小学生のころ毎月届くのが待ち遠しかった学研の科学と学習……その学研「大人の科学」から、昨年12月、手を触れずに演奏するフシギな楽器「テルミンPremium」が発売された。その不思議な魅力をさっそく体験してみよう。


テルミンは 今から約80年以上前にロシアの科学者テルミン博士が発明した電子楽器で、“触れずに音を奏でる”のが特徴。その秘密は電波を発する2本アンテナで、ここに手を近づけたり遠ざけたりすることによって音をコントロールする。上に伸びたアンテナに右手を近づければ音程が高くなり、横に輪になっているアンテナに左手を近づければ音量が小さくなる。その音色はバイオリンにも人の声にも似た艶やかな響きで、何もない空間で手を動かす演奏姿はまるでダンスのよう。なんともシュールで不思議な光景だ。

しかしなぜ今テルミン? この商品を企画した理由について、学研にお話を伺った。
「1920年代の電子部品がやっと開発されだした時代に、いち早くこれを音楽として取り入れようとしたテルミン博士の着想に惹かれました。長く“幻の楽器”として名前だけが知られていましたから、音色を聞いてみたい、弾いてみたいという人は少なくないだろうと考えました」

さすがに幻の楽器だけあって、商品化には大変な苦労があったようだ。
「あくまでアナログ電子部品で音をつくることにこだわりましたので、筐体の中で電波が相互に干渉し合い、音程と音量のコントロールを切り離すのに非常に苦労しました。試作用に作った電子基板は20枚以上。普通は多くても4~5枚ですから大変な数です」
このため、時間も費用も予定をオーバーしてしまったとのこと。

実際に弾いてみたところ、うまくチューニングすれば音域は5オクターブと広く、室内で弾く分には音量も十分。
これなら単なるオモチャではなく楽器として立派に通用する。

本格的なテルミンは最も手に入りやすいものでも6万円程度する上、アンプやスピーカーも必要で始めるのにはちょっと勇気がいる。しかしこのテルミンPremiumなら電池式で持ち運びもラク。チューニングのコツさえつかめば誰でも曲が弾けるし、インテリアとしてもなかなか上品でカワイイ。価格は税込み9,975円、オンラインショップでも購入可能。20~30代の女性を中心に、プレゼントとしても人気なのだとか。

学研がオトナのために復活させた幻の楽器。テルミンは、付録を開ける時に感じたあのワクワクドキドキを、もう一度体験させてくれる。映画『テルミン』が公開されて以来の、第二次テルミンブームがやってくるかも!?
(宮沢弥栄子)
編集部おすすめ