しかし、ここまで成し遂げてる会社があるなんて知らなんだ。それは、新潟にある「安達紙器工業株式会社」のこと。
この会社、紙で様々な物を製品化している。それが、どれも大胆な物ばかり。ざっと挙げてみても、ペーパーナイフ、キャリーバッグ、更衣室、担架などを紙で製作。驚きの紙製品たちだ。
それにしても、どうしてこのような試みをするようになったのか? 直接、同社に伺ってみた。
「元々、お客様が企画した物を形にするという業務を行っていたんです。そこでは、剣道の“胴”の部分を紙で作った防具などが製品化されました。その場合、“○○さん考案”と、お客様の名前を前面に押し出した形で店頭販売がされています」
だが、お客さん発注の商品化だけでは企業としても物足りない。何しろ、時代は“不況”真っ只中。
記念すべきオリジナル第1号は、雪国の新潟らしく“そり”。通常はプラスチックで製作するそりを、安達紙器は紙製で。だが、残念ながら、この紙そりは商品化ならず。
しかし、今は創作活動も順調だ。何しろ、“紙製ペーパーナイフ”である。紙で紙を切るだなんて、もはやコチラが混乱してしまいそうだ。ちなみに、正式な商品名『Paper Made Paper Knife』(4,200円)が開発されたのは、5年前の2005年のこと。ドイツのフランクフルトで開催されたギフトショーにも出展され、好評を博している。
また他に気になるのが、旅行に最適な“キャリーバッグ”。これも、紙で作ってみた。
続いて紹介したいのは、紙で作った簡易担架。その名も『RESCUE BOARD 緊急用簡易担架』(16,800円)である。この商品、なんとグッドデザイン賞の金賞も受賞という、世間に浸透しまくりの逸品。県警や自衛隊、または鉄道の副都心線などが購入したそうだ。
だが、紙で作るメリットで何なんだ? その点を伺ってみると、
「まず、“軽い”というのがあります。また、“折りたためる”というメリットもありますよね。通常の物だと場所をとりますし、折りたためると持ち運びにも便利です」
そんなメリットは、紙で作った更衣室『災害時 避難所用 更衣室&授乳室』(50,000円)にも当てはまる。
2006年に発生した新潟県中越地震で、被災者の方々が頭を悩ましたのは「更衣室がない!」という状況。そんな声が避難所の70%から上がっており、「授乳所がない!」という声は89%にも上るという。
通常の更衣室だと、不要になった後に産業廃棄物の問題が立ち上がる。しかし紙製ならば、燃やすことによって簡単な処分が可能。2004年には、この更衣室が長岡市の避難所で実際に使用されている。
同社では、他にも家具だったり、ピクニックボックスだったり、棚だったり、様々な紙製品たちを販売中。
興味のある方は、同社のウェブサイトかオンラインショップで購入が可能なので、要チェック。
最後に、これから開発される紙製商品について伺ってみると、返答は「まだ、秘密です(笑)」。これからも、目が離せない。
(寺西ジャジューカ)