台湾に行ったことのある人なら、誰でも必ず目にするのが、店先にあるこんな表示だ。
「買一送一」
これ、どういう意味かわかりますか?

「1個お持ち帰りで、1個郵送」? あるいは、「1個買うと1個送られてくる」とか?
正解は、「1個買うと、1個ついてくる(プレゼント)」。
つまり、といって、1個の値段で2個買える=2個で半額、ということだ。

「いま買うと、オマケにもう1個!」とは、まるでテレビショッピングのような手法だが、この表現は台湾では当たり前のようで、洋品店、雑貨屋、ドラッグストアなどなど、様々な店でこういった表示を見ることができる。
自分なども、最初、知らずに1個だけレジに持って行き、お店の人から「1個サービス」などといわれて、持ってきてもらったことがあった。

また、空港内の売店や免税店などでは、「買十送一(10個買うと1個もらえる)」「買五送一(5個買うと1個もらえる)」のように、まとめ買いをしてもらうためのサービスが氾濫している。
さらに甚だしいものだと、「買一打送一打」(打=ダース。1ダース買うともう1ダースついてくる)なんてものもあるから、もう何が何やらという気分になる。

他にも「二件六折」なんて表示もよくあるが、これは「2個買うと、6割になる」こと。2個買うことで0.6がけ=4割引になるという意味だ。
これらが洋服屋、雑貨屋などのショーウィンドーにでかでかとペイントされていたりするから、「お! セール期間なのか」と思って入店したりしがちだが……。
「『買一送一』とかは、『2個買うと半額になる』といわれるよりも、『1個もらえる』と言われたほうが、得をした気がするからです。『二件六折』みたいなのもよくあるけど、特別に割引しているとか、バーゲン期間というわけじゃなく、お得感を感じてもらうために、一年中書いてあることが多いんですよ」
と、台北在住のある台湾人ガイドが説明してくれた。日本でも「本日大安売り」「本日出血大サービス」などと年中書いてある店があったりするが、それよりも数字で訴えかけてくる分、具体的でお得感は感じやすいのかもしれない。


そんななか、驚いたのは、ドラッグストアで見たこんな表示。
「買一送一 再減一元」
これは、「1個買うと1個もらえて、さらに1元引いてくれる」ということだとか。
「さすがにこれはハンパだし、細かいね(苦笑)。でも、ちょっとだけでも安くなると、嬉しいもんなんですよ。100円より99円といわれたほうが嬉しいのと同じこと」(同)

とはいえ、観光客の場合、「よっしゃ、1元お得!」と思っても、自分で買い物や飲食をする際に1元単位を出すことは実はあまりなく、「帰国時にそのまま1元持ち帰り」なんてことになりがちだけど……。

ちなみに、台北の街には、100円ショップならぬ「10元(約40円弱)ショップ」と呼ばれ、特に表示がない商品は、みんな10元で買えるという恐るべき激安店まで存在している。

あちこちで、「これでもかこれでもか」とお得感をあおってくる、台湾での買い物。お得が大好きな人には、かなり楽しめる街だと思います。
(田幸和歌子)
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