書店の棚で、なんだか異彩を放っていた気がして、思わず手にとってしまったこの本。
表紙にでっかく「竹」と、緑色(竹色?)で書かれている。
その名も『竹 徹底活用術』(農文協)。なんとなく、竹を使った雑貨とか、かご作りとか、そんなナチュラル雑貨な感じの本なのかな、と思ったが、全然違った。これ、農家の方々向けの月刊誌『現代農業』の「特選シリーズ」の中の一冊で、過去に掲載された記事がテーマ別に再構成されたものらしい。要は、竹林そのものを所有する人向けの本なのである。
表紙にも、「荒れた竹林を 宝に変える!」と書いてある。竹林活用術みたいなものと考えていいんだろうか。
中を見てみると、この本のイチオシぽいものが、「竹パウダー」という、竹を細かく粉砕したもの。誌面のあちこちに竹パウダー推しの記事が踊っている。たとえば、
「野菜には何でも一〇a五〇kgで効く 発酵竹パウダー」
という見出しがある。“10アールあたり、50キログラム”。こういわれても、これがどのぐらいの量のものになるのか、都内のマンション暮らしの自分には全く量感がつかめないが、それでもなんか「へえ、そうかそうか。
この竹パウダー、とにかくあれこれ“大活躍”で、家畜のエサに混ぜてもいいらしいし、漬け物のぬか床、生ゴミ処理に活用している人もいるのだとか。中でも仰天だったのが、「竹パウダー風呂」を実践しているという人。竹パウダーとともに、米ぬかやモミガラなどを混ぜた「浴槽」に「入浴」するというもので、実践されている方が入浴中の写真も載っているのだが、砂蒸し風呂状態というか、ぬか漬けそのものになってしまっているようにも見える。
さらに、竹パウダーを製造するための機械・竹粉砕器や、竹パウダーそのものを販売してくれる業者リストまで載っているいっぽうで、一台数百万円する竹粉砕器を廃品利用で5万円で手作りした人の紹介も。
竹パウダー以外にも、竹山を上手に管理していくためのお役立ち特集もある。竹がうっそうと茂っていると、どこから手をつけていいか考えているいうちに気分が萎えてしまう(そういうものなのか)。そんなときにはと、「帯状間伐」の提案。とりあえず一部を傾斜に沿って帯状に上から下まで、「逆モヒカン」のように刈っちゃうと。そうすることで、日当りがよくなって、いいタケノコが出来る。そうすればやる気も出てくる。竹を倒したり搬出しやすくなることでまた、やる気が出る。
竹の切り方や、切った竹を「シューター」という、ウォータースライダーみたいなハーフパイプで流す方法の紹介、伐採した竹の燃やし方なんてのもある。
さらに、「竹の年齢の見分け方」や、「「切っても、いつまでも青い竹」の謎」、「『油抜き』で竹が見違える」などなど、めくるめく竹雑学のあれこれ。
「荒れた竹林で役立つ機械」として紹介されているマシン、「竹切り機『竹キング』」や「ブッシュチョッパー&アースシェイバー」のネーミングセンスにもひかれる。「太い孟宗竹もどんどん粉砕」なんだそうだ。すごいぞ、ブッシュチョッパー。
実生活には正直、ほとんど何の役にもたたない内容ばかり。それなのに興味深いことがいっぱいの、竹活用術の世界でした。
(太田サトル)
表紙にでっかく「竹」と、緑色(竹色?)で書かれている。
そう、植物の竹をテーマにしたムック本だ。
その名も『竹 徹底活用術』(農文協)。なんとなく、竹を使った雑貨とか、かご作りとか、そんなナチュラル雑貨な感じの本なのかな、と思ったが、全然違った。これ、農家の方々向けの月刊誌『現代農業』の「特選シリーズ」の中の一冊で、過去に掲載された記事がテーマ別に再構成されたものらしい。要は、竹林そのものを所有する人向けの本なのである。
表紙にも、「荒れた竹林を 宝に変える!」と書いてある。竹林活用術みたいなものと考えていいんだろうか。
中を見てみると、この本のイチオシぽいものが、「竹パウダー」という、竹を細かく粉砕したもの。誌面のあちこちに竹パウダー推しの記事が踊っている。たとえば、
「野菜には何でも一〇a五〇kgで効く 発酵竹パウダー」
という見出しがある。“10アールあたり、50キログラム”。こういわれても、これがどのぐらいの量のものになるのか、都内のマンション暮らしの自分には全く量感がつかめないが、それでもなんか「へえ、そうかそうか。
すごいな」と、ちょっと納得した感じになる。
この竹パウダー、とにかくあれこれ“大活躍”で、家畜のエサに混ぜてもいいらしいし、漬け物のぬか床、生ゴミ処理に活用している人もいるのだとか。中でも仰天だったのが、「竹パウダー風呂」を実践しているという人。竹パウダーとともに、米ぬかやモミガラなどを混ぜた「浴槽」に「入浴」するというもので、実践されている方が入浴中の写真も載っているのだが、砂蒸し風呂状態というか、ぬか漬けそのものになってしまっているようにも見える。
さらに、竹パウダーを製造するための機械・竹粉砕器や、竹パウダーそのものを販売してくれる業者リストまで載っているいっぽうで、一台数百万円する竹粉砕器を廃品利用で5万円で手作りした人の紹介も。
竹パウダー以外にも、竹山を上手に管理していくためのお役立ち特集もある。竹がうっそうと茂っていると、どこから手をつけていいか考えているいうちに気分が萎えてしまう(そういうものなのか)。そんなときにはと、「帯状間伐」の提案。とりあえず一部を傾斜に沿って帯状に上から下まで、「逆モヒカン」のように刈っちゃうと。そうすることで、日当りがよくなって、いいタケノコが出来る。そうすればやる気も出てくる。竹を倒したり搬出しやすくなることでまた、やる気が出る。
のだそうです。ここでまた、「そうかそうか」と、竹山と無縁なのにまた納得。
竹の切り方や、切った竹を「シューター」という、ウォータースライダーみたいなハーフパイプで流す方法の紹介、伐採した竹の燃やし方なんてのもある。
さらに、「竹の年齢の見分け方」や、「「切っても、いつまでも青い竹」の謎」、「『油抜き』で竹が見違える」などなど、めくるめく竹雑学のあれこれ。
「荒れた竹林で役立つ機械」として紹介されているマシン、「竹切り機『竹キング』」や「ブッシュチョッパー&アースシェイバー」のネーミングセンスにもひかれる。「太い孟宗竹もどんどん粉砕」なんだそうだ。すごいぞ、ブッシュチョッパー。
実生活には正直、ほとんど何の役にもたたない内容ばかり。それなのに興味深いことがいっぱいの、竹活用術の世界でした。
(太田サトル)
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