私は河童じゃないのだが、なぜかキュウリが好きだ。それも、味噌に付けてかじりつくのが。
一本丸々かぶりついたり、「ポキッ!」っと半分に折ってかじりついたり。
そうなると当然、断面は丸くなるわけだが、このキュウリは丸くならない。噂によると、宮崎県日南市で農業を営んでいる加藤茂美さんが、ハート型と星型のキュウリを生産しているらしいのだ。

このキュウリを作り始めたきっかけには“バレンタイン”があった。バレンタインだけに、ラブラブなハート型のキュウリを出荷すれば、話題を呼ぶのでは……。そう思った加藤さんは、シーズン前にハート型と星型の型枠を購入。変形のキュウリの生産・出荷に踏み切った。
しかし、どうにもリアクションが薄い。「ダメかなぁ」「止めようかなあ」なんて心境にも陥るも、だんだんと反応が出だし、今では紛れもない人気商品に。

じゃあ、どうして人気が出始めたのか? それは“輪切りの写真”を商品に付け始め、わかりやすくしたから。これらのキュウリ、1本丸々ぶら下がっててもハートや星の形をしているとは気付かない。切って断面を眺めることで、初めてそんな形になっていることに気づく。
まるで、金太郎飴のようなシステム!

気になる作り方だが、キュウリが男性の小指から人差し指くらいの大きさになった段階で、型枠に入れる。そして、約3日間置いてみる。後で開けると、そのキュウリはハート型・星型になっているというから愛らしい。

それにしても、こんな形になって何があるというのか? その答えは、加藤さんに届いた反響にある。
「特に、お子さんを持つお母さんからの反響が届いております。『今まではキュウリを食べられなかったのに、これは喜んで食べてくれた』という声が多かったんです」
キライな食べ物を克服するということが、どんなに大変か……。その手助けとなったのは、本当に素晴らしい。

ただ、このキュウリ。聞くところによると、儲け度外視だという。なので、現在の生産状況よりも増産することは考えていない。
だけど、このキュウリは今や人気商品。どの店舗も、午前中に売り切れるのが常。
実際、キュウリ目当てのお客さんに「ごめんなさい、朝じゃないと無いのよね……」と帰ってもらったこともあったというのだから、ナカナカの競争率だ。もう、完全にレア商品!

気になる値段は、ハート型と星型の1本ずつ、2本セットで100円。何度も言うが、儲け度外視である。

では、どこで買えるのか? 1つは日南市の目井津港にある直売所「港の駅」。もう1つは、日南市南郷町にある「Aコープ」というスーパーマーケット。この2つのみ。
あまりにも、レアなキュウリである。
(寺西ジャジューカ)
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