人造肉――いささかグロテスクで、食欲をそそるとは言いがたいネーミングの北朝鮮食品が、中国で思わぬ人気を呼んでいる。人造肉とは1990年代に北朝鮮を襲った未曾有の大飢饉「苦難の行軍」の中から生まれた庶民の味だ。

大豆油を搾った後に残る大豆粕を加工した食品で、北朝鮮では長年、肉の代用品として親しまれてきた。

金正恩政権は最近、地方の食品加工工場の整備や近代化に力を入れている。しかし、その一方で視察の現場では衛生管理への意識を疑わせる振る舞いも見られ、近代的な管理が徹底されているとは言いがたい。

こうした中、北朝鮮食品への関心は意外な形で広がり始めているというのだ。感興北道のデイリーNK内部消息筋によると、特に人気なのが、独特の弾力ある食感で知られる「清津人造肉」だ。かつては食糧難の象徴でもあったが、最近では中国の一部地域で「北朝鮮の懐かしい味」として静かな人気を集めているという。また、豆腐飯を作る際に使う揚げ豆腐も、華僑たちによって買い集められ、中国国内で販売されているというのだ。

この変化に最も喜んでいるのは、市場の屋台商人たちだ。景気低迷や物価高騰で客足が減り、以前ほど商売がうまくいかない日々が続いていた。しかし最近は、華僑たちが人造肉や揚げ豆腐を大量注文するようになり、朝から仕込みに追われる忙しい毎日になった。

消息筋によれば、味や衛生面で評判の良い店には注文が集中し、「昔より忙しくなった」と笑顔を見せる商人もいるという。一方で注文が来ない店もあるが、人気店が仕込みに追われて屋台を休む日は、その分ほかの店の商品がよく売れるため、「みんなで何とか食べていける」と話す人もいるそうだ。

中国側でも、北朝鮮食品を扱う商人や脱北者たちの間で需要が広がっている。「中国にも似た食品はあるが、北朝鮮のものの方が香ばしく、味に独特の魅力がある」という声もあるという。

庶民の知恵と味が国境を越えて支持される現実は、成果演出とうわべばかりに固執する金正恩政権も見習うべきかもしれない。

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