先日、フィリピンの首都マニラにあるとある刑務所にて、受刑者による料理コンテストが開催されたというニュースを見た。なんでもこのコンテストは日本のテレビ番組「料理の鉄人」にヒントを得て企画されたもので、「アイアン・シェフ」ならぬ「アイアン・バー・シェフ」が互いに料理を競っており、リアルシェフ顔負けの見事な腕前が披露されていた。
受刑者に希望を与えるなんとも素敵なイベントではないか。

普段あまり馴染みのない刑務所だが、実は世界各地の刑務所では日夜様々なイベントが開催されているのではないのだろうか。そう思って、調べてみた。

まず有名なのは、同じくフィリピン・セブ島にある刑務所で行われた、「マイケル・ジャクソン追悼ダンス」。この刑務所では受刑者の更正の一環としてダンス・プログラムが取り入れられており、月に一度行われるダンスショーでは観光客が大挙して見に来るるほどの人気を博している。この追悼ダンスはマイケル氏死去のニュースが流れてからわずか10時間で完成したものらしい。

日本で知られるダンスもそのレパートリーに入っており、アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンディングテーマ「ハレ晴レユカイ」やNHK「ピタゴラスイッチ」の「アルゴリズム体操」も過去に披露されたらしい。

女子刑務所の場合、「美人コンテスト」が有名である。日テレNEWS24の番組内で、ロシア・モスクワにある女性刑務所で行われた美人コンテストの様子が紹介されていたが、普段行われているような美人コンテストと同様、見た目だけでなく、ダンスや歌まで披露される本格的なものである。コンテスト出場資格の一つは「模範囚であること」であり、コンテストに出たいという思いから生活態度を改める受刑者もいるのだとか。動機はどうあれ、将来の更正につながるのであれば素晴らしいことですね。

日本の刑務所の場合、海外ほど派手ではないが、「矯正展」というイベントが全国の刑務所で定期的に開催されている。
これは刑務所や少年院で行われている職業訓練(刑務作業)の重要性を知ってもらう目的で開催されているものであり、刑務作業により作られた衣類や家具等の製品販売や刑務所での活動紹介、市民団体による催しなどが行われている。

また、東京で行われる「全国矯正展」では全国の刑務所で作られた製品から選ばれた受賞作品が集結する。2010年の受賞作品の場合、紳士用靴や子供用椅子などの比較的オーソドックスなものから、「刑務所の3WAYバッグR調」といった一風変わったものなど様々。その完成度は本物の職人さんの作品と見まがうほどのものであり、モノづくり大国ニッポンの健在ぶりはこんなところでも垣間みることができる。全国矯正展ではテープカットに有名人が参加することが恒例となっており、2010年には女優の長谷川京子さんが、2011年には歌手の川中美幸が参加した。全国矯正展は毎年6月頃に開催され、法務省ホームページで通達される。
要チェックや!

こうして見ると、どんな場所でも、人間の生活というのはそんなに大きく変わらないんだなあと思う。
(エクソシスト太郎)