先日出かけた茨城県で、「日本一の毘沙門天」という看板を目にした。
この時点で次の電車までは約1時間。何をして時間を潰そうかと思っていたところに「日本一の毘沙門天」……。そのキャッチコピーだけで、かなり気になった筆者は、本当に思い付きのほんの軽い気持ちで行ってみることにした。
しかし、「日本一の毘沙門天」そこはそんな軽い気持ちで向かってはいけない驚きに満ち溢れたお寺であったことをこの時の私は知る由もなかった……。
日本一の毘沙門天はやっぱりでかい! でも注目は毘沙門天の足元だった
最寄り駅のJR常陸鴻巣駅から、徒歩で約20分。さすが、日本一! とんでもなくデカい毘沙門天様がどどーんと登場!
全景を収めるためには、かなりひかないと毘沙門天様が持っている武器? らしき物の先端まで入りきらない!
見ての通り、かなり引いているのだが、武器の先端は収まり切っていない。
たしかに、でかくて迫力がある。だが、この日本一の毘沙門天「一乗院」の他には無い凄さに早くも気づいてしまった。注目は毘沙門天の足元だ。
それが、こちら。
「胎内めぐり」とある。そして、「胎」の字の横にある毘沙門天らしき画像がもう何が何だかわからない。
とりあえずこの中に入るためには、100円の奉納が必要とのこと。
一体、胎内めぐりとは何なのか、案内の絵を見てみることにしたが……
……
「宇宙と一体になれる神秘の世界」
胎内めぐりとは、何なのか。正直更にわからなくなった。とりあえず、入ってみるしかなさそうだ。
100円を賽銭箱に入れ、「胎内めぐり」に突入だーーーーーーーー!
いざ、“宇宙と一体になれる神秘の世界“へ
入り口を入ってすぐに、こんな光景が目に飛び込んできた。
仏様が彫られまくった壁だ!
しかも、「お手にふれてお参りください」とある。いいのか?! そんなことして!
中を進むともう壁一面に、ずっと仏様が彫られているのが続く。
あまりの予想外の光景に面食らいまくっていると、
胎内の途中に赤い紐が見える。
さっそく、紐の位置まで行ってみると……
曼荼羅だーーーー! なにがなんだか全然わからないけど、胎内には「曼荼羅」。
この細かい模様を見ていると、たしかに宇宙感じてきたかも。私、いま、宇宙と一体になっているかも! そう、なんだか、謎のテンションになってくる曼荼羅なのだ。それも、この仏様だらけの胎内めぐりだからこそなせる技なのかもしれない。
さっきの「胎内めぐりの」赤い紐は「幸福の鈴」だったのか……。
いいこと言いまくりの出世観音など、止まらないワンダーアイテム
胎内めぐりを出てみると、目に留まったのは出世観音の文字。そして、出世観音様と共にあるのは「出世の水」だ。
「能力の差は少ないが、努力の差が大きい」
出世観音様はなかなか良いことを言う親戚のおじさんみたいだ。そう思いながらふと、横を見ると……
なぜ! 君がいるの!
たぬきの置物の登場に動揺しながら歩いていると……のぼりが立っているので何かと思えば……
厄よけせんべい!
毘沙門天の「毘」の文字が書かれている。もはや厄除けってなんなのだろう……。そんな厄除けへの大いなる疑問を持ちながら、次に目に飛び込んできたのは……?
厄落としの壺!!
壺の絵に「厄落とし」と赤文字で書いてある。そして、1つ500円で販売されているらしい。ここまで突っ込んでこなかったけど、出世観音のところなども含めて随所に課金ポイントがあり、さながらテーマパークのような感じになっている。

前代未聞のお賽銭箱登場!
境内を歩いていると門のようなものが前方に現れた。気持ちはもはや、ドラクエのどっかの街を探索している気分である。
上方を見てほしい。「夢」と達筆の文字が掲げられているのが分かる。
柱を見てみると、「夢叶(宝)大黒天」って書いてあることも分かる。一体何なんだ。
近づいてみると、左側にあったものは……
「宝」さいせん箱とある!!! 宝用? わざわざ矢印で書いてあるから間違いないだろう。
そして、右側を見てみると……
こっちは「夢」さいせん箱だーーーーーーーー! しかも、注目はその下!
