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出会い系掲示板で殴ってくれる相手を募集 異色のエッセイ漫画『ボコ恋』作者に聞く

23歳処女、マゾヒストの女性漫画家が、出会い系掲示板で知り合ったサディストの男性に殴られて、初めての恋を知る――。こちらは、4月9日に第1巻が発売されたエッセイ漫画『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』(以下、『ボコ恋』)(新潮社のウェブ漫画サイト「くらげバンチ」にて連載中)のストーリー。すべて作者であるペス山ポピーさん本人の身に起きた、現実の出来事だ。

性に苦しみを抱える人々を救う作品?


出会い系掲示板で殴ってくれる相手を募集 異色のエッセイ漫画『ボコ恋』作者に聞く
(c)ペス山ポピー/新潮社

もともとは、エッセイ漫画ではなく、BLや犯罪モノ、日常モノなど完全なフィクションを描いていたというペス山さん。しかし、ネームがボツになるなど嫌なことが重なったせいで、漫画を描くことが楽しめない状態になってしまい、一度漫画から離れることを決めた。ペス山さんは、「最初は漫画描かずに、ただ寝てバイトしてみたいな生活だったんですけど、だんだん性欲がものすごく沸いてきたんですよ(笑)」とぶっちゃける。そして、人生でずっと抑えつけていたマゾヒズムがついに爆発。それから始まったペス山さんの“冒険”が『ボコ恋』に描かれている。

『ボコ恋』のあらすじを聞いて、「奔放な女性が性遍歴を切り売りするような、ネット上でよくある作品ではないか」と感じる人もいるかもしれない。しかし、同漫画の魅力は、ペス山さんの冷静な自己分析にある。作中でペス山さんは、己の性に悩みながら、さまざまな男性に出会う中で、性自認が男性であることや、自身がマゾヒストである理由に気づいていく。自分の内面にどんどん深く潜っていくような描写は、何か悩みを抱えている人に強く刺さるものなのだろう。ペス山さんのTwitterアカウントには、セクシャルマイノリティを始めとした、性に悩める人々からの相談が多く寄せられている。

「自分がめちゃくちゃ変態だと、他人の大概のことが許せるんで(笑)。だから、『この人なら、自分のこんな部分も受け入れてくれるんじゃないか』と思って、私にいろいろ相談してくださる方が多いんじゃないでしょうか。あと、“女性性に対する嫌悪を持つ女性”から共感する声が多く寄せられたのは驚きました。私自身、自分の肉体と性自認とでズレがあるのは、先天的なものと同じくらい、後天的な要素が大きいと考えていて。やはり、女という立場に疲れている女性が多いんだなと感じました」
出会い系掲示板で殴ってくれる相手を募集 異色のエッセイ漫画『ボコ恋』作者に聞く
(c)ペス山ポピー/新潮社


「気持ち悪い」「知りたくもない」という批判もあった


出会い系掲示板で殴ってくれる相手を募集 異色のエッセイ漫画『ボコ恋』作者に聞く
(c)ペス山ポピー/新潮社

ペス山さんは、純粋に暴力を求めるタイプのマゾヒストだ。出会い系掲示板でも、セックス抜きでただ殴ってくれる相手を探していた。ペス山さんがマゾヒストであることを自覚したのは、「小学生か、中学生の頃」だった。しかし、3歳のときから、「ゲームの主人公にボコボコにされる」といったマゾ的な妄想で自慰をしていたそう。成長して、「オナニー」という言葉を覚えたとき、「私がしているのオナニーじゃん! しかもオカズがヤバいじゃん!」と気づいて衝撃を受けた。

しかし、その欲望を現実に持ち込むことは、ずっとなかった。『ボコ恋』で、ペス山さんが出会い系掲示板を利用するとき、「精神的な自立」という言葉を使っているのが印象的だ。

「わりと親に秘密を持たないで生きてきたんですよ。『嘘をついたらいけない』って育てられてきたんで。でも絶対バレてはいけない秘密が、心の中だけじゃなくて、現実に具現化していったんですよね。掲示板で知り合った相手とホテルに行っているし、プレイ用のグローブとか、ペニバンまである(笑)。私と親は他人なんだと、お互いの間に壁が生まれて、壁ができると目の前がすごくクリアになりました。とはいえ経済的には親に頼っていたので、甘ったれた“自立”ではありますが、私にしたら上出来な自立です」

『ボコ恋』読者にとっては信じられない話だろうが、ペス山さんは成人するまで、自身のことを「鈍感なタイプ」だと思い込んでいたそう。しかし、他人から「明るくすることによって、心の繊細な部分を守っているんじゃないか」と指摘されて、誤解に気づいた。

「鈍感だと思っていた時期が長かったぶん、繊細だって気づいたときの驚きが大きくて、『みんな聞いて!』と言いたくなった。『ボコ恋』を書いたのは、その延長線ですね。もちろん、ここまで自分をさらけ出すことに不安がなかったわけではないですけど、知ってもらいたい気持ちが上回りました」

センセーショナルな内容の作品であるため、バッシングを心配していたが、思いのほか、温かな意見が多いそう。ペス山さんは、「もっと死ぬくらい叩かれると思っていたんですけど、意外と平気でした」と語る。

「最初はまとめブログなんかで『気持ち悪い』や『知りたくもない』みたいに言われたりもしたんですけど、肯定的な意見をもらえるようになりました。『私だけじゃなかったんだ』という感想を読んで、自分自身、『私だけじゃなかったんだ』と励まされています」

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