米ワシントンDC連邦地裁のベリル・A・ハウエル判事は11日付の決定で、米大手銀行JPモルガン・チェースに凍結されていた北朝鮮関連資産約1713万ドル(約27億円)について、北朝鮮に拘束された後に死亡した米大学生オットー・ウォームビア氏の両親に支払うよう命じた。米メディアなどが伝えた。

ウォームビア氏は2016年1月、観光目的で訪れた北朝鮮で政治宣伝物の窃盗を図ったとして拘束された。同年3月、「国家転覆陰謀罪」などで15年の労働教化刑を宣告されたが、2017年6月に昏睡状態で米国へ送還され、その数日後に22歳で死亡した。

米連邦地裁は2018年、北朝鮮政府がウォームビア氏に対する「拷問」「人質拘束」「超法規的殺害」に責任を負うと認定し、遺族に対して約5億100万ドルの損害賠償を命じる判決を下していた。今回の決定は、その賠償判決に基づき、米国内で凍結されていた北朝鮮関連資産の差し押さえと分配を認めたものだ。

ハウエル判事は当時の判決で、北朝鮮当局によるウォームビア氏への扱いについて「残虐かつ非人道的なものであった」と指摘。米政府は北朝鮮をテロ支援国家に再指定する際にも、同氏の死亡事案を重要な判断材料の一つとして挙げていた。

今回、遺族への支払いが命じられた約1713万ドルは、2018年に認定された賠償額全体の一部にとどまる。北朝鮮は米国の裁判手続きに応じておらず、判決後も賠償金の支払いは行っていない。このため遺族側は、米国内で凍結された北朝鮮関連資産の差し押さえを通じて、賠償金の回収を進めてきた。

北朝鮮をめぐっては、日本人拉致問題をはじめ、外国人の恣意的な拘束や人権侵害への国際的な批判が続いている。ウォームビア氏の死から9年近くが経過した現在も、その責任追及は終わっておらず、今回の司法判断は、国家による人権侵害に対する民事上の責任を改めて問うものとなった。

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