ご丁寧にも、「ジャンボ宝くじ」のタイミングが書かれている! さらに、「夢叶いお守り発売中」の文字まで。
ぬかりが無さすぎる。
そして、位置的に結構高い所にこの賽銭箱はあるので、身長157cmの筆者にはお賽銭を入れるのも割と一苦労せねばならない。宝くじ専用のお賽銭箱なんて、前代未聞すぎるわ……。
まだまだ終わらない!特濃お寺アイテム
願い石の前に、雑然と置かれた大量のダルマたち。いや、奉納って書いてあるから、納めているのかもしれない。
境内に突如として表れる国旗たち。
なぜここに国旗があるのかは謎である。
線香が供えられているのだが、もはやお誕生日会のような装飾のなにかもある。
子供会の行事感がMAXだ。
交通安全らしき標語の、のぼり2本と石の上にカエルの置物。そして、右側の存在感の少ない神様。
何がメインなのか、まじでわからなくなる。
印鑑塚なるものまである! でっかく「開運」と彫られた印鑑の像の主張がまぶしい。
隣の木の前に「クイーン長崎」って書いてあるのもすごく気になる。いちいち気になる。
毘沙門天様が奉られている建物に潜入! でも、でもさ!
近所の飲み屋に貼ってありそうな、演歌歌手のポスターが毘沙門天様の横に!!!!!!
なんで!
そして、いちいち気が抜けない!と思わされたのはこちら。
ふくろうのベンチ? ふくろうの羽的な部分で支えられたかなり低いベンチのようなもの。どうして、ふくろうなの?
これは……
いろいろ、もろもろ大丈夫なのか不安になる石像。
それに……
実はここに来た時からずっと大音量で童謡メドレーが境内中に響き渡り続けているのも超気になっていた。そこで、ダメもとで住職さんに声をかけた所、快くいろいろと教えてくれた。
副住職さんがお寺についてぶっちゃけトーク
ひにし「いつも、童謡は鳴り響いているんですか?」
副住職「いや、童謡は5月のこどもの日前後だけで、あとは歌が無いようなお琴とか雅楽とかを流していますね。
ひにし「笑う。宝くじ用の賽銭箱とかは昔からあるんですか?」
副住職「あーあれはね、大黒様作った時に仏師さんにお願いして一緒に作ってもらったんですよ。なんで、俵の形しているか? そりゃあ、大黒様って俵に乗っているでしょ? だから、俵の形にしたってわけ」
ひにし「なるほど。他にも、胎内めぐりとか観音様とか非常に変わったものばかりに見えるのですが、何か意図があるんですか?」
副住職「いやー、全てはノリですね」
ひにし「え、ノリ?」
副住職「楽しいことが一番だからね。わはは」
かなり、ぶっちゃけてくれる副住職さんすぎる。そのため、かなり聞きづらかったところにも切り込んでみた!
ひにし「あの、クレ○ンし○ち○んみたいな、有名なキャラの石像がいくつかあるかと思うんですが、あれって一体どういう経緯で?」
副住職「あーあれはね、日本もまだまだ規制が緩い頃……ゆうに15年以上は前かなあ、石屋さんが中国とかから持って来たりしていたのよ」
ひにし「はぁ」
副住職「でさ、まあ、そのころからそうだろうけど、ぶっちゃけなかなか買う人いないじゃない。偽物のキャラクターの石像。だからね、それを引き取ったりして今ああいうことになっているのね。だってさ、あれじゃ墓石の代わりにしたって、売れないもんね。わははははは!」
ひにし「ま、そりゃそうですね。墓石ってわけにはいかないですね」
副住職「『ピ○チュ○』とかはさ、子供も好きじゃない。
赤裸々すぎる事情までお話ししてくれた、副住職さん。ありがとうございました。
さらに、こちらの一乗院は、ここに来るだけで七福神すべてを巡れる何ともお得なお寺でもある。
欲張りなあなたにはぴったりだ!
後光がハンパない毘沙門天様、こんなに素敵なお寺に連れてきてくれてありがとう。
(ひにしあい)
花の寺 法満山一乗院
茨城県那珂市飯田1085