たとえば最終回の最後の最後で、廃部の決まっていた青島製作所の野球部に、まるでエーゲ海から追い風が吹いてきたかのような結末が待っていたことは、たしかに最大級の逆転劇といえるかもしれない。あるいは、同じく最終回の、東洋カメラの新機種カメラに搭載するイメージセンサーのコンペにおける、青島製作所のイツワ電器に対する逆転をあげる人も当然いるだろう。だが、それら以上に大きな逆転劇は、青島製作所の経営陣に対する野球部のそれだったような気がしてならない。
思えば、シリーズ前半、野球部は社長の細川(唐沢寿明)からリストラの対象とされ、いつ廃部となってもおかしくない、経営側には完全に翻弄される立場にあった。それが後半、不屈の精神を見せる野球部に、逆に細川たちのほうが心を動かされるようになる。
最終回では、試合前夜に野球部の部室へ細川が顔を出し、自分は部員たちから最後まであきらめないことを学んだと感謝を述べた。廃部の決定は覆せなかったとはいえ、冷徹な社長にここまで態度を一変させたことは、形勢逆転といっていいだろう。細川のそうした姿勢には専務の笹井以下、ほかの役員たちも共感を抱いたのか、最終回冒頭、メインバンクである白水銀行の支店長(峰竜太)を前に、役員全員が細川の意見に同調する。少し前の青島製作所ではありえなかったことだ。峰竜太でなくとも、