ガムを噛んでいると、徐々に味がなくなってくるが、味がなくなってもさらに噛み続けていると、オエッと吐き気がしたことありませんか。

これを周囲の人に聞いてみると、「わかる!」という人と「??」という人、反応は様々だった。

だが、ネットで調べてみると、同じく「ガムを噛み続けていると吐き気がしてくる」という人がけっこういることを発見! これって理由があるのだろうか。

ロッテのお客様相談室に聞いてみると……。
「そのようなお話は聞いたことがありませんし、問い合わせも一切ない状態です。個人差があるのではないでしょうか」
もしかして、これって、ある種の「特異体質」なのだろうか。

そこで、日本チューインガム協会に聞いてみると、以下のようなコメントをくれた。
「ガムを長く噛んでいると香味が抜けていき、ベースだけになりますよね。そうすると、オエッと吐き気がするというのは、ほとんどの人が経験したことがあるはずです。私自身も40年ほどガムの仕事に携わっていますが、やっぱりオエッとなりますよ」
!! やっぱりオエッとなるものですか!?
「これはガムの特性というわけではなく、おそらく人間の本能として、『味のないもの』を噛み続けていると、楽しくなく、美味しくもなく、オエッとくるのだと思います。味がないものには異物感を感じるのかもしれませんね」

特異体質じゃないのね、良かった……と思っていたところ、こんな気になる指摘があった。
「ただし、ガムの中でも、オエッとなりやすいものとなりにくいものはあると思います」
たとえば、どんな違いなんでしょう? 
「天然樹脂を使ったガムはオエッとなりにくいですが、合成樹脂を使ったガムはオエッとなりやすいという違いが経験上ありますね」
これは、ガムのパッケージの表示上で区別することができるのだろうか。
「合成であろうと、天然であろうと、ともに『ガムベース』という言葉を使えば良いことに法律では定められています。表示上ではわからないんですよ」

では、なぜ「天然樹脂」はオエッとなりにくく、「合成樹脂」はなりやすいのか。

「天然樹脂を使ったガムは、徐々に徐々に少しずつ香味が出るようになっているため、長く噛んでいても、微量ながら香味が出てきて、オエッとなりにくいんですよ。たとえば、クールミントガムやグリーンガムなどがそうです」

では、逆に、オエッとなりやすい合成樹脂のものは?
「噛んだときに表面がツルっとしたもので、たとえば、チューインガムの場合、天然樹脂ではふくらまないので、全部が合成樹脂を使っています。そのため、味の抜けが早く、オエッとなりやすいです。また、ロッテさんの『フリーゾーン』というガムなどは、義歯につかないように合成樹脂を使っているため、味がなくなっても噛み続けていると、オエッとなりやすいと思います」
さらに、天然樹脂は高価なため、ロッテ以外のガムには合成樹脂を使っているものが多いはず、ということだった。

ガムを無味の状態で噛み続けると、気持ちが悪くなるが、「噛むこと」自体は唾液の分泌を促し、消化を助ける働きがあるなど、様々な良い効果もあるもの。

美味しく噛んで、香味がなくなったら、紙に包んでくずかごへ捨てましょう。
(田幸和歌子)
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