックはJR西日本に救われたともいえそうだ